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ネックチョーカー

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ネックチョーカーを外すと喉に外気が触れてヒヤリと感じた。ネックチョーカーがないとひどく不安になる。早く嵌めたい。

「暁月さま、首周りを確認しますね」
「は、はい」

相手はベータ男子だ。意識をすることはない。でも、やっぱり恥ずかしい!三日月が席から立つとテーブルを回り込み、俺の首の周辺を観察し始めた。

三日月の手が肌に触れる事はない。でも、三日月の息遣いが気になって仕方ない。別にアドバイザーの息が荒くなったとか、そんな変化はない。でも、ほんの少しの変化も逃すまいと、俺の神経は尖りきっていた。

「美しいうなじですね」
「えっ?」
「アルファの牙の痕はありません。」
「でしょ?」

「ネックチョーカーもピッタリ首周りにフィットしているようで、擦れもありませんね。このうなじは‥‥アルファ性の性欲をそそるには十分な美しさです。」

めっちゃ褒められてる。だが、恥ずかしいだけだ。はやく、チョーカーをつけたい。

「ネックチョーカーを着けてもよいですか、三日月さん?」

「はい、暁月さま。ありがとうございました。エントリーシートにうなじの美しさを特記しておきますね。」

「え?別にそんな記述はいらないです」

俺がチョーカーをつけながら返事をすると、三日月アドバイザーは不意に真顔になった。そして、そのまま座席につくと俺の顔を真っ直ぐに見つめて話しだした。

「正直に申し上げますと、婚活市場においてオメガ男子の需要はかなり低いです」

「うっ!」

言い切られた!

「また、アルファ性は独占欲が強く、一度他の男に抱かれたオメガを下に見る傾向にあります。それでも、オメガ女子にはまだ需要はあります。」

「‥‥はぁ」

三日月アドバイザーは話が長い。

「しかし、オメガ男子についてはご存知のように、差別と弾圧の時期が長く存在しました。今は法律により差別を禁じていますが、人の心は中々変わらないものです。残念ながらオメガ男子を性奴隷として扱う者もおり‥‥闇は深いです」

俺は思わず身震いしてしまった。婚活を始めたのは間違いかもしれない。

「待ってください。じゃあ、ここで相手を紹介され成婚に至っても‥‥性奴隷扱いされるということですか?それなら俺は一人で生きていく道を探ります!」

「勿論、一人で生きる道もあるでしょう。ですが、暁月さまが結婚相談所『寿屋』を頼って下さった以上、アドバイザーとして全面的にあなたをサポートいたします!相談者の暁月さまを性奴隷として扱う相手と番わせるはずがありません!」

「でも‥‥」

「それに、『寿屋』では偏見の強いアルファはもとより登録できません。どうぞ、私達に婚活サポートをさせて下さい、暁月さま」

「はぁ、えっと‥‥よろしくお願いします」
「はい!」

押し切られた。この人公務員だよな?めちゃくちゃ熱血で若干引くんだけど。もっと気楽に婚活したい~。



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