義兄に愛人契約を強要する悪役オメガですが、主人公が現れたら潔く身を引きます!

月歌(ツキウタ)

文字の大きさ
上 下
12 / 119

腐男子臭?

しおりを挟む
◆◆◆◆◆


ラケールにエスコートされて、ゆっくりと教室に向かったので明らかに遅刻だ。先生から咎めがあることを覚悟していたが、なんだかAクラスがいつになく騒がしい。

「ラケール、いけるんじゃない?」
「なにがだ、ルチア?」

「この騒ぎに乗じて『遅刻はしていません!』って済ました表情で席に座ってたら、先生を誤魔化せるかもって話」

「いや、無理だろ。ルチアは自覚ないみたいだが、今のお前からは、ちょっと甘い香りがしてる。教室に入った瞬間に、生徒の視線が集まると思うぞ」

僕は首を傾げて、ラケールを見た。上位オメガの僕は、自在にヒートを操れる。今は、フェロモンを出していない。

「今はフェロモン出してないよ?」

「お前の首筋の噛み痕を舐めてから、なんかルチアから桃みたいな香りしてる。あのさあ、もしかして・・ルチア、今やらしいこと想像してない?」

「はぁ?なに言ってるの、ラケール!?」

不埒な想像してた!ものすごくしてた!

アルフレート兄上が、僕の首筋の噛み痕にラケールの匂いが付いていることに気がついて、僕を責める想像してた!想像の中の兄上は、ラケールの匂いを消すべく、ねっとりと首筋を舐めてた!全て想像だけど。

だけど、腐男子なんだから仕方ないじゃないか!妄想ぐらい許してよ!いや、こんな言い訳はすまい。ラケールを変態ということで押し通す!

「僕は上位オメガだよ!ヒートもフェロモンも自分で管理できる。生まれてから、一度も抑制剤を必要としてない!僕をバカにしないで」

「ルチア、落ち着け。幼馴染だから、ちゃんとルチアの事は理解してる。でも、時々、フェロモンじゃない何かがでてるんだよ!その時のルチアは、何時も顔がにやけているのが特徴。そして、今のお前がそれだ!」

腐男子臭か!?腐男子臭が、溢れてるのか!

「僕の顔がにやつくと、桃の香りがするとか・・あり得ないから。錯覚だよ、錯覚」

「錯覚じゃない、見ろ、俺の下半身を!」

ラケールの言葉に、僕は幼馴染の下半身に視線を向けた。ラケールのズボンがむくってしていた。僕は慌てて、ラケールの手を弾いて距離をとった。

「ひぃー、勃起してるし!さっきまで、紳士的に僕をエスコートしていた、ラケールはどこにいったの!この、変態ラケールがっ!」

僕は変態ラケールを廊下に置き去りにして、後方の扉から騒がしい教室に飛び込んだ。

いや、飛び込んだといっても、静かにとびこんだよ?なのに、教室が一斉に静まりかえった。そして、一斉に視線が後方の僕に集まった。Aクラスの上位アルファの皆に見つめられて、僕は動揺して呻いた。

「うっ・・」

やはり、腐男子臭が原因なのか!?

でも、一人だけ、こちらに見向きもしない人物がいた。何故か、先生に掴みかかっているように見えるが、そこは問題ではない。

だって、待ちに待った、主人公だもの!薄いピンクの髪色の制服男子。これきたね、きた、きた。間違いない、主人公だ!

「アンリ = プラデス!」
「はい?」

興奮して名前を叫んでいた。主人公のアンリがゆっくりと振りかえる。ピンクの髪色の麗しのアンリ・・あれ?あれ?

スチルサイズが、横に伸びてるな。駄目だよ、運営さん。ここで、バグ発生は萎えるから。それとも、僕の目が乱視になったのかな?

「お、あれが、アンリ = プラデスか?ふむ、ぽっちゃり系というか・・デブっと肥えてるな」

「黙れ、ラケール!」

教室に入ってきたラケールが、主人公を見て僕の心を代弁してしまった。だが、僕はラケールの足を蹴り飛ばさずにはいられなかった。


◆◆◆◆◆
しおりを挟む
感想 54

あなたにおすすめの小説

僕がハーブティーを淹れたら、筆頭魔術師様(♂)にプロポーズされました

楠結衣
BL
貴族学園の中庭で、婚約破棄を告げられたエリオット伯爵令息。可愛らしい見た目に加え、ハーブと刺繍を愛する彼は、女よりも女の子らしいと言われていた。女騎士を目指す婚約者に「妹みたい」とバッサリ切り捨てられ、婚約解消されてしまう。 ショックのあまり実家のハーブガーデンに引きこもっていたところ、王宮魔術塔で働く兄から助手に誘われる。 喜ぶ家族を見たら断れなくなったエリオットは筆頭魔術師のジェラール様の執務室へ向かう。そこでエリオットがいつものようにハーブティーを淹れたところ、なぜかプロポーズされてしまい……。   「エリオット・ハワード――俺と結婚しよう」 契約結婚の打診からはじまる男同士の恋模様。 エリオットのハーブティーと刺繍に特別な力があることは、まだ秘密──。

期待外れの後妻だったはずですが、なぜか溺愛されています

ぽんちゃん
BL
 病弱な義弟がいじめられている現場を目撃したフラヴィオは、カッとなって手を出していた。  謹慎することになったが、なぜかそれから調子が悪くなり、ベッドの住人に……。  五年ほどで体調が回復したものの、その間にとんでもない噂を流されていた。  剣の腕を磨いていた異母弟ミゲルが、学園の剣術大会で優勝。  加えて筋肉隆々のマッチョになっていたことにより、フラヴィオはさらに屈強な大男だと勘違いされていたのだ。  そしてフラヴィオが殴った相手は、ミゲルが一度も勝てたことのない相手。  次期騎士団長として注目を浴びているため、そんな強者を倒したフラヴィオは、手に負えない野蛮な男だと思われていた。  一方、偽りの噂を耳にした強面公爵の母親。  妻に強さを求める息子にぴったりの相手だと、後妻にならないかと持ちかけていた。  我が子に爵位を継いで欲しいフラヴィオの義母は快諾し、冷遇確定の地へと前妻の子を送り出す。  こうして青春を謳歌することもできず、引きこもりになっていたフラヴィオは、国民から恐れられている戦場の鬼神の後妻として嫁ぐことになるのだが――。  同性婚が当たり前の世界。  女性も登場しますが、恋愛には発展しません。

悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、自らを反省しました。BLゲームの世界で推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)

悪役令息の七日間

リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。 気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】

モブなのに執着系ヤンデレ美形の友達にいつの間にか、なってしまっていた

マルン円
BL
執着系ヤンデレ美形×鈍感平凡主人公。全4話のサクッと読めるBL短編です(タイトルを変えました)。 主人公は妹がしていた乙女ゲームの世界に転生し、今はロニーとして地味な高校生活を送っている。内気なロニーが気軽に学校で話せる友達は同級生のエドだけで、ロニーとエドはいっしょにいることが多かった。 しかし、ロニーはある日、髪をばっさり切ってイメチェンしたエドを見て、エドがヒロインに執着しまくるメインキャラの一人だったことを思い出す。 平凡な生活を送りたいロニーは、これからヒロインのことを好きになるであろうエドとは距離を置こうと決意する。 タイトルを変えました。 前のタイトルは、「モブなのに、いつのまにかヒロインに執着しまくるキャラの友達になってしまっていた」です。 急に変えてしまい、すみません。  

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。

【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。 私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。 「でも、白い結婚だったのよね……」 奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。 全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。 一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。 断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

国を救った英雄と一つ屋根の下とか聞いてない!

古森きり
BL
第8回BL小説大賞、奨励賞ありがとうございます! 7/15よりレンタル切り替えとなります。 紙書籍版もよろしくお願いします! 妾の子であり、『Ω型』として生まれてきて風当たりが強く、居心地の悪い思いをして生きてきた第五王子のシオン。 成人年齢である十八歳の誕生日に王位継承権を破棄して、王都で念願の冒険者酒場宿を開店させた! これからはお城に呼び出されていびられる事もない、幸せな生活が待っている……はずだった。 「なんで国の英雄と一緒に酒場宿をやらなきゃいけないの!」 「それはもちろん『Ω型』のシオン様お一人で生活出来るはずもない、と国王陛下よりお世話を仰せつかったからです」 「んもおおおっ!」 どうなる、俺の一人暮らし! いや、従業員もいるから元々一人暮らしじゃないけど! ※読み直しナッシング書き溜め。 ※飛び飛びで書いてるから矛盾点とか出ても見逃して欲しい。  

処理中です...