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学生寮
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◆◆◆◆◆
生徒会室をでると、ラケール = トゥリエルが壁に背を預けて僕を待っていた。
「ラケール、見張りをありがとう」
「お前は、声を出しすぎだ。人が数人廊下を通った時に、ルチアの喘ぎ声が聞こえて、咄嗟に歌ったから、俺。まじ、気まずい雰囲気だった。こんな役は、もう二度とごめんだ」
俺は思わず笑みを浮かべていた。
「生徒会室なら、安全だと思ったけど声が漏れてたか。で、ラケールは何を歌ったの?」
「トゥリエル家に伝わる古い歌だ。婚姻の時に、歌う習わしがある」
「あらら、そんな大切な歌で、僕の喘ぎを消すとは、トゥリエル家の先祖に怒られるね」
「先祖に怒られたら、ルチアも一緒に謝れ。それで、ルチアは学生寮に帰るのか?」
僕は腰を擦りながら、ラケールに返事した。
「妙な態勢でセックスしたのが、不味かった。腰がいたいよ、ラケール。シャワー浴びたら、ベッドで横になるつもり」
僕が歩き始めると、ラケールも共に歩きだした。彼も学生寮に戻るのだろう。しばらく黙っていたラケールが不意に言葉を発した。
「幼馴染みとして忠告するぞ、ルチア」
「ん?」
「兄弟で関係を持つのはやめろ」
「義理の兄弟ね」
「同じようなものだ。それに、ルチアはオメガ性だ。もし、妊娠したらどうするつもりだ?」
俺は思わず眉を潜めた。
「ちゃんと、コンドームしてるから大丈夫。兄上は、その辺りは抜かりないからね。それに、いつまでも、こんな関係は続けないよ。続けられないと言うべきかな。時が来たら、アルフレート兄上からは身を引くよ」
「こんな関係になるべきではなかった」
「ラケールは、過去に拘るねぇ。だけど、気がつくと、こういう関係になってたの。そうなると、なかなか後には引けないだろ?別れる切っ掛けが必要なんだよ・・僕にも兄上にも」
「切っ掛けねえ?」
「もうすぐ、その切っ掛けが現れる予定」
「なんだよそれ?ちゃんと説明しろよ」
「秘密~。ところで、夕飯食べた後で、ラケールの部屋にいっていい?宿題教えて、上位アルファのラケールさん」
「上位オメガのルチアさん。宿題の丸写しは駄目だぞ。頭いいくせに、頭使わないと、馬鹿になるぞ」
「何気に差別的発言だな、ラケール」
「ルチアの成績は、上位アルファにも負けていなかった。なのに、侯爵家次期当主の座を奪われたら、途端に成績が落ちた。手抜きはするな、ルチア。義兄が失策すれば、ルチアの父上も考えを変えて、次期当主としてお前を選びなおすかも知れないだろ?」
僕は思わず皮肉な笑みを浮かべていた。
「どれだけ足掻いても、オメガ性の僕では駄目なんだよ。上位アルファの義兄が、次期当主になることを望んだのは・・父上だ。でも、悔しいから、これからも、アルフレート兄上には意地悪するけどね」
ラケールがため息をついた。
「ルチアが不幸になるのは嫌だぞ」
「路頭に迷ったら、ラケールの愛人しながら、嫁を探そうかな。お嫁さんは、ベータかオメガが妥当かな?」
「路頭に迷ったら、ルチアを嫁にもらう」
「えー、やめて。僕は女の子と結婚するから」
「俺の愛人をしながら、結婚相手探すとか、倫理的に問題あるからやめとけ」
「この世界に、倫理観を求めても無駄だと思うよ、ラケール?」
ラケールと話していると、あっという間に学生寮に着いていた。
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生徒会室をでると、ラケール = トゥリエルが壁に背を預けて僕を待っていた。
「ラケール、見張りをありがとう」
「お前は、声を出しすぎだ。人が数人廊下を通った時に、ルチアの喘ぎ声が聞こえて、咄嗟に歌ったから、俺。まじ、気まずい雰囲気だった。こんな役は、もう二度とごめんだ」
俺は思わず笑みを浮かべていた。
「生徒会室なら、安全だと思ったけど声が漏れてたか。で、ラケールは何を歌ったの?」
「トゥリエル家に伝わる古い歌だ。婚姻の時に、歌う習わしがある」
「あらら、そんな大切な歌で、僕の喘ぎを消すとは、トゥリエル家の先祖に怒られるね」
「先祖に怒られたら、ルチアも一緒に謝れ。それで、ルチアは学生寮に帰るのか?」
僕は腰を擦りながら、ラケールに返事した。
「妙な態勢でセックスしたのが、不味かった。腰がいたいよ、ラケール。シャワー浴びたら、ベッドで横になるつもり」
僕が歩き始めると、ラケールも共に歩きだした。彼も学生寮に戻るのだろう。しばらく黙っていたラケールが不意に言葉を発した。
「幼馴染みとして忠告するぞ、ルチア」
「ん?」
「兄弟で関係を持つのはやめろ」
「義理の兄弟ね」
「同じようなものだ。それに、ルチアはオメガ性だ。もし、妊娠したらどうするつもりだ?」
俺は思わず眉を潜めた。
「ちゃんと、コンドームしてるから大丈夫。兄上は、その辺りは抜かりないからね。それに、いつまでも、こんな関係は続けないよ。続けられないと言うべきかな。時が来たら、アルフレート兄上からは身を引くよ」
「こんな関係になるべきではなかった」
「ラケールは、過去に拘るねぇ。だけど、気がつくと、こういう関係になってたの。そうなると、なかなか後には引けないだろ?別れる切っ掛けが必要なんだよ・・僕にも兄上にも」
「切っ掛けねえ?」
「もうすぐ、その切っ掛けが現れる予定」
「なんだよそれ?ちゃんと説明しろよ」
「秘密~。ところで、夕飯食べた後で、ラケールの部屋にいっていい?宿題教えて、上位アルファのラケールさん」
「上位オメガのルチアさん。宿題の丸写しは駄目だぞ。頭いいくせに、頭使わないと、馬鹿になるぞ」
「何気に差別的発言だな、ラケール」
「ルチアの成績は、上位アルファにも負けていなかった。なのに、侯爵家次期当主の座を奪われたら、途端に成績が落ちた。手抜きはするな、ルチア。義兄が失策すれば、ルチアの父上も考えを変えて、次期当主としてお前を選びなおすかも知れないだろ?」
僕は思わず皮肉な笑みを浮かべていた。
「どれだけ足掻いても、オメガ性の僕では駄目なんだよ。上位アルファの義兄が、次期当主になることを望んだのは・・父上だ。でも、悔しいから、これからも、アルフレート兄上には意地悪するけどね」
ラケールがため息をついた。
「ルチアが不幸になるのは嫌だぞ」
「路頭に迷ったら、ラケールの愛人しながら、嫁を探そうかな。お嫁さんは、ベータかオメガが妥当かな?」
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「えー、やめて。僕は女の子と結婚するから」
「俺の愛人をしながら、結婚相手探すとか、倫理的に問題あるからやめとけ」
「この世界に、倫理観を求めても無駄だと思うよ、ラケール?」
ラケールと話していると、あっという間に学生寮に着いていた。
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