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クラス落ち?
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◆◆◆◆◆
不意に、ラケールが顔を上げて僕を見る。そして、声を掛けてきた。
「で、アンリがどう変わったって?」
急にラケールが話題を変えてきた。これ以上、『ベータ専』に触れられたくないわけだ。まあ、デリケートな話題ではあるかな。
しかし、この反応を見る限り、アルフレート兄上の情報は正しかったようだ。ラケールは、オメガを一度も抱いていない。つまり、オメガ相手では勃起しないということか?うーん。兄上の心配は当たりかも。
もしも、『運命の番』として正妻の座を得ても、愛は得られないに違いない。やはり、伴侶には愛されたいし・・抱き合いたい。ラケールと僕は、親友止まりかな。
「長い沈黙はやめてくれ、ルチア」
「ああ、ごめんね」
「さっき、アンリの姿を見たら驚くと言っていたが、何か変化があったのか?」
「アンリが毒ガス並みのフェロモンを体内から排出したことで、ちょっと痩せたんだよ。まだ、ぽっちゃり系だけどね。でも、アンリの魅力は確実にアップしたよ!」
「へえー、そんな事もあるのか。しかし、アンリは性格がヤバイからなあ。見た目が改善しても、俺は敬遠したいな」
「まあ、性格は未だに改善が見られないから、閉鎖病棟に入れられているわけだけどね。でも、違法薬物から脱却して、抑制剤を正しく飲めば、アンリは必ず優しいふわふわな奴に仕上がるはずなんだ!そうでなければ、ゲーム攻略に支障が出るからね!」
「ゲーム攻略?」
「うっ・・今の発言はわすれて。話を戻すね。僕は薄情にも、アンリの事を見捨てるつもりだった。だけど、彼の異常なフェロモンのお陰で、兄上の本音を聞くことができた。だから、アンリには感謝しているんだよね。アンリがAクラスに戻ってきたら、今度こそしっかりと面倒を見るつもり。ラケールも協力してね」
「その件だが・・」
「ん、何?」
「まだ知らないみたいだが、ルチアは今回の騒動の切っ掛けを作ったとして・・Bクラス行きらしい。親父が理事会から仕入れた話だ。で、親父から『運命の番と離れることは許さん!お前もBクラスに落ちろ』と命じられたから、俺もBクラス行きになった」
「・・Bクラス?え、僕がクラス落ち?」
「そうだ。ちなみに、アルフレートとアンリは何故かAクラスのままだ。理事会で話題にも上がらなかったらしい」
「ゲーム強制力か!?アルフレートとアンリは、Aクラスには不可欠な存在。でも、脇役の僕とラケールはAクラスには不要な存在。むしろ、邪魔だから・・Bクラスに落とされた」
「ルチアの発言が意味不明だが、とにかく俺とお前は仲良くクラス落ちだ!」
「アルフレート兄上と離ればなれ。イヤだぁ!しかも、アンリが主人公として復活したら、兄上は魅力されてしまうかも!それもイヤだぁ~!せっかく、兄上から『一目惚れ発言』を勝ち取ったのに・・なぜこうなる。くっ、予定を変更しよう。兄上との関係に何かしらの決着をみるまでは、アンリには当分入院していて貰おう。とにかく、現在のアンリの様子を見に行くよ、ラケール!」
僕はラケールを引きずるようにして、病室を飛び出した。だがそこで、思いがけない人物に会ってしまった。
ガーディナー侯爵家の現当主。
ケルスティン = ガーディナー。
僕の父だ。
◆◆◆◆◆
不意に、ラケールが顔を上げて僕を見る。そして、声を掛けてきた。
「で、アンリがどう変わったって?」
急にラケールが話題を変えてきた。これ以上、『ベータ専』に触れられたくないわけだ。まあ、デリケートな話題ではあるかな。
しかし、この反応を見る限り、アルフレート兄上の情報は正しかったようだ。ラケールは、オメガを一度も抱いていない。つまり、オメガ相手では勃起しないということか?うーん。兄上の心配は当たりかも。
もしも、『運命の番』として正妻の座を得ても、愛は得られないに違いない。やはり、伴侶には愛されたいし・・抱き合いたい。ラケールと僕は、親友止まりかな。
「長い沈黙はやめてくれ、ルチア」
「ああ、ごめんね」
「さっき、アンリの姿を見たら驚くと言っていたが、何か変化があったのか?」
「アンリが毒ガス並みのフェロモンを体内から排出したことで、ちょっと痩せたんだよ。まだ、ぽっちゃり系だけどね。でも、アンリの魅力は確実にアップしたよ!」
「へえー、そんな事もあるのか。しかし、アンリは性格がヤバイからなあ。見た目が改善しても、俺は敬遠したいな」
「まあ、性格は未だに改善が見られないから、閉鎖病棟に入れられているわけだけどね。でも、違法薬物から脱却して、抑制剤を正しく飲めば、アンリは必ず優しいふわふわな奴に仕上がるはずなんだ!そうでなければ、ゲーム攻略に支障が出るからね!」
「ゲーム攻略?」
「うっ・・今の発言はわすれて。話を戻すね。僕は薄情にも、アンリの事を見捨てるつもりだった。だけど、彼の異常なフェロモンのお陰で、兄上の本音を聞くことができた。だから、アンリには感謝しているんだよね。アンリがAクラスに戻ってきたら、今度こそしっかりと面倒を見るつもり。ラケールも協力してね」
「その件だが・・」
「ん、何?」
「まだ知らないみたいだが、ルチアは今回の騒動の切っ掛けを作ったとして・・Bクラス行きらしい。親父が理事会から仕入れた話だ。で、親父から『運命の番と離れることは許さん!お前もBクラスに落ちろ』と命じられたから、俺もBクラス行きになった」
「・・Bクラス?え、僕がクラス落ち?」
「そうだ。ちなみに、アルフレートとアンリは何故かAクラスのままだ。理事会で話題にも上がらなかったらしい」
「ゲーム強制力か!?アルフレートとアンリは、Aクラスには不可欠な存在。でも、脇役の僕とラケールはAクラスには不要な存在。むしろ、邪魔だから・・Bクラスに落とされた」
「ルチアの発言が意味不明だが、とにかく俺とお前は仲良くクラス落ちだ!」
「アルフレート兄上と離ればなれ。イヤだぁ!しかも、アンリが主人公として復活したら、兄上は魅力されてしまうかも!それもイヤだぁ~!せっかく、兄上から『一目惚れ発言』を勝ち取ったのに・・なぜこうなる。くっ、予定を変更しよう。兄上との関係に何かしらの決着をみるまでは、アンリには当分入院していて貰おう。とにかく、現在のアンリの様子を見に行くよ、ラケール!」
僕はラケールを引きずるようにして、病室を飛び出した。だがそこで、思いがけない人物に会ってしまった。
ガーディナー侯爵家の現当主。
ケルスティン = ガーディナー。
僕の父だ。
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