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第45話 コックさんが格好いい
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◆◆◆◆◆◆
僕はコアラが木にしがみ付く様に、コック・リングに抱きついていた。
「コックさん、元気そうでよかった!!」
「ライカも、元気そうでよかった。でも、そんなに抱きつかれると、君の顔が良く見えないな。君の顔を見せて欲しい、ライカ=ベラドンナ」
「うん、コックさん!」
コックさんの言葉に、僕は少し照れながら彼から身を離した。コックさんは優しい表情で、僕を見ている。それにしても、僕は勘違いしていたようだ。『メス化』された人物は、オネエさん化して「なよっ」とするものと思っていた。だが、目の前のコック・リングは以前よりも、男らしくなっている。
「コックさん、なんだか以前より男らしくなってる。ムキってしてる」
「ああ、もしかしてムキっとした体は、ライカの好みでは無かったかな?でも、これは不可抗力なんだ。サンソン牢獄に堕とされた後の俺の日々は、闘いの連続だった。君は俺に初めてをくれたのに、俺は何度も男たちに輪姦されてしまった。すまない、ライカ・・俺は穢れてしまった。だが、それでもライカに会いたくて、俺はサンソン牢獄から出られる日を信じて、必死に生き残る事を考えた」
「コックさん・・」
「サンソン牢獄は弱肉強食の世界だった。俺は弱者の組合を立ち上げる事を提案した。最初は囚人達に受け入れては貰えなかったが、徐々に仲間を集めていった。弱者の集団である俺たちは、強者に必死に抵抗し抗った。襲ってくる男たちを潰しては、彼らから食料を奪っては仲間達で分かち合った。気が付けば、俺は以前よりも筋肉が付き男らしくなっていた。不思議だね。『メス化』された俺が、男らしい体を得ても、なんの意味もないのにな」
僕は思わずコックさんの両腕を掴んでいた。そして、コックさんの目を見つめながら笑った。
「以前のコックさんも素敵だったけど、今のコックさんを見ると胸がキュンってする。こんな表現、不細工な僕には相応しくないけど、本当にそう思ったから。コックさんは、凄くカッコいいと僕は思う!!」
「ライカ、ありがとう。今、君を抱きしめたいところだけど・・アルフレッド・ノーマンに殴られそうだな。それでも、抱きしめても良いだろうか?」
「勿論だよ、コックさん。僕を、抱きしめて!!」
僕が両腕を広げると、突然背後から抱きしめられた。見上げると、そこには厳しい顔をしたアルフレッド・ノーマンがいた。彼は僕を抱き上げると、コックさんから引き離した。
「アルフレッド!!」
「ライカ=ベラドンナ。君には、やはり俺の保護と監視が必要なようだね。コック・リングは、今やサンソン牢獄の囚人を洗脳して、大きな勢力を作り出した危険人物とみられている。当局からも危険視され監視されている人物だ」
「コックさん、凄い!『凌辱モブ』から大出世じゃないか!!」
すげーー!コックさんが、ただの『凌辱モブ』から、当局に危険視される人物に出世していた。カッコいい!だが、一つ気になる事が。まだ、彼が『凌辱モブ』なのかどうか、確認したい。彼のペニスは灰色になっているか、気になる。頼んだら見せてくれるかな。
「ライカ、あいつは危険人物だ」
「アルフレッド!コックさんは、格好いい危険人物だからOKだよ!」
「ライカ、抱き上げるよ。第一教室に戻ろう」
「ああ、ダメだよ、アルフレッド!僕は、第十教室の見学に来たんだ」
「見学?何のために?」
「第一教室の『薬理学』から、第十教室で学べる社会科学系統の『法学』と『政治学』に勉学を変更する様に、学園の方から指導を受けているんだ。その件で、フィスト・ファックに会いに来たのだけれど・・」
フィスト・ファックの名前を出すと、アルフレッドは更に表情を厳しくした。アルフレッドは無言で僕を抱き上げると、またもやお姫様抱っこをした。だから、この不細工ライカをお姫様抱っこしないでくれ。
「誰か俺の名前を呼んだか?・・・いや、呼んでないな。空耳だった」
不意に第十教室の扉から現れたのは、フィスト・ファックだった。だが、アルフレッド・ノーマンと彼にお姫様抱っこされる僕と、ムキっとしたカッコいいコックさんの姿にびびったらしく、何事もなかったように教室に戻ろうとした。
いや、逃しません、フィスト・ファック!!僕をこの状況から助けてください!!
「フィスト・ファック、会いに来たよーー!!ところで、灰色下半身は元気かな?今日は、朝だちした?」
「ふざけんな、ライカ=ベラドンナ!!俺を巻き込むのはやめてくれ。何だ、この修羅場は。怖すぎるだろ、怖い!!しかも、俺の下半身を話題に出すな!灰色とか言うな!綺麗な色をしてるぞ。朝だちは・・あまりしないが。ああ、そうだとも!俺のあそこは、ただいま絶不調だ。だけど、今は巻き込まないでくれ。怖いだろ。すごく睨まれてる。アルフレッド・ノーマンと、もう一人の奴に。殺される!!」
フィスト・ファックは、叫び声を上げて教室に戻ろうとしたが、その腕をがっしりと掴まれた。彼の腕を掴んだのは、コックさんだった。
「貴様は・・何者だ?」
コックさんは不意に凶悪な表情を浮かべた。フィスト・ファックは顔面蒼白になっていた。『凌辱モブ』同士のご対面。もしかして二人の間に恋が生まれたりして!
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僕はコアラが木にしがみ付く様に、コック・リングに抱きついていた。
「コックさん、元気そうでよかった!!」
「ライカも、元気そうでよかった。でも、そんなに抱きつかれると、君の顔が良く見えないな。君の顔を見せて欲しい、ライカ=ベラドンナ」
「うん、コックさん!」
コックさんの言葉に、僕は少し照れながら彼から身を離した。コックさんは優しい表情で、僕を見ている。それにしても、僕は勘違いしていたようだ。『メス化』された人物は、オネエさん化して「なよっ」とするものと思っていた。だが、目の前のコック・リングは以前よりも、男らしくなっている。
「コックさん、なんだか以前より男らしくなってる。ムキってしてる」
「ああ、もしかしてムキっとした体は、ライカの好みでは無かったかな?でも、これは不可抗力なんだ。サンソン牢獄に堕とされた後の俺の日々は、闘いの連続だった。君は俺に初めてをくれたのに、俺は何度も男たちに輪姦されてしまった。すまない、ライカ・・俺は穢れてしまった。だが、それでもライカに会いたくて、俺はサンソン牢獄から出られる日を信じて、必死に生き残る事を考えた」
「コックさん・・」
「サンソン牢獄は弱肉強食の世界だった。俺は弱者の組合を立ち上げる事を提案した。最初は囚人達に受け入れては貰えなかったが、徐々に仲間を集めていった。弱者の集団である俺たちは、強者に必死に抵抗し抗った。襲ってくる男たちを潰しては、彼らから食料を奪っては仲間達で分かち合った。気が付けば、俺は以前よりも筋肉が付き男らしくなっていた。不思議だね。『メス化』された俺が、男らしい体を得ても、なんの意味もないのにな」
僕は思わずコックさんの両腕を掴んでいた。そして、コックさんの目を見つめながら笑った。
「以前のコックさんも素敵だったけど、今のコックさんを見ると胸がキュンってする。こんな表現、不細工な僕には相応しくないけど、本当にそう思ったから。コックさんは、凄くカッコいいと僕は思う!!」
「ライカ、ありがとう。今、君を抱きしめたいところだけど・・アルフレッド・ノーマンに殴られそうだな。それでも、抱きしめても良いだろうか?」
「勿論だよ、コックさん。僕を、抱きしめて!!」
僕が両腕を広げると、突然背後から抱きしめられた。見上げると、そこには厳しい顔をしたアルフレッド・ノーマンがいた。彼は僕を抱き上げると、コックさんから引き離した。
「アルフレッド!!」
「ライカ=ベラドンナ。君には、やはり俺の保護と監視が必要なようだね。コック・リングは、今やサンソン牢獄の囚人を洗脳して、大きな勢力を作り出した危険人物とみられている。当局からも危険視され監視されている人物だ」
「コックさん、凄い!『凌辱モブ』から大出世じゃないか!!」
すげーー!コックさんが、ただの『凌辱モブ』から、当局に危険視される人物に出世していた。カッコいい!だが、一つ気になる事が。まだ、彼が『凌辱モブ』なのかどうか、確認したい。彼のペニスは灰色になっているか、気になる。頼んだら見せてくれるかな。
「ライカ、あいつは危険人物だ」
「アルフレッド!コックさんは、格好いい危険人物だからOKだよ!」
「ライカ、抱き上げるよ。第一教室に戻ろう」
「ああ、ダメだよ、アルフレッド!僕は、第十教室の見学に来たんだ」
「見学?何のために?」
「第一教室の『薬理学』から、第十教室で学べる社会科学系統の『法学』と『政治学』に勉学を変更する様に、学園の方から指導を受けているんだ。その件で、フィスト・ファックに会いに来たのだけれど・・」
フィスト・ファックの名前を出すと、アルフレッドは更に表情を厳しくした。アルフレッドは無言で僕を抱き上げると、またもやお姫様抱っこをした。だから、この不細工ライカをお姫様抱っこしないでくれ。
「誰か俺の名前を呼んだか?・・・いや、呼んでないな。空耳だった」
不意に第十教室の扉から現れたのは、フィスト・ファックだった。だが、アルフレッド・ノーマンと彼にお姫様抱っこされる僕と、ムキっとしたカッコいいコックさんの姿にびびったらしく、何事もなかったように教室に戻ろうとした。
いや、逃しません、フィスト・ファック!!僕をこの状況から助けてください!!
「フィスト・ファック、会いに来たよーー!!ところで、灰色下半身は元気かな?今日は、朝だちした?」
「ふざけんな、ライカ=ベラドンナ!!俺を巻き込むのはやめてくれ。何だ、この修羅場は。怖すぎるだろ、怖い!!しかも、俺の下半身を話題に出すな!灰色とか言うな!綺麗な色をしてるぞ。朝だちは・・あまりしないが。ああ、そうだとも!俺のあそこは、ただいま絶不調だ。だけど、今は巻き込まないでくれ。怖いだろ。すごく睨まれてる。アルフレッド・ノーマンと、もう一人の奴に。殺される!!」
フィスト・ファックは、叫び声を上げて教室に戻ろうとしたが、その腕をがっしりと掴まれた。彼の腕を掴んだのは、コックさんだった。
「貴様は・・何者だ?」
コックさんは不意に凶悪な表情を浮かべた。フィスト・ファックは顔面蒼白になっていた。『凌辱モブ』同士のご対面。もしかして二人の間に恋が生まれたりして!
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