義兄に愛人契約を強要する悪役オメガですが、主人公が現れたら潔く身を引きます!

月歌(ツキウタ)

文字の大きさ
上 下
87 / 119

王の書庫6

しおりを挟む
◆◆◆◆◆


「レスキリアン王国が建国されたのは、約千年前ですよね?僕は初めての異世界人ではなく、千年前には既に異世界人がこの世界に存在していた。すごく、衝撃です」

「・・衝撃ねえ?ライは本当に何も知らなかったのかな?それを素直に信じて良いものかどうか迷うね。君は異世界人だ。王としては、異世界人にどう接する事が正解なのかな?ライはどう思う?」

「僕は嘘は付いてはいません、陛下!僕は、本当に何も知らなくて・・」

陛下が僕を疑っている。信じて欲しいのに、何を言っても信じて貰えない様に思えた。僕の声は次第に小さくなっていく。

代わりに、父上が発言をした。その語気は決して強くはなかったけれど、鋭く尖っている。

「クリストフェル陛下。もしも、ライをこの場に連れてきた目的が歴史からの抹消ならば・・私はライが殺される前に、貴方を殺害します」

父上の全身からアルファ性の匂いが香る。今にも威圧を放ちそうな父上の様子に、僕はびびって動けなくなってしまった。陛下は目を細めて父上を睨み付ける。

「ケルスティン = ガーディナー。臣下が王の殺害を口にする事は・・大罪だ」

「承知しております。ですが、譲れぬものもございます。ライもルチアも共に私の息子です。罪なき我が子を黙って陛下に差し出す訳には参りません。反逆罪で追われる身となっても、私は我が子を守りきります」

「父上!」

ピリピリとした空気で『王の書庫』が張り詰める。息を飲み二人の様子を伺う。

このままでは、まずい。

大好きな父上を犯罪者にするわけにはいかない。僕がヒートを起こして、『王の書庫』をもふもふでエロチックな空間に変えるしかない!!

ヒート発動だ!

「「やめなさい!」」

「ひゃい!?」

陛下と父上に同時に肩を掴まれた。まだヒートを発動していないのに、何故ばれた?しかも、叱られた・・涙が出そう。

「閉鎖空間で上位オメガにヒートを起こされたら、父でも襲いかねない。頼むから止めてくれ、ルチア」

「私は確実に襲う自信がある!だが、君は大切なアルカディーの忘れ形見だ。無理矢理襲うなどしたくない。自分の身を大切に扱って欲しい」

僕はおろおろしながらも、父上と陛下に訴えた。

「で、では・・喧嘩は止めてくれますか?陛下も父上も、仲良くしてください。そうじゃないと、泣きます」

陛下と父上が顔をあわせて、深いため息をついた。そして、父上がそっと僕の髪を撫でてくれた。

「すでに泣いている子に『泣きます』と言われると、対処に困る。妻のアルカディーは、こんな時には・・どう接していたのだろうか?」

「アルカディー母上は、僕をぎゅっと抱きしめてくれました」

「そうか」
「成る程」

何故か、父上と陛下にぎゅっと抱きしめられていた。陛下と父上は足元で蹴りあっていたが、先程の刺々しい雰囲気はない。

僕は陛下にそっと呟いていた。

「陛下は僕を・・歴史から抹殺するおつもりですか?」

僕の言葉に陛下がゆっくりと身を離した。父上は僕の肩を抱いて、陛下の返答を待つ。


◆◆◆◆◆




しおりを挟む
感想 54

あなたにおすすめの小説

僕がハーブティーを淹れたら、筆頭魔術師様(♂)にプロポーズされました

楠結衣
BL
貴族学園の中庭で、婚約破棄を告げられたエリオット伯爵令息。可愛らしい見た目に加え、ハーブと刺繍を愛する彼は、女よりも女の子らしいと言われていた。女騎士を目指す婚約者に「妹みたい」とバッサリ切り捨てられ、婚約解消されてしまう。 ショックのあまり実家のハーブガーデンに引きこもっていたところ、王宮魔術塔で働く兄から助手に誘われる。 喜ぶ家族を見たら断れなくなったエリオットは筆頭魔術師のジェラール様の執務室へ向かう。そこでエリオットがいつものようにハーブティーを淹れたところ、なぜかプロポーズされてしまい……。   「エリオット・ハワード――俺と結婚しよう」 契約結婚の打診からはじまる男同士の恋模様。 エリオットのハーブティーと刺繍に特別な力があることは、まだ秘密──。

期待外れの後妻だったはずですが、なぜか溺愛されています

ぽんちゃん
BL
 病弱な義弟がいじめられている現場を目撃したフラヴィオは、カッとなって手を出していた。  謹慎することになったが、なぜかそれから調子が悪くなり、ベッドの住人に……。  五年ほどで体調が回復したものの、その間にとんでもない噂を流されていた。  剣の腕を磨いていた異母弟ミゲルが、学園の剣術大会で優勝。  加えて筋肉隆々のマッチョになっていたことにより、フラヴィオはさらに屈強な大男だと勘違いされていたのだ。  そしてフラヴィオが殴った相手は、ミゲルが一度も勝てたことのない相手。  次期騎士団長として注目を浴びているため、そんな強者を倒したフラヴィオは、手に負えない野蛮な男だと思われていた。  一方、偽りの噂を耳にした強面公爵の母親。  妻に強さを求める息子にぴったりの相手だと、後妻にならないかと持ちかけていた。  我が子に爵位を継いで欲しいフラヴィオの義母は快諾し、冷遇確定の地へと前妻の子を送り出す。  こうして青春を謳歌することもできず、引きこもりになっていたフラヴィオは、国民から恐れられている戦場の鬼神の後妻として嫁ぐことになるのだが――。  同性婚が当たり前の世界。  女性も登場しますが、恋愛には発展しません。

悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、自らを反省しました。BLゲームの世界で推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)

悪役令息の七日間

リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。 気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】

モブなのに執着系ヤンデレ美形の友達にいつの間にか、なってしまっていた

マルン円
BL
執着系ヤンデレ美形×鈍感平凡主人公。全4話のサクッと読めるBL短編です(タイトルを変えました)。 主人公は妹がしていた乙女ゲームの世界に転生し、今はロニーとして地味な高校生活を送っている。内気なロニーが気軽に学校で話せる友達は同級生のエドだけで、ロニーとエドはいっしょにいることが多かった。 しかし、ロニーはある日、髪をばっさり切ってイメチェンしたエドを見て、エドがヒロインに執着しまくるメインキャラの一人だったことを思い出す。 平凡な生活を送りたいロニーは、これからヒロインのことを好きになるであろうエドとは距離を置こうと決意する。 タイトルを変えました。 前のタイトルは、「モブなのに、いつのまにかヒロインに執着しまくるキャラの友達になってしまっていた」です。 急に変えてしまい、すみません。  

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。

【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。 私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。 「でも、白い結婚だったのよね……」 奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。 全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。 一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。 断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

国を救った英雄と一つ屋根の下とか聞いてない!

古森きり
BL
第8回BL小説大賞、奨励賞ありがとうございます! 7/15よりレンタル切り替えとなります。 紙書籍版もよろしくお願いします! 妾の子であり、『Ω型』として生まれてきて風当たりが強く、居心地の悪い思いをして生きてきた第五王子のシオン。 成人年齢である十八歳の誕生日に王位継承権を破棄して、王都で念願の冒険者酒場宿を開店させた! これからはお城に呼び出されていびられる事もない、幸せな生活が待っている……はずだった。 「なんで国の英雄と一緒に酒場宿をやらなきゃいけないの!」 「それはもちろん『Ω型』のシオン様お一人で生活出来るはずもない、と国王陛下よりお世話を仰せつかったからです」 「んもおおおっ!」 どうなる、俺の一人暮らし! いや、従業員もいるから元々一人暮らしじゃないけど! ※読み直しナッシング書き溜め。 ※飛び飛びで書いてるから矛盾点とか出ても見逃して欲しい。  

処理中です...