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初デートに保護者同伴
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◆◆◆◆◆
山崎栄一。
『お友達から始める婚活プラン』に登録していた、アルファの山崎さん。彼の趣味は耽美小説を読む事だった。
趣味の類似性から、俺たちは奇跡のマッチングを果たした。
今日はマッチングした山崎さんとの初の顔合わせ。挨拶をすませた後は、二人でデートに向かう。楽しみだ。
もうこれは運命でしょ!
ベータ男子たちの禁断の愛を描いた耽美小説。その耽美の世界を理解するアルファが存在するなんて、信じられない!
まさに奇跡だ!ベータ女子が好む人気ジャンルではあるが、オメガやアルファには人気がない。むしろ、軽蔑する風潮さえある。
そのため、俺は隠れ耽美主義者として活動している。それが、アルファと心置きなく耽美について語り合えるなんて!サイコ~。
「デートの待ち合わせ時間から一分経過。オメガを待たせるとは、婚活相手としてはマイナス査定ですね」
三日月アドバイザーが余計な事を口にする。ここは結婚相談所『寿屋』の一階ロビー。故に、三日月さんがそばにいる。
「三日月さんは黙っていて下さい。一分くらい遅れても問題ありません。はぁ、待ち合わせ場所が『寿屋』のロビーでなければよかったのに。でも、これからデートだと思うとドキドキする。二人で本屋巡りしたい」
「浮かれているようで申し訳ないのですが、今回のデートは私も同伴いたします」
「は?聞いてないんだけど!?」
「前回の面談で暁月さまは同意書にサインされました。これがその書類です。浮かれて話を聞いていなかったようですね。」
「えー?」
三日月さんが書類を差し出したので、俺はそれを手に取り読み始める。
『結婚相談所『寿屋』の基本姿勢は、婚活希望者の自由意志を尊重し支援する事です。
しかしながら、婚活依頼者の暁月優斗さまは、諸事情によりオメガ性が未熟であるとの判断がなされました。
暁月優斗さまの人権を守る為、『寿屋』では特別処置としてアドバイザーの三日月を保護者枠として配置いたします。
結婚相談所『寿屋』は、暁月優斗さまの婚活を全力で応援いたします。また、オメガ性がアルファ性から不当な扱いを受けぬように、国の法律を遵守します。
暁月優斗様におかれましてはご理解の上、ご署名をお願いいたします。
署名欄 暁月優斗 』
「文章が長い!そして、署名してた!」
「ご署名があるので有効です」
「くっ!」
確かに俺のサインがある。う~む。いつサインしたんだろ?マッチングして浮かれていたからな‥‥。
俺がそんな事を考えていると、三日月アドバイザーが突然席を立つ。
「どうやらお車でいらしたようですね。なっ!婚活初デートに軽自動車で現れるとは、マイナス100点!暁月さまはこちらでお待ち下さい。私が駐車場に向かい、高級車を購入するように指導してまいります!」
「うぉーー、三日月!やめてーー!」
俺の婚活がヤバい!
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山崎栄一。
『お友達から始める婚活プラン』に登録していた、アルファの山崎さん。彼の趣味は耽美小説を読む事だった。
趣味の類似性から、俺たちは奇跡のマッチングを果たした。
今日はマッチングした山崎さんとの初の顔合わせ。挨拶をすませた後は、二人でデートに向かう。楽しみだ。
もうこれは運命でしょ!
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まさに奇跡だ!ベータ女子が好む人気ジャンルではあるが、オメガやアルファには人気がない。むしろ、軽蔑する風潮さえある。
そのため、俺は隠れ耽美主義者として活動している。それが、アルファと心置きなく耽美について語り合えるなんて!サイコ~。
「デートの待ち合わせ時間から一分経過。オメガを待たせるとは、婚活相手としてはマイナス査定ですね」
三日月アドバイザーが余計な事を口にする。ここは結婚相談所『寿屋』の一階ロビー。故に、三日月さんがそばにいる。
「三日月さんは黙っていて下さい。一分くらい遅れても問題ありません。はぁ、待ち合わせ場所が『寿屋』のロビーでなければよかったのに。でも、これからデートだと思うとドキドキする。二人で本屋巡りしたい」
「浮かれているようで申し訳ないのですが、今回のデートは私も同伴いたします」
「は?聞いてないんだけど!?」
「前回の面談で暁月さまは同意書にサインされました。これがその書類です。浮かれて話を聞いていなかったようですね。」
「えー?」
三日月さんが書類を差し出したので、俺はそれを手に取り読み始める。
『結婚相談所『寿屋』の基本姿勢は、婚活希望者の自由意志を尊重し支援する事です。
しかしながら、婚活依頼者の暁月優斗さまは、諸事情によりオメガ性が未熟であるとの判断がなされました。
暁月優斗さまの人権を守る為、『寿屋』では特別処置としてアドバイザーの三日月を保護者枠として配置いたします。
結婚相談所『寿屋』は、暁月優斗さまの婚活を全力で応援いたします。また、オメガ性がアルファ性から不当な扱いを受けぬように、国の法律を遵守します。
暁月優斗様におかれましてはご理解の上、ご署名をお願いいたします。
署名欄 暁月優斗 』
「文章が長い!そして、署名してた!」
「ご署名があるので有効です」
「くっ!」
確かに俺のサインがある。う~む。いつサインしたんだろ?マッチングして浮かれていたからな‥‥。
俺がそんな事を考えていると、三日月アドバイザーが突然席を立つ。
「どうやらお車でいらしたようですね。なっ!婚活初デートに軽自動車で現れるとは、マイナス100点!暁月さまはこちらでお待ち下さい。私が駐車場に向かい、高級車を購入するように指導してまいります!」
「うぉーー、三日月!やめてーー!」
俺の婚活がヤバい!
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