義兄に愛人契約を強要する悪役オメガですが、主人公が現れたら潔く身を引きます!

月歌(ツキウタ)

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ラケールごめんね

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ラケールの下半身が熱く猛っていた。こんなわがままオメガ相手に、あそこを膨らませるだなんて。なんだか、ラケールを愛しく感じてしまった。

「急に発情したの?僕はヒートしてないのに、ラケールは変なアルファだね?」

「ルチアがヒートしなくても、俺の愛情は刺激される。子供の頃から俺の一番はルチアで、お前の事が『好き』だった。だから、ルチアが自殺を図った時には、俺の心はぐちゃぐちゃになったんだぞ!」

「ごめんね、ラケール」

「・・自殺を図ったルチアが目覚めたと聞いて、俺は急いでお前を見舞ったんだ。だけど、目覚めたばかりのルチアは、俺を知らない相手の様に見つめてきて・・そうしたら、俺は急に寂しくて悲しい気分に襲われて、泣きそうになった。なのに、俺のルチアに対する気持ちは『好き』から『愛してる』に変わっていくし・・もう、訳が分からなかった。ルチアがアルフレートの事で悩んでいた様に、俺だってルチアの事で色々と悩んでたんだからな!」

僕は目を見開きラケールを見た。ラケールも父上のように、本物のルチアの死を感じ取っていたということ?

ラケールは僕を見つめたまま静かに呟いた。

「でも、やっぱり・・ルチアが俺の一番だ」

僕は胸が熱くなるのを感じていた。全てを受け入れてくれるラケールに、僕は甘えすぎている。その自覚はあるけど、また甘えてしまう。

「ラケール、僕のお願いを聞いてくれる?」
「何でも言えよ、ルチア」

ラケールが真剣に応じてくれたので、僕も気持ちをぶちまけることにした。

「本当は、兄上と別れるべきだって分かってる。なのに、アルフレート兄上を思うと体が火照って・・兄上と過ごした濃厚な時間が、僕を縛るんだ。僕は淫乱なオメガで、どうしようもないバカで・・愚か者で」

僕はいつの間にか涙ぐんでいた。ラケールは黙って僕の話に耳を傾けてくれている。だから、最後までワガママを通すことにした。

「ラケールが嫌じゃないなら、僕を抱いてほしい。兄上以上に僕を愛して、ラケール。ぎゅって抱きしめて・・中をトロトロにさせて。兄上の事を忘れられるぐらいに、抱きしめて体を火照らせて。ラケール、僕はもう辛い思いはいやなんだ。兄上を苦しめる自分も嫌い。ラケール、僕を蕩けさせて。お願いだよ、ラケール。何もかも忘れさせるぐらいに、僕をトロトロに蕩けさせて!」

「ルチアを、トロトロに蕩けさせる?ア、アルフレート以上に?右折れの俺が、ルチアの中をトロトロのトロトロに・・蕩けさせるの?右折れなのに・・挿入・・しろと?」

ラケールがプルプルと震えだした。不意にラケールの下半身に違和感を感じて、彼のペニスの猛りを確認したい。そして、愕然とする。

僕の決死のセックスお誘い文句が、ラケールのペニスを極小サイズに変貌させてしまった。

え、嘘だよね?

「あ、あの・・ラケール?」
「ううっ」

「ご、ごめんね。急に気持ち悪いこと言って。そ、そうだよね。ラケールはベータ男子好きなの忘れてたよ!む、無理強いしてごめんね。嫌だったよね。すごい、セクハラしちゃった!でも、友達はやめないでね。ラケールがいなくなると、僕は一人で寂しい」

泣ける。いや、泣けるでしょ。まさか、愛の言葉で相手のペニスを極小サイズにしちゃうなんて。もう、泣くか!

「うえーん、キモくてごめんね」

「ルチア!違うんだ!この現象は、過度のストレスによる勃起不全なんだ」

「僕の存在が、ストレスでごめんーー!」

僕は耐えきれずに、ラケールの部屋を飛び出し自室に向かった。

「ルチアーー、誤解だぁーー!」

だが、廊下に出たところで、ラケールに腕を掴まれてしまった。僕が泣きながらその手を振り払おうとした時、ラケールの脇腹に蹴りが入った。ラケールが呻いて蹲る。

ピンクの髪のアルファ男子が、仏頂面で言葉を口にした。

「朝から盛ってんじゃねーよ。相手がいやがってるのわかんねえのか?これだから貴族は嫌なんだよな。傲慢さには反吐がでる」

ジャクソン = プラデス。

アンリの双子の弟が目の前にいる!


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