[深海の森〜凌辱の果て〜]現代ファンタジーBL

第１０話 セックス

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和樹が組んだあぐらの上で、僕は足を開かされ卑猥な声を上げていた。

「あぁっ・・ん、和樹ぃ・・・ひゃ、ああ・・」

潤滑液を零しながら、蕾に沈む和樹の指は異物感と快感を与える。

「痛くないか？正美、指増やすで？」
「ん・・ああ・・」

増やされた指の圧迫感に、思わず和樹に抱きついた。震える肩を彼が優しく抱きしめる。

くちゅり

卑猥な音を立てて、指が体内を押し広げる。解される腸壁から全身に快感が走る。

「やぁ・・んぁ！」

「ここ、感じるんやろ？お前、先走りしてるで」

和樹が意地悪な笑顔を浮かべる。僕は自身の牡を見つめて赤面する。とろとろと牡から零れる精液が、ねっとりと下肢を潤す。

「そんなこと、言うなよ、ああ・・」

ぐちゅぐちゅと、さらに奥に進む指が受け入れる空間を作り出す。快感と羞恥心に涙が滲んだ。和樹が零れた涙を舌で舐めると、そのまま首筋を責める。

「はうっ・・んん」

尻を揉み込まれ、双丘を押し広げられて僕は真っ赤になった。

「正美、この体位でいってみるか？」

「無理だよぉ～。女じゃないんだよ、僕は？んぁ、はぁ・・・やっん」

和樹が笑う。

「反応がすっかり女やで？いけるやろ。俺は正美の顔見て挿入したい」

「和樹・・」

僕は真っ赤になりながら、体内で蠢く指を全身で感じていた。うつ伏せでの挿入が一番体に負担がなくて楽だけど・・。

「いい・・よ」

和樹の顔が満足そうに弛む。指が引き抜かれると、ぽたぽたと潤滑液が流れ落ちた。

「や・・」

潤った蕾に指とは比較にならない大きさのものが宛がわれる。僕は衝撃を恐れて、自然と腰を引いていた。怖い

「正美・・ゆっくり入れるから」

僕はがくがくと頷いていた。

「ひぃ・・や！！」

鋭い痛みが下肢から伝わる。震える僕の肩を、和樹が抱き寄せ押さえる。

「んん、いたっ・・・・和樹ぃ」
「くっ・・力抜け、正美！」

緊張して体中がちがちだった。自分でも分かる。少しでも、和樹を楽にしたいのに、体内が侵入する牡を締め上げ押し出そうとする。

「はぁ・・んん」

強引に入り込む牡が、僕の意識を吹き飛ばす。僕は誰かの名前を口走っていた。


◇◇◇◇◇


痛いと泣く正美の口からは、俺ではない人間の名前が迸る。

兄さん・・と

切なくて、腹立たしくて、愛おしくて、強引に最奥に牡を押し込める。

「ひぃ・・いやだ！」
「正美、正美・・」

最奥にぶつかり根元まで埋め込まれた牡が、腸壁の収縮に耐えていた。動けない。俺は何度も正美の頬を撫で、髪を梳く。

「大丈夫やから、力抜いて。正美、動けん・・やん？」

「う・・ふぅ・・」

徐々に直腸が異物を受け入れてゆく。正美の肩の震えが止まり、甘いため息が漏れる。

「かずきぃ・・」

俺の名を呼んだ正美の唇を、強引に奪っていた。体はぎしぎしと軋み、無理な体位に正美は泣きそうになっている。それでも、俺は深く舌を絡める事をやめない。

「はぁ・・」

唇を離すと深い息遣いが漏れる。俺は笑って、正美の身を少し自由にしてやる。動き出した腰は、もう止まらなかった。正美の奥深くを貫き、浅く引いては抽挿を繰り返す。

波のように強く、弱く。正美を飲み込んでゆく。いや、飲み込まれてるのは俺か？

「んあぁ、はぁ、はぁ、でちゃ・う、ああぁ・・」

情欲に飲まれた正美の声が、俺を絶頂に追い込む。思うままに正美を犯す牡は、腸壁を擦りあげそして弾けた。

熱い飛沫が正美の体内を穢す。びくりと震えて正美も欲望を吐き出した。涙目の正美が、ぼんやりと俺を見つめ口を開く。

「離さないで・・僕を、一人にしないで・・」

正美・・それは、誰に宛てた言葉や？
俺か？それとも、お前の兄貴にか？

潤んだ眼から涙が綺麗に落ちていく。その綺麗な体を、また穢したいと思った。体内に押し込んだままの牡が再び力を取り戻す。蕾から体液を零しながら、徐々に牡が体内を圧迫する。

「・・や・・くぅ・・」

僅かに歪められた眉が、苦痛を示すものか快楽を示すものかは、よく分からない。それでも。

「もう一回、ええか？」

俺の言葉に拒絶の言葉は返ってこなかった。ただ虚ろな眼で俺を見つめていた。

もう少し。
繋がりたい。

そう思えることが奇跡のように思えて、俺は再び腰を動かしだしていた。



◇◇◇◇◇



セックスを終えた体は、酷く疲れていた。隣では、和樹が寝息をたてている。ベットに横たわりながら、僕は天井を見つめていた。和樹は優しい。僕を何時も大切に扱ってくれる。

まるで、兄さんのように。

だから、僕とセックスする事で少しでも和樹が快感を得てくれるなら嬉しかったし、多少の無理も聞きたかった。
僕は深い吐息を付いて目を瞑った。

それにしても、読みきりとはいえデビューが決まったのは驚きだった。和樹が尽力してくれたのは間違いないし、いくらお礼を言ってもたりないくらいだ。だからと言って、体で恩を返しているとも思われたくなかった。

僕たちの関係を知った人間なら、そう思っても不思議はないけど・・和樹にはそう思われたくない。もっとも、僕は兄の代わりに抱いてもらっているし、和樹も僕を変り種として抱くわけだから・・たいして愛情があるとも思えないけど。

でも、打算だけで抱き合っているよりましな気もした。僕は目を開けると、横で眠る和樹の顔を覗き込んだ。

「ありがとう、和樹。僕はがんばるから。お前って本当に最高の友達だよ」

そう呟くと、眠っていると思っていた和樹が言葉を発する。

「お前は、最高の友達と寝るわけか？おい、俺以外に最高の友達は作らん方がいいで？身がもたんからな」

「起きていたの？」

和樹がゆっくりと目を開き笑う。

「視線が熱すぎ。まあ、がんばれよ。俺ができることは、お前を推薦することぐらいやから。後はお前の実力にかかってるからな。ところで、まじでBL漫画は描けそうか？」

「う・・・」

僕は返事に詰まって考え込んだ。

「まあ、少年誌やし・・ソフトBLって感じやろか？主人公は、中高生ってところやろ？」

中高生の男子・・

不意に、中学生の要くんを思い浮かべてしまった。しかも、兄さんと抱き合うシーンを。うわあああ・・今のはナシ。

「正美～、今誰の顔を思い浮かべたか当てたろか？」

「うるさいよ、和樹」

和樹が笑って僕を抱き寄せる。

「あー、でも大人向けBLなら、完全お前の兄貴と中学生はセックスばこばこな感じやねんけどなぁーー」

僕は、和樹の頭を拳で叩いていた。

「いてっ」

ぽか

「痛い、こら。正美、やめろって」

ぽかっ、ぽかっ

僕は和樹を殴りながら、ほんの少し不安に駆られていた。普段の兄さんなら、中学生のしかも男の子と寝るなんてありえないことだ。だけど、彼の境遇に酷く同情して、動揺すらしていたように思える。

まさかとは思うが、奥さんのはるかさんを悲しませるようなことにはならないとは思うけど・・。


◇◇◇


人の心は不可思議だ。

父親に異常な執着をされた少年は、その執着から逃れようともがき、失う執着を補うように誰かに執着してゆく。

でも、僕は複雑に絡み合う感情に気が付かなかった。僕は僕自身の生きる道に必死だったから。

それに気が付いたのは、僕の読みきりの漫画が雑誌に載った４月初旬のことだった。

小林要は、兄さんのストーカーになっていた。


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