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水鏡に映る姿7
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◆◆◆◆◆
「ひやぁ、ルチア!なにしてんの!?」
『はむっ、はむっ、うーむ??』
ルチアは首を甘噛みしながら、何やら悩んでいる様子。とにかく、僕の姿のルチアがルチアの姿の僕に噛みつくとか、カオス過ぎた。
「ル、ルチア・・ちょ、駄目だってば」
『はむっ、はむっ・・うむむっ??』
「ルチア!」
不意にルチアが僕の首筋から唇を離した。ホッとした反面、寂しく感じている自分がいたりする。
『許してくれ、ライ。君相手では勃起しないことが判明した』
ルチアが真顔で話しかけてきた。僕は返答に困り視線を逸らした。ちょっと火照ってしまった自分が恥ずかしい。
「そ、そうですか・・」
『だけど、愛情は感じる』
「愛情?」
僕は思わずルチアに視線を戻した。ルチアは困惑気味に話す。
『親愛の情に近いかな?兄弟のような、そんな親しさを感じる。そばにいると心が安らいで・・辛い気持ちが和らぐ』
ルチアはそう言うと、僕の髪に顔を埋めた。僕はそっとルチアの背中に手を回した。
「辛いの、ルチア?」
『辛いし・・怖い。一度は自ら命を絶ったのに、病弱なライの体に魂が宿ってからは・・この命が途切れる瞬間が怖い』
「ルチア・・」
『助かる道はないのかな?』
ルチアの体が震えていて、僕はお姫様だっこされたままぎゅっと抱きついた。胸が痛み辛かった。
「ごめんね、ルチア。本当は僕が負うべきものなのに、ルチアに押し付けてしまって。辛い気持ち、よく分かるよ」
『ライはずっと死の恐怖と戦ってきた』
「・・ルチア」
『箱庭を作って逃げ込まないと、精神が持たなかったんだよね、ライ?』
「ルチアは僕の事を何でもわかりすぎ」
『そうでもないよ』
「そう?」
不意にルチアが僕を抱えたまま歩きだす。
「ルチア?」
『なあ、今までに互いに起きた出来事を話し合わないか、ライ?僕は父上の事や・・アルフレート兄上の事が知りたい』
「僕も両親の事を知りたい」
『じゃあ、この箱庭が壊れるまで話をして時を過ごそう。うーん、抱いたまま話すのは辛いから、ベッドを用意するか』
「はぁ?ベッド?いや、ベッドは必要ないよ。椅子に座ろうよ、ルチア」
ルチアは僕の言葉をあっさりと無視した。そして、部屋の隅にあるベッドに向かう。僕は焦って制止しようとした。
「べ、ベッドでなにするの?」
『ライを抱きしめて癒されたい』
「それは、エッチは含まない感じ?」
『当たり前だろ?首を噛んでも勃起しなかったから、君にはそっち方面の魅力はないって事だね、ライ』
「はぁ?あのねえ・・この体はルチアのものだから。僕に魅力がないのではなくて、ルチアに無いだけだからね!」
『まあ、自分の体に勃起したら・・それはそれで、まずいかもね。ところでベッドが小さいので作り直すけど、要望ある?』
「天蓋付きベッドを所望します!」
『乙女か。まあいいや』
ルチアの言葉が終わらないうちに、シングルベッドが天蓋付きベッドに変化した。ファンタスティック!
「魔法使いのルチア!」
『本物の魔法使いなら良かったのに。自らの病を治して・・第二の人生を楽しく歩めたのかも知れないのにな』
ルチアは僕を優しく抱きしめたまま、ベッドに横たわった。ルチアは僕の髪を撫でながら、ゆっくりと口を開く。
『でも、死を目前にして・・君が現れた』
「ルチア」
『君と触れあっていると心が休まるのは本当だよ、ライ。やっぱり、僕たちは『運命の番』かもしれない』
「ルチア」
ルチアが僕の額にキスをした。不意にあたたかい気持ちが胸に広がり、僕は涙ぐんでいた。ルチアが僕の『運命の番』なら死なせたくない。
何か方法はないの?
◆◆◆◆◆
「ひやぁ、ルチア!なにしてんの!?」
『はむっ、はむっ、うーむ??』
ルチアは首を甘噛みしながら、何やら悩んでいる様子。とにかく、僕の姿のルチアがルチアの姿の僕に噛みつくとか、カオス過ぎた。
「ル、ルチア・・ちょ、駄目だってば」
『はむっ、はむっ・・うむむっ??』
「ルチア!」
不意にルチアが僕の首筋から唇を離した。ホッとした反面、寂しく感じている自分がいたりする。
『許してくれ、ライ。君相手では勃起しないことが判明した』
ルチアが真顔で話しかけてきた。僕は返答に困り視線を逸らした。ちょっと火照ってしまった自分が恥ずかしい。
「そ、そうですか・・」
『だけど、愛情は感じる』
「愛情?」
僕は思わずルチアに視線を戻した。ルチアは困惑気味に話す。
『親愛の情に近いかな?兄弟のような、そんな親しさを感じる。そばにいると心が安らいで・・辛い気持ちが和らぐ』
ルチアはそう言うと、僕の髪に顔を埋めた。僕はそっとルチアの背中に手を回した。
「辛いの、ルチア?」
『辛いし・・怖い。一度は自ら命を絶ったのに、病弱なライの体に魂が宿ってからは・・この命が途切れる瞬間が怖い』
「ルチア・・」
『助かる道はないのかな?』
ルチアの体が震えていて、僕はお姫様だっこされたままぎゅっと抱きついた。胸が痛み辛かった。
「ごめんね、ルチア。本当は僕が負うべきものなのに、ルチアに押し付けてしまって。辛い気持ち、よく分かるよ」
『ライはずっと死の恐怖と戦ってきた』
「・・ルチア」
『箱庭を作って逃げ込まないと、精神が持たなかったんだよね、ライ?』
「ルチアは僕の事を何でもわかりすぎ」
『そうでもないよ』
「そう?」
不意にルチアが僕を抱えたまま歩きだす。
「ルチア?」
『なあ、今までに互いに起きた出来事を話し合わないか、ライ?僕は父上の事や・・アルフレート兄上の事が知りたい』
「僕も両親の事を知りたい」
『じゃあ、この箱庭が壊れるまで話をして時を過ごそう。うーん、抱いたまま話すのは辛いから、ベッドを用意するか』
「はぁ?ベッド?いや、ベッドは必要ないよ。椅子に座ろうよ、ルチア」
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「べ、ベッドでなにするの?」
『ライを抱きしめて癒されたい』
「それは、エッチは含まない感じ?」
『当たり前だろ?首を噛んでも勃起しなかったから、君にはそっち方面の魅力はないって事だね、ライ』
「はぁ?あのねえ・・この体はルチアのものだから。僕に魅力がないのではなくて、ルチアに無いだけだからね!」
『まあ、自分の体に勃起したら・・それはそれで、まずいかもね。ところでベッドが小さいので作り直すけど、要望ある?』
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『乙女か。まあいいや』
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『でも、死を目前にして・・君が現れた』
「ルチア」
『君と触れあっていると心が休まるのは本当だよ、ライ。やっぱり、僕たちは『運命の番』かもしれない』
「ルチア」
ルチアが僕の額にキスをした。不意にあたたかい気持ちが胸に広がり、僕は涙ぐんでいた。ルチアが僕の『運命の番』なら死なせたくない。
何か方法はないの?
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