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月歌男根先生の小説(ネタバレあり)

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俺と山崎アルファはサイゼリヤに向かう車内で、耽美小説の話で盛り上がる。

「やっぱり、初っ端の痴話喧嘩のシーンが印象的ですよね!俺はベータ受けの嫉妬深い感じがちょっと苦手でしたが、栄一さんはどう思いましたか?」

「私は喧嘩別れした受けを追わないベータ攻めに腹が立ちましたね!受けは少しくらい嫉妬深い方が可愛いと私は思いますよ、優斗さん。」

「なるほど~❥❥」
「そうですよ~❥❥」

◇◇◇

月歌男根の小説『サイゼリヤの幽霊』は、サイゼリヤでのベータ男子同士の痴話喧嘩から始まる。ベータ受けは勘違いから攻めの浮気を疑い口喧嘩に発展。

ベータ受けは怒ってサイゼリヤを後にする。しかし、浮気を疑われたベータ攻めは受けを追うことはしなかった。

誤解が解ければすぐに仲直りできる。二人はそう思っていた。だが、仲直りをする前にベータ受けは交通事故に遭う。

喧嘩別れしたベータ受けは、帰路の半ばで交通事故に遭って病院に搬送された。治療により命は取り留めたが、一向に意識が戻らない。ベータ攻めは足繁く病院に通うが、受けの意識が戻ることはなかった。

時は流れて、3年後。

ベータ受けは病院から支援施設に居住を移していたが、今だに意識は戻らない。それでも、いつか目覚めると信じていた。だが、ベータ攻めはベータ受けの家族から、息子のことは諦めて新しい人生を歩むよう諭される。その言葉に傷つきながらも、攻めは頷くしかなかった。

それ以降、ベータ攻めは受けの元に通うのをやめる。その代わりに、攻めはベータ受けと喧嘩別れしたサイゼリヤに毎日通い夕飯を食べるようになった。

その日はベータ受けの誕生日だった。

サイゼリヤでミラノ風ドリアを黙って食べた後、ベータ攻めは2人分のケーキを注文した。そのケーキを黙々と食べていると、涙が溢れて止まらなくなる攻め。

その時だった。不意に誰かが目の前の席に座る。不審に思い顔を上げると、眼の前にベータ受けがいた。混乱するベータ攻めの前で、ベータ受けはフォークを掴むとケーキの端をすくい口に運ぶ。

『美味しい』とベータ受けは微笑む。

だが、次の瞬間にはベータ受けの姿は消えて、フォークがカツンと床に転がり落ちる。ベータ攻めは真っ青になって席を立つ。そして、ベータ受けがいる支援施設に向かって走り出していた。

施設に着いたベータ攻めは、職員の制止を振り切って受けの部屋に向かった。そして、扉を開きベータ受けの部屋に飛び込む。そこで目にしたものは‥‥。

◇◇◇

「ベータ受けが生きてるとか反則だと思いませんか、栄一さん!題名が『サイゼリヤの幽霊』ですよ?なんで生きてんのってなりましたね。生霊かよ!題名で騙しに来るとか、男根先生らしすぎる~❥でも、その後の受けと攻めの甘々の展開がたまらなく良かった!耽美です!耽美!はぁ( ´Д`)=3❥❥❥」

「ベッドで目覚めたばかりのベータ受けを抱きしめるベータ攻め。まさかその後にセックス展開になるとは、私も驚きした。痩せた受けの体を抱きしめて激しいセックスさせるとは、男根先生は鬼畜すぎる。しかも、受けが感じて掠れ声で喘ぎ声を上げるところは興奮して下半身が熱くなりました!」

「あそこ!やばいですよね!俺も下半身が熱くなり、シコシコしました❥❥❥」

「え、オメガもシコシコするのですか?」
「それはもう!」
「今度一緒に、」


「‥‥‥黙りましょうか‥栄一さま‥‥暁月さま」

突然、地を這うような声が車内に響いた。声の主はベータの三日月アドバイザーだった。彼は顔を真っ赤にしながら口を開く。

「お二人が仲良くあるのは喜ばしい事ですが、ベータ男子がそばにいることを‥‥少しは配慮して下さい」

あれ、三日月さん。怒って真っ赤になってるんじゃないんだ。恥ずかしがってる。

「あれ、照れてます(*´∀`*)?」
「だまりなさい、No.Ω-1050669!」


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