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ゲーム攻略1
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◆◆◆◆◆
僕の肩を抱く父上の手が僅かに震えた。ルチアを想い震える父の手に、僕の心は後悔の気持ちでいっぱいになる。僕は唇を震わせながら小さく呟いていた。
「ごめんなさい、父上」
「いや・・」
父上は言葉少なに応じた。僕は父上の表情を伺うことが怖くて、視線をさ迷わせた末に陛下に向けた。陛下は僕と視線が合うと少し目を細めた後、会話を再開した。
「経緯を考えると意外な事に思えるだろうが、ガーディナー家の一人娘のオメガと異世界人の夫婦仲は良好だったようだ。二人の間には子が五人も生まれている」
僕は陛下の言葉に驚き目を見開いた。そして、声をあげていた。
「え、二人は仲良し夫婦になれたのですか!?異世界人で異能力の持ち主と政略結婚をさせられたのに、彼女は相当肝が据わっていたのですね!いや、オメガ女子にとっては、アーサー王の側近は英雄のような存在だったのかな?なんと言っても、彼はレスキアン王国の建国に貢献した人物だもの!憧れの人物との出逢い。もしかしたら、異世界人もガーディナー家の令嬢に一目惚れしたのかも~!」
「大丈夫か、ライ?」
陛下が目を丸くして僕に声を掛けた。テンションが上がりすぎって、心配された。
「大丈夫です、陛下。異世界人のライは病弱で運動を禁じられていました。なので、趣味は読書とゲーム。特に恋愛ゲームが大好きで、トゥルーエンドに辿り着く度に何度も涙を流しました~」
「ライは『恋愛ゲーム』を知っている訳だね。なるほど・・」
「私にはルチアの・・ライの言葉が殆んど理解できなかった」
父上の寂しそうな言葉に誘われ、僕は思わず視線を上げた。視線が合った父上が柔らかに微笑んでくれたので、僕は安堵の息を漏らした。そして、父上の青紫色の瞳の色を見つめながら、僕は呟いていた。
「二人の間に生まれた五人の子供たちは、青紫色の瞳を父親から引き継いだのですね。そして、千年の時を経ても父上やルチアが青紫色の瞳を引き継いでいる。とても、不思議です」
「たしかにそうだね、ライ。だが、異能力は引き継がれなかったようだ。それとも、千年間で異能力が薄れていったのか。クリストフェル、その点に関しては『レスキリアン創世記』の原本にはどのように記されている?」
陛下は『レスキリアン創世記』の表紙をトンと指で弾きながら、口を開いた。
「アーサー王は臣下に命じて、五人の子を徹底的に調べ上げた。その結果、異能力を持ってはいないとの結論を得た。五人の子供が引き継いだのは、青紫色の瞳のみだった。だが、未来においてもそうとは限らない。アーサー王は亡くなる前に次期王の息子に遺言を残している」
「遺言?」
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僕の肩を抱く父上の手が僅かに震えた。ルチアを想い震える父の手に、僕の心は後悔の気持ちでいっぱいになる。僕は唇を震わせながら小さく呟いていた。
「ごめんなさい、父上」
「いや・・」
父上は言葉少なに応じた。僕は父上の表情を伺うことが怖くて、視線をさ迷わせた末に陛下に向けた。陛下は僕と視線が合うと少し目を細めた後、会話を再開した。
「経緯を考えると意外な事に思えるだろうが、ガーディナー家の一人娘のオメガと異世界人の夫婦仲は良好だったようだ。二人の間には子が五人も生まれている」
僕は陛下の言葉に驚き目を見開いた。そして、声をあげていた。
「え、二人は仲良し夫婦になれたのですか!?異世界人で異能力の持ち主と政略結婚をさせられたのに、彼女は相当肝が据わっていたのですね!いや、オメガ女子にとっては、アーサー王の側近は英雄のような存在だったのかな?なんと言っても、彼はレスキアン王国の建国に貢献した人物だもの!憧れの人物との出逢い。もしかしたら、異世界人もガーディナー家の令嬢に一目惚れしたのかも~!」
「大丈夫か、ライ?」
陛下が目を丸くして僕に声を掛けた。テンションが上がりすぎって、心配された。
「大丈夫です、陛下。異世界人のライは病弱で運動を禁じられていました。なので、趣味は読書とゲーム。特に恋愛ゲームが大好きで、トゥルーエンドに辿り着く度に何度も涙を流しました~」
「ライは『恋愛ゲーム』を知っている訳だね。なるほど・・」
「私にはルチアの・・ライの言葉が殆んど理解できなかった」
父上の寂しそうな言葉に誘われ、僕は思わず視線を上げた。視線が合った父上が柔らかに微笑んでくれたので、僕は安堵の息を漏らした。そして、父上の青紫色の瞳の色を見つめながら、僕は呟いていた。
「二人の間に生まれた五人の子供たちは、青紫色の瞳を父親から引き継いだのですね。そして、千年の時を経ても父上やルチアが青紫色の瞳を引き継いでいる。とても、不思議です」
「たしかにそうだね、ライ。だが、異能力は引き継がれなかったようだ。それとも、千年間で異能力が薄れていったのか。クリストフェル、その点に関しては『レスキリアン創世記』の原本にはどのように記されている?」
陛下は『レスキリアン創世記』の表紙をトンと指で弾きながら、口を開いた。
「アーサー王は臣下に命じて、五人の子を徹底的に調べ上げた。その結果、異能力を持ってはいないとの結論を得た。五人の子供が引き継いだのは、青紫色の瞳のみだった。だが、未来においてもそうとは限らない。アーサー王は亡くなる前に次期王の息子に遺言を残している」
「遺言?」
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