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腐男子臭?
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◆◆◆◆◆
ラケールにエスコートされて、ゆっくりと教室に向かったので明らかに遅刻だ。先生から咎めがあることを覚悟していたが、なんだかAクラスがいつになく騒がしい。
「ラケール、いけるんじゃない?」
「なにがだ、ルチア?」
「この騒ぎに乗じて『遅刻はしていません!』って済ました表情で席に座ってたら、先生を誤魔化せるかもって話」
「いや、無理だろ。ルチアは自覚ないみたいだが、今のお前からは、ちょっと甘い香りがしてる。教室に入った瞬間に、生徒の視線が集まると思うぞ」
僕は首を傾げて、ラケールを見た。上位オメガの僕は、自在にヒートを操れる。今は、フェロモンを出していない。
「今はフェロモン出してないよ?」
「お前の首筋の噛み痕を舐めてから、なんかルチアから桃みたいな香りしてる。あのさあ、もしかして・・ルチア、今やらしいこと想像してない?」
「はぁ?なに言ってるの、ラケール!?」
不埒な想像してた!ものすごくしてた!
アルフレート兄上が、僕の首筋の噛み痕にラケールの匂いが付いていることに気がついて、僕を責める想像してた!想像の中の兄上は、ラケールの匂いを消すべく、ねっとりと首筋を舐めてた!全て想像だけど。
だけど、腐男子なんだから仕方ないじゃないか!妄想ぐらい許してよ!いや、こんな言い訳はすまい。ラケールを変態ということで押し通す!
「僕は上位オメガだよ!ヒートもフェロモンも自分で管理できる。生まれてから、一度も抑制剤を必要としてない!僕をバカにしないで」
「ルチア、落ち着け。幼馴染だから、ちゃんとルチアの事は理解してる。でも、時々、フェロモンじゃない何かがでてるんだよ!その時のルチアは、何時も顔がにやけているのが特徴。そして、今のお前がそれだ!」
腐男子臭か!?腐男子臭が、溢れてるのか!
「僕の顔がにやつくと、桃の香りがするとか・・あり得ないから。錯覚だよ、錯覚」
「錯覚じゃない、見ろ、俺の下半身を!」
ラケールの言葉に、僕は幼馴染の下半身に視線を向けた。ラケールのズボンがむくってしていた。僕は慌てて、ラケールの手を弾いて距離をとった。
「ひぃー、勃起してるし!さっきまで、紳士的に僕をエスコートしていた、ラケールはどこにいったの!この、変態ラケールがっ!」
僕は変態ラケールを廊下に置き去りにして、後方の扉から騒がしい教室に飛び込んだ。
いや、飛び込んだといっても、静かにとびこんだよ?なのに、教室が一斉に静まりかえった。そして、一斉に視線が後方の僕に集まった。Aクラスの上位アルファの皆に見つめられて、僕は動揺して呻いた。
「うっ・・」
やはり、腐男子臭が原因なのか!?
でも、一人だけ、こちらに見向きもしない人物がいた。何故か、先生に掴みかかっているように見えるが、そこは問題ではない。
だって、待ちに待った、主人公だもの!薄いピンクの髪色の制服男子。これきたね、きた、きた。間違いない、主人公だ!
「アンリ = プラデス!」
「はい?」
興奮して名前を叫んでいた。主人公のアンリがゆっくりと振りかえる。ピンクの髪色の麗しのアンリ・・あれ?あれ?
スチルサイズが、横に伸びてるな。駄目だよ、運営さん。ここで、バグ発生は萎えるから。それとも、僕の目が乱視になったのかな?
「お、あれが、アンリ = プラデスか?ふむ、ぽっちゃり系というか・・デブっと肥えてるな」
「黙れ、ラケール!」
教室に入ってきたラケールが、主人公を見て僕の心を代弁してしまった。だが、僕はラケールの足を蹴り飛ばさずにはいられなかった。
◆◆◆◆◆
ラケールにエスコートされて、ゆっくりと教室に向かったので明らかに遅刻だ。先生から咎めがあることを覚悟していたが、なんだかAクラスがいつになく騒がしい。
「ラケール、いけるんじゃない?」
「なにがだ、ルチア?」
「この騒ぎに乗じて『遅刻はしていません!』って済ました表情で席に座ってたら、先生を誤魔化せるかもって話」
「いや、無理だろ。ルチアは自覚ないみたいだが、今のお前からは、ちょっと甘い香りがしてる。教室に入った瞬間に、生徒の視線が集まると思うぞ」
僕は首を傾げて、ラケールを見た。上位オメガの僕は、自在にヒートを操れる。今は、フェロモンを出していない。
「今はフェロモン出してないよ?」
「お前の首筋の噛み痕を舐めてから、なんかルチアから桃みたいな香りしてる。あのさあ、もしかして・・ルチア、今やらしいこと想像してない?」
「はぁ?なに言ってるの、ラケール!?」
不埒な想像してた!ものすごくしてた!
アルフレート兄上が、僕の首筋の噛み痕にラケールの匂いが付いていることに気がついて、僕を責める想像してた!想像の中の兄上は、ラケールの匂いを消すべく、ねっとりと首筋を舐めてた!全て想像だけど。
だけど、腐男子なんだから仕方ないじゃないか!妄想ぐらい許してよ!いや、こんな言い訳はすまい。ラケールを変態ということで押し通す!
「僕は上位オメガだよ!ヒートもフェロモンも自分で管理できる。生まれてから、一度も抑制剤を必要としてない!僕をバカにしないで」
「ルチア、落ち着け。幼馴染だから、ちゃんとルチアの事は理解してる。でも、時々、フェロモンじゃない何かがでてるんだよ!その時のルチアは、何時も顔がにやけているのが特徴。そして、今のお前がそれだ!」
腐男子臭か!?腐男子臭が、溢れてるのか!
「僕の顔がにやつくと、桃の香りがするとか・・あり得ないから。錯覚だよ、錯覚」
「錯覚じゃない、見ろ、俺の下半身を!」
ラケールの言葉に、僕は幼馴染の下半身に視線を向けた。ラケールのズボンがむくってしていた。僕は慌てて、ラケールの手を弾いて距離をとった。
「ひぃー、勃起してるし!さっきまで、紳士的に僕をエスコートしていた、ラケールはどこにいったの!この、変態ラケールがっ!」
僕は変態ラケールを廊下に置き去りにして、後方の扉から騒がしい教室に飛び込んだ。
いや、飛び込んだといっても、静かにとびこんだよ?なのに、教室が一斉に静まりかえった。そして、一斉に視線が後方の僕に集まった。Aクラスの上位アルファの皆に見つめられて、僕は動揺して呻いた。
「うっ・・」
やはり、腐男子臭が原因なのか!?
でも、一人だけ、こちらに見向きもしない人物がいた。何故か、先生に掴みかかっているように見えるが、そこは問題ではない。
だって、待ちに待った、主人公だもの!薄いピンクの髪色の制服男子。これきたね、きた、きた。間違いない、主人公だ!
「アンリ = プラデス!」
「はい?」
興奮して名前を叫んでいた。主人公のアンリがゆっくりと振りかえる。ピンクの髪色の麗しのアンリ・・あれ?あれ?
スチルサイズが、横に伸びてるな。駄目だよ、運営さん。ここで、バグ発生は萎えるから。それとも、僕の目が乱視になったのかな?
「お、あれが、アンリ = プラデスか?ふむ、ぽっちゃり系というか・・デブっと肥えてるな」
「黙れ、ラケール!」
教室に入ってきたラケールが、主人公を見て僕の心を代弁してしまった。だが、僕はラケールの足を蹴り飛ばさずにはいられなかった。
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