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王の書庫2
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◆◆◆◆◆
僕の悪い癖は、歩きながら様々な妄想で遊んでしまうことだ。今回も悪い癖が出た。陛下の寝所に辿り着くまでに、僕は様々な王のベッドを妄想していた。
陛下の寝所に入室すると、僕は興奮のあまり叫んでいた。何故なら、想像以上のベッドがそこにあったからだ!
「美しく上質な天蓋付きベッド!まさにこれです!国王のベッドは、天蓋付きでなければなりません。たとえ王国民の血税を搾り取ってでも、天蓋付きベッドを使用しなければなりません。はぁ、素敵~」
カーテンをふわりとおろし、陛下と愛人が情交を交わす。勿論、愛人は男性だ。腐男子的にここは譲れない!
「いいなぁ、天蓋付きベッド~」
「おや?ルチアから甘い薫りがするね。ふふ、君がベッドに対して、これ程こだわりがあるとは知らなかった。天蓋付きベッドに横たわり、肌触りや寝心地を試してはどうかな?」
「良いのですか、陛下!」
「勿論だ、ルチア」
「待ちなさい、ルチア!」
僕がベッドにダイブする為に歩きだすと、父上に両肩を掴まれた。
「父上、止めないで下さい。この機会を逃しては、天蓋付きベッドにダイブする機会は得られません!」
「ルチアが天蓋付きベッドを欲しがっているとは知らなかった。このベッド以上の高級品を今すぐに購入しよう。ルチアの自室にピッタリの物をプレゼントする。だから、陛下のベッドに横たわる事だけは止めて欲しい」
「父上・・ですが、天蓋付きベッドが欲しいのは、ルチアではなくライの方なのです。だから、父上におねだりしては駄目なのです」
「ルチアもライも、共に私の息子だ。遠慮する必要などない。父に天蓋付きベッドをプレゼントさせて欲しい、ライ」
「父上、感謝致します!」
僕は父上の優しさに甘える事にした。そして、陛下に視線を向けて謝罪した。
「お騒がせ致しました、陛下。父上が天蓋付きベッドを購入して下さる事になりました。なので、陛下のベッドに横たわる事は諦めます。よく考えると、すごく不敬にあたる行為をするところでした。申し訳ございません、陛下」
「ふふ、私は君と共にぜひベッドで添い寝をしたかったがね」
「あうっ」
僕は思わず返答に困り、変な声を出してしまった。顔が火照る。
「ルチアを口説く為に寝所に連れてきたわけではないだろ、クリストフェル?早く目的の場所に連れていけ」
「添い寝をしたいと言っただけで、いちいち噛みつくな。ケルスティンは、今すぐに子離れをするべきだな。今のままでは、ルチアがどれだけ優秀な伴侶候補を連れてきても、反対しそうだ」
「ルチアに相応しい相手ならば、私は反対などしない」
「さて、どうだろうな?」
陛下と父上がまたもやアルファ性の気質を露にして、睨み合った。何なのこの二人は。仲が良いのか悪いのか、はっきりさせてよ。もう、仕方ないな。
「陛下、そろそろ『王の書庫』に案内してください。薔薇の庭園で学友と茶会の続きを行う事を、僕は楽しみにしているのです。父上も僕が早く茶会に参加できるように、協力願います」
「「承知した、ルチア」」
陛下と父上が同時に返事をして声が重なった。うむ。やっぱり二人は仲が良いのかな?
◆◆◆◆◆
僕の悪い癖は、歩きながら様々な妄想で遊んでしまうことだ。今回も悪い癖が出た。陛下の寝所に辿り着くまでに、僕は様々な王のベッドを妄想していた。
陛下の寝所に入室すると、僕は興奮のあまり叫んでいた。何故なら、想像以上のベッドがそこにあったからだ!
「美しく上質な天蓋付きベッド!まさにこれです!国王のベッドは、天蓋付きでなければなりません。たとえ王国民の血税を搾り取ってでも、天蓋付きベッドを使用しなければなりません。はぁ、素敵~」
カーテンをふわりとおろし、陛下と愛人が情交を交わす。勿論、愛人は男性だ。腐男子的にここは譲れない!
「いいなぁ、天蓋付きベッド~」
「おや?ルチアから甘い薫りがするね。ふふ、君がベッドに対して、これ程こだわりがあるとは知らなかった。天蓋付きベッドに横たわり、肌触りや寝心地を試してはどうかな?」
「良いのですか、陛下!」
「勿論だ、ルチア」
「待ちなさい、ルチア!」
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「父上、止めないで下さい。この機会を逃しては、天蓋付きベッドにダイブする機会は得られません!」
「ルチアが天蓋付きベッドを欲しがっているとは知らなかった。このベッド以上の高級品を今すぐに購入しよう。ルチアの自室にピッタリの物をプレゼントする。だから、陛下のベッドに横たわる事だけは止めて欲しい」
「父上・・ですが、天蓋付きベッドが欲しいのは、ルチアではなくライの方なのです。だから、父上におねだりしては駄目なのです」
「ルチアもライも、共に私の息子だ。遠慮する必要などない。父に天蓋付きベッドをプレゼントさせて欲しい、ライ」
「父上、感謝致します!」
僕は父上の優しさに甘える事にした。そして、陛下に視線を向けて謝罪した。
「お騒がせ致しました、陛下。父上が天蓋付きベッドを購入して下さる事になりました。なので、陛下のベッドに横たわる事は諦めます。よく考えると、すごく不敬にあたる行為をするところでした。申し訳ございません、陛下」
「ふふ、私は君と共にぜひベッドで添い寝をしたかったがね」
「あうっ」
僕は思わず返答に困り、変な声を出してしまった。顔が火照る。
「ルチアを口説く為に寝所に連れてきたわけではないだろ、クリストフェル?早く目的の場所に連れていけ」
「添い寝をしたいと言っただけで、いちいち噛みつくな。ケルスティンは、今すぐに子離れをするべきだな。今のままでは、ルチアがどれだけ優秀な伴侶候補を連れてきても、反対しそうだ」
「ルチアに相応しい相手ならば、私は反対などしない」
「さて、どうだろうな?」
陛下と父上がまたもやアルファ性の気質を露にして、睨み合った。何なのこの二人は。仲が良いのか悪いのか、はっきりさせてよ。もう、仕方ないな。
「陛下、そろそろ『王の書庫』に案内してください。薔薇の庭園で学友と茶会の続きを行う事を、僕は楽しみにしているのです。父上も僕が早く茶会に参加できるように、協力願います」
「「承知した、ルチア」」
陛下と父上が同時に返事をして声が重なった。うむ。やっぱり二人は仲が良いのかな?
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