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婚活にいたる経緯

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運命の番と巡り合う確率はとても低い。

なのに、俺の婚約者のアルファが運命の番と巡り合ってしまった。

運命の番が出逢った場合、二人が結ばれる事が何よりも優先される。これは日本国が定めた法律であり、法治国家に住む者は従うしかない。

まず、運命の番たちは婚約破棄や離婚することが無条件で認められている。

なので、俺は婚約破棄された。
‥‥あっさりとね。
アルファとはセックスは済ませていたのにな。うなじを噛まれる前だったのが唯一の救いかな。

離婚より婚約破棄の方がマシだとわかってる。それでも、俺はしばらく病んで部屋に閉じこもり状態になった。

そんな可哀想な人間が犯罪に走らないように、国も施策を講じている。

運命の番絡みで婚約破棄または離婚された人物には、一人で生きていけるように障害年金が支給される。障害年金は誰かと番うまでは一生涯支給される決まりだ。

この年金を貰うには、婚約破棄したアルファには今後一切関わらないことを誓約する必要がある。もちろん、俺は誓約書にサインした。

何故って、未練たらしく運命の番となった二人に近づけば、投獄されることもあるからだ。つまり、俺は婚約破棄したアルファに逢うだけで犯罪者になるわけで‥‥そんなリスクを背負ってまであいつに逢いたいとも思わない。

俺は年金をもらい、今は実家暮らしをしている。家族は俺に優しく接してくれるが、流石に何時までも実家暮らしは大人として恥ずかしい。でも、オメガ性は男子といえども一人暮らしは難しい。

まず、部屋を貸してもらえない。一人暮らしでヒートが起こった場合、困り事が多発するので家主がオメガを敬遠するのは分かる。俺は抑制剤でヒートをコントロールしているが、それでも断られた。

結局、俺は一人暮らしを諦めた。家を買うほどの金もなかったしね。このまま実家で暮らそうか‥そう思ったある日、不意に寂しさに襲われた。

家族が亡くなった後は‥‥俺はどうやって生きていくのだろう。誰とも番うことなく、一人で生涯を終えるのか?それに、年金があるから生活はできるだろうが、物価上昇傾向をみると経済的不安もある。

まあ、こんな感じでモヤモヤ気分を抱えた俺は、解決策を求めて婚活を始めることにした。好きな相手にめぐり逢いたいというより、人生寄り添える相手を見つけたかった。

すぐに相手は見つかると思ってた。
まだ若いし。

でも、婚活市場は男オメガを求めてはいなかった。俺の婚活は前途多難なかんじだ。


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