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ゲーム攻略3
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◆◆◆◆◆
陛下は僕の瞳を見つめたまま、ゆっくりと語り始めた。
「ルチアの指摘通りだ」
「っ!」
「アーサー王は異世界人を恐れていた。彼の素性、彼の異能力の正体、異世界から来た目的。アーサー王は己が亡くなる前に、王として全てを明らかにする義務があると考えていた。そして、アーサー王は異世界人を捕らえる時期を、粘りずよく待った」
僕は唇を噛み締めていた。戦友であった過去は遠退き、異世界人はもはや危険な存在でしかない。
「妻を愛し五人の子供の父親となった異世界人を・・アーサー王は拷問に掛けたのですね。それにより、何を得たのですか?戦友を拷問に掛けてまで得た情報とは何だったのですか、陛下?」
陛下は一瞬苦々しげな表情を浮かべた。だが、軽く息を吐き出し呼吸を整え言葉を紡いだ。
「我々が住むこの大陸は『ゲームの舞台』であり、世界の住人は『ゲームの駒』として作られた存在であること。そして、我々を作り出した存在は教会が教える『神』ではなく・・異世界の住人であること。そして、今はゲームの前段階であり、54代国王クリストフェル = レスキリアンの時代に『恋愛ゲーム』が開始され・・そのゲームの結果次第で、レスキリアン王国の繁栄か破滅かが決まるそうだ」
「『恋愛ゲーム』?」
今まで黙っていた父上が反応を示した。そう、僕は不覚にも陛下の前で、その言葉を口にしてしまっていた。陛下は僕の瞳を覗き込むようにして、ゆっくりと口を開いた。
「アーサーの側近は、元の世界では『ゲーム世界』を守る『ゲームデバッグ』の役職についていたそうだ。だが、気付けばこの『ゲーム世界』に迷い込んでいたらしい。異世界人に『神』の関係者なのかと尋ねれば、そのような存在ではないと否定した。元の世界で異能力を持つ者はいないとも説明した。いっそ、彼が元いた世界が『神の領域』ならばよかった。彼が我々の信じる『神』の関係者ならばよかった。『神』さえも作られた存在だと知らされて・・『ゲームの駒』である我々はどう生きるべきなのだろうね、ライ?」
「・・・」
僕は沈黙を守った。簡単に出せる答えではない。下手に返事はできない。
◆◆◆◆◆
陛下は僕の瞳を見つめたまま、ゆっくりと語り始めた。
「ルチアの指摘通りだ」
「っ!」
「アーサー王は異世界人を恐れていた。彼の素性、彼の異能力の正体、異世界から来た目的。アーサー王は己が亡くなる前に、王として全てを明らかにする義務があると考えていた。そして、アーサー王は異世界人を捕らえる時期を、粘りずよく待った」
僕は唇を噛み締めていた。戦友であった過去は遠退き、異世界人はもはや危険な存在でしかない。
「妻を愛し五人の子供の父親となった異世界人を・・アーサー王は拷問に掛けたのですね。それにより、何を得たのですか?戦友を拷問に掛けてまで得た情報とは何だったのですか、陛下?」
陛下は一瞬苦々しげな表情を浮かべた。だが、軽く息を吐き出し呼吸を整え言葉を紡いだ。
「我々が住むこの大陸は『ゲームの舞台』であり、世界の住人は『ゲームの駒』として作られた存在であること。そして、我々を作り出した存在は教会が教える『神』ではなく・・異世界の住人であること。そして、今はゲームの前段階であり、54代国王クリストフェル = レスキリアンの時代に『恋愛ゲーム』が開始され・・そのゲームの結果次第で、レスキリアン王国の繁栄か破滅かが決まるそうだ」
「『恋愛ゲーム』?」
今まで黙っていた父上が反応を示した。そう、僕は不覚にも陛下の前で、その言葉を口にしてしまっていた。陛下は僕の瞳を覗き込むようにして、ゆっくりと口を開いた。
「アーサーの側近は、元の世界では『ゲーム世界』を守る『ゲームデバッグ』の役職についていたそうだ。だが、気付けばこの『ゲーム世界』に迷い込んでいたらしい。異世界人に『神』の関係者なのかと尋ねれば、そのような存在ではないと否定した。元の世界で異能力を持つ者はいないとも説明した。いっそ、彼が元いた世界が『神の領域』ならばよかった。彼が我々の信じる『神』の関係者ならばよかった。『神』さえも作られた存在だと知らされて・・『ゲームの駒』である我々はどう生きるべきなのだろうね、ライ?」
「・・・」
僕は沈黙を守った。簡単に出せる答えではない。下手に返事はできない。
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