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ゲーム攻略5
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◆◆◆◆◆
僕は咳払いの後に答えた。
「セックスシーンを沢山見て楽しむゲームの事で、アンリが可愛くアンアンします。なので、アンリの好感度はすぐに上がる仕様に設定されています。『恋人レベル』に到達すれば『攻略対象者』は容易に落ち『ハッピーエンド』です。アンリも国もハッピーになるので『ハッピーエンド』が一番望ましいです。好感度が中程度なら『友人レベル』で『友人エンド』となります。これはアンリが落ち込むだけなので、国は大丈夫です。『バッドエンド』は少なく、気を付けるべきはAクラスの先生ジョーバー = カナレハスの『凌辱バッドエンド』ぐらいですかね。これに引っ掛かると、アンリは一生精神病院に入院します。これは、アンリは復活できませんが、王国に影響はありません」
「なるほど」
「さっぱり理解できない」
「陛下は理解されているようなので、一番ヤバいのを説明します。それは、アンリの好感度が『他人レベル』の場合です。アンリの好感度が底辺を辿ると、陛下の暴君ルートが開きます。これは最悪です。まず、教会において神学論争がおこり、複数の宗派に別れます。特にフス派とカトリック派の対立は深まり、各々の宗派に貴族が後ろ楯となりめす。それを納めるために、陛下はカトリック派以外を異端宗派として禁じます。このルートでは、エロ要素は全くなくアンリのアンアンを見たい人はゲームをやめます。だけど、僕は最後まで確認しました。このルートに入ると選択肢はひとつもなく、確実に王都は炎に包まれます」
「王都が炎に!?」
「やはりか・・」
「王都に炎を放った集団は不明です。ですが、クリストフェル陛下は、フス派とそれを支持する異端者の仕業だと断定。王国中に兵を送り異端者狩りを指示します。送られた兵により多くの王国民の犠牲者が出ます。特に、オメガは異端視されて徹底的に弾圧されます。そして、その中にはアンリも含まれていました。彼はあらゆる拷問を受けた末に、『レスキリアン王国を滅ぼせ』との『神の声』を聞きます。アンリはこの時に民衆を先導する力を得ます。顔の傷を隠すためにアンリは鎧を纏い、四人の『攻略対象者』を味方につけて民衆を先導し王都に攻め込みます。この時点で宗教家は身を潜め、陛下が矢面に立たされます。民衆の怒りは、各地に兵を送り王国民を弾圧した陛下や王家に向かいます。アンリと四人の若者の先導力は極めて優秀で、民衆は王城になだれこみ城は大混乱に陥ります。そして、アンリと四人の若者は王の前にたどり着き・・」
「私はアンリを殺し、私自身は四人の若者に殺される・・ライは四人の若者の名を知っているか?」
「ジョーバー = カナレハス。ケルスティン = グルブランソン。ライモンド = ビリバンティ」
「もう一人は、ライ?」
「・・・」
「アルフレート = ガーディナー」
「父上、やめて!」
僕は兄上の名を出した父上を制そうとした。でも、手を父上に掴まれ引き寄せられてしまう。
「隠しても意味がない。陛下はすでにご存じた。アンリの伴侶候補として集められたのは彼等だからね」
「でも、アルフレート兄上は僕の・・」
「落ち着きなさい、ライ」
「アルフレートも異世界人が作った『ゲームの駒』だ。そうだろ、ライ?」
「いやっ!」
「やめろ、クリストフェル!」
僕は父上に抱きついていた。陛下は肩を竦めると、ため息を漏らしながら椅子に深く座り込んだ。
「私の父は『レスキリアン創世記』に抗おうとして、第54代国王となる息子にクリストフェルとは異なる名を付けた。だが、その夜に突如高熱を発して死の淵をさ迷い、私の名をクリストフェルと改めた。すると、父は回復の兆しをみせ政務に復帰した。だが、それ以来・・父は私を遠ざけ、父と会話を交わす機会は『王の書庫』のみとなった。ここは、父との想い出で満ちている・・」
「陛下」
「クリストフェル」
◆◆◆◆◆
僕は咳払いの後に答えた。
「セックスシーンを沢山見て楽しむゲームの事で、アンリが可愛くアンアンします。なので、アンリの好感度はすぐに上がる仕様に設定されています。『恋人レベル』に到達すれば『攻略対象者』は容易に落ち『ハッピーエンド』です。アンリも国もハッピーになるので『ハッピーエンド』が一番望ましいです。好感度が中程度なら『友人レベル』で『友人エンド』となります。これはアンリが落ち込むだけなので、国は大丈夫です。『バッドエンド』は少なく、気を付けるべきはAクラスの先生ジョーバー = カナレハスの『凌辱バッドエンド』ぐらいですかね。これに引っ掛かると、アンリは一生精神病院に入院します。これは、アンリは復活できませんが、王国に影響はありません」
「なるほど」
「さっぱり理解できない」
「陛下は理解されているようなので、一番ヤバいのを説明します。それは、アンリの好感度が『他人レベル』の場合です。アンリの好感度が底辺を辿ると、陛下の暴君ルートが開きます。これは最悪です。まず、教会において神学論争がおこり、複数の宗派に別れます。特にフス派とカトリック派の対立は深まり、各々の宗派に貴族が後ろ楯となりめす。それを納めるために、陛下はカトリック派以外を異端宗派として禁じます。このルートでは、エロ要素は全くなくアンリのアンアンを見たい人はゲームをやめます。だけど、僕は最後まで確認しました。このルートに入ると選択肢はひとつもなく、確実に王都は炎に包まれます」
「王都が炎に!?」
「やはりか・・」
「王都に炎を放った集団は不明です。ですが、クリストフェル陛下は、フス派とそれを支持する異端者の仕業だと断定。王国中に兵を送り異端者狩りを指示します。送られた兵により多くの王国民の犠牲者が出ます。特に、オメガは異端視されて徹底的に弾圧されます。そして、その中にはアンリも含まれていました。彼はあらゆる拷問を受けた末に、『レスキリアン王国を滅ぼせ』との『神の声』を聞きます。アンリはこの時に民衆を先導する力を得ます。顔の傷を隠すためにアンリは鎧を纏い、四人の『攻略対象者』を味方につけて民衆を先導し王都に攻め込みます。この時点で宗教家は身を潜め、陛下が矢面に立たされます。民衆の怒りは、各地に兵を送り王国民を弾圧した陛下や王家に向かいます。アンリと四人の若者の先導力は極めて優秀で、民衆は王城になだれこみ城は大混乱に陥ります。そして、アンリと四人の若者は王の前にたどり着き・・」
「私はアンリを殺し、私自身は四人の若者に殺される・・ライは四人の若者の名を知っているか?」
「ジョーバー = カナレハス。ケルスティン = グルブランソン。ライモンド = ビリバンティ」
「もう一人は、ライ?」
「・・・」
「アルフレート = ガーディナー」
「父上、やめて!」
僕は兄上の名を出した父上を制そうとした。でも、手を父上に掴まれ引き寄せられてしまう。
「隠しても意味がない。陛下はすでにご存じた。アンリの伴侶候補として集められたのは彼等だからね」
「でも、アルフレート兄上は僕の・・」
「落ち着きなさい、ライ」
「アルフレートも異世界人が作った『ゲームの駒』だ。そうだろ、ライ?」
「いやっ!」
「やめろ、クリストフェル!」
僕は父上に抱きついていた。陛下は肩を竦めると、ため息を漏らしながら椅子に深く座り込んだ。
「私の父は『レスキリアン創世記』に抗おうとして、第54代国王となる息子にクリストフェルとは異なる名を付けた。だが、その夜に突如高熱を発して死の淵をさ迷い、私の名をクリストフェルと改めた。すると、父は回復の兆しをみせ政務に復帰した。だが、それ以来・・父は私を遠ざけ、父と会話を交わす機会は『王の書庫』のみとなった。ここは、父との想い出で満ちている・・」
「陛下」
「クリストフェル」
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