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第29話 コックさんの行方
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◆◆◆◆◆◆
この学園への入学を希望する生徒達ならば、誰もが知る暗黙のルールがある。
それは、学園入学前に性的体験を済ませておくというものである。何故なら、この学園は凌辱学園と暗に呼ばれるほど、凌辱案件が発生するからである。ゲーム制作側が、攻略対象者の風紀委員を活躍させる為に、このような卑猥な学園が作ったと言えなくもない。まあ、初めての相手が凌辱犯とかだと最悪だよね。僕はコックさんで満足だけど。
とにかく、ゲーム制作者の悪意により、学園にはアイリスをバッドエンドに持ち込む為に、様々な凌辱イベントが用意されている。しかも、凌辱の被害に遭うのはアイリスだけではなく、一般生徒にも及ぶ。可愛い容姿の学生たちは、軒並み狙われる鬼畜仕様となっている。
『アンアン』ゲーム補正があるアイリスと違い、普通の生徒が男に襲われた場合には、入院を必要とする事も多い。そのために、この学園には病院が併設されていると言っても過言ではない。ただし、風紀委員の部室でこっそり書類を確認したところ、一般生徒を襲っている奴らの中に卑猥な人物名は見当たらなかった。
そこで、僕は一般生徒を襲うモブを『欲求不満モブ』と命名した。因みに、コックさんと行動を共にしていた四人の仲間の名前を確認したところ普通の名前だった。その為、彼らの事も欲求不満モブと認定する事にした。
コック・リング
フィスト・ファック
共通点は卑猥な名前だけだけど、二人は『凌辱モブ』であると僕は考えている。アイリス=スノードロップに近づく事で、凌辱モブとしてのスイッチが入ると思われる。
『凌辱モブ』と『欲求不満』モブの違いは、記憶の違いにある。『欲求不満モブ』はアイリスや他の生徒を襲った動機も、経緯もはっきりと記憶している。だが、『凌辱モブ』はハッシュの自白剤を以てしても、アイリスを襲った動機や経緯がはっきりとはしなかったのだ。コックさんの場合を例にとると、僕と関係を持った経緯ははっきりと記憶していたのに、アイリスを襲った経緯や動機は時間がたつにつれて曖昧になりはっきりしなくなった。
これらの事から、僕は『凌辱モブ』にはゲーム補正が掛かり、アイリスを襲うように強制されているとの結論に達した。『欲求不満モブ』に対しては、厳しい刑罰を望むが、『凌辱モブ』に対してはどうしても同情を禁じえない。やっぱり、最初の出会いがコックさんだったという事が大きい。彼は、今どこで過ごしているのだろうか?会いたいなぁ・・コックさんに。
◇◇◇◇
「コックさんに逢いたいなぁ・・」
おっと、まずい。思わず心の声が漏れてしまった。お陰で風紀委員の部室の空気が、一気に緊張してしまったではないか。ウォーレンは、わざとらしく咳払いした後に口を開いた。
「私はこれから、ライカを襲った男を尋問室に連れていく。後の事は、アルフレッド・ノーマンに一任する。ライカの気が進まないようなら、詳しい聴取は必要ない。私が一部始終見ていたので後で証言する。それと、アルフレッド。ライカには、コック・リングの現状について話すべきだと私は思うが・・どうだろうか?」
「・・その必要はない」
僕はコックさんの名前を聞き、アルフレッドに駆け寄ってしがみ付いた。
「アルフレッド、コックさんの事を教えてよ!!」
「ウォーレン、どういうつもりだ?」
アルフレッド・ノーマンはウォーレンを睨みつけて、低い声を出した。
「お前は、コック・リングの処罰について、できるだけ酷ではないものにするとライカに約束したはずだ。だが、現実には長期に渡って過酷な処罰を行っている。私の目には私的な思いから処罰を行っている様に思えるのだが?」
「ライカには善処すると言っただけだ」
「アルフレッド・ノーマン、僕の目を見て。コックさんの現状を教えて」
「ライカ=ベラドンナ。コック・リングの処罰は風紀委員の権限により行っている。君に介入する権利はない」
「アルフレッド!!」
アルフレッド・ノーマンは沈黙を通すつもりだ。僕は部室を見回すとパウルと目が合った。彼は気まずそうに視線を逸らしたが、やがて視線を僕に戻して語りだした。
「アルフレッドの事をそんなに責めたりせんといてくれるかな、ライカ?こいつは、お前との約束を守る為に、拷問ではなく薬物による『メス化』に変更した。薬物で、コック・リングの『メス化』に成功したんやけど・・どういう訳かライカへの気持ちが消えんかった。あいつは『メス化』したにも関わらす、卒業後にお前に伴侶契約を申し込むと言って聞かへん。あいつは『アルファ』の身分やから、『ベータ』のお前は伴侶契約を迫られたら断られへんやろ?だから、その気持ちが消えるまで・・サンソン牢獄に堕としてる」
僕は一気に頭に血が上った。サンソン牢獄に堕とされれば、若い男は壊れるまで輪姦される事ぐらい誰だって知っている。一体いつから、コックさんはそこに入れられていた?
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この学園への入学を希望する生徒達ならば、誰もが知る暗黙のルールがある。
それは、学園入学前に性的体験を済ませておくというものである。何故なら、この学園は凌辱学園と暗に呼ばれるほど、凌辱案件が発生するからである。ゲーム制作側が、攻略対象者の風紀委員を活躍させる為に、このような卑猥な学園が作ったと言えなくもない。まあ、初めての相手が凌辱犯とかだと最悪だよね。僕はコックさんで満足だけど。
とにかく、ゲーム制作者の悪意により、学園にはアイリスをバッドエンドに持ち込む為に、様々な凌辱イベントが用意されている。しかも、凌辱の被害に遭うのはアイリスだけではなく、一般生徒にも及ぶ。可愛い容姿の学生たちは、軒並み狙われる鬼畜仕様となっている。
『アンアン』ゲーム補正があるアイリスと違い、普通の生徒が男に襲われた場合には、入院を必要とする事も多い。そのために、この学園には病院が併設されていると言っても過言ではない。ただし、風紀委員の部室でこっそり書類を確認したところ、一般生徒を襲っている奴らの中に卑猥な人物名は見当たらなかった。
そこで、僕は一般生徒を襲うモブを『欲求不満モブ』と命名した。因みに、コックさんと行動を共にしていた四人の仲間の名前を確認したところ普通の名前だった。その為、彼らの事も欲求不満モブと認定する事にした。
コック・リング
フィスト・ファック
共通点は卑猥な名前だけだけど、二人は『凌辱モブ』であると僕は考えている。アイリス=スノードロップに近づく事で、凌辱モブとしてのスイッチが入ると思われる。
『凌辱モブ』と『欲求不満』モブの違いは、記憶の違いにある。『欲求不満モブ』はアイリスや他の生徒を襲った動機も、経緯もはっきりと記憶している。だが、『凌辱モブ』はハッシュの自白剤を以てしても、アイリスを襲った動機や経緯がはっきりとはしなかったのだ。コックさんの場合を例にとると、僕と関係を持った経緯ははっきりと記憶していたのに、アイリスを襲った経緯や動機は時間がたつにつれて曖昧になりはっきりしなくなった。
これらの事から、僕は『凌辱モブ』にはゲーム補正が掛かり、アイリスを襲うように強制されているとの結論に達した。『欲求不満モブ』に対しては、厳しい刑罰を望むが、『凌辱モブ』に対してはどうしても同情を禁じえない。やっぱり、最初の出会いがコックさんだったという事が大きい。彼は、今どこで過ごしているのだろうか?会いたいなぁ・・コックさんに。
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「コックさんに逢いたいなぁ・・」
おっと、まずい。思わず心の声が漏れてしまった。お陰で風紀委員の部室の空気が、一気に緊張してしまったではないか。ウォーレンは、わざとらしく咳払いした後に口を開いた。
「私はこれから、ライカを襲った男を尋問室に連れていく。後の事は、アルフレッド・ノーマンに一任する。ライカの気が進まないようなら、詳しい聴取は必要ない。私が一部始終見ていたので後で証言する。それと、アルフレッド。ライカには、コック・リングの現状について話すべきだと私は思うが・・どうだろうか?」
「・・その必要はない」
僕はコックさんの名前を聞き、アルフレッドに駆け寄ってしがみ付いた。
「アルフレッド、コックさんの事を教えてよ!!」
「ウォーレン、どういうつもりだ?」
アルフレッド・ノーマンはウォーレンを睨みつけて、低い声を出した。
「お前は、コック・リングの処罰について、できるだけ酷ではないものにするとライカに約束したはずだ。だが、現実には長期に渡って過酷な処罰を行っている。私の目には私的な思いから処罰を行っている様に思えるのだが?」
「ライカには善処すると言っただけだ」
「アルフレッド・ノーマン、僕の目を見て。コックさんの現状を教えて」
「ライカ=ベラドンナ。コック・リングの処罰は風紀委員の権限により行っている。君に介入する権利はない」
「アルフレッド!!」
アルフレッド・ノーマンは沈黙を通すつもりだ。僕は部室を見回すとパウルと目が合った。彼は気まずそうに視線を逸らしたが、やがて視線を僕に戻して語りだした。
「アルフレッドの事をそんなに責めたりせんといてくれるかな、ライカ?こいつは、お前との約束を守る為に、拷問ではなく薬物による『メス化』に変更した。薬物で、コック・リングの『メス化』に成功したんやけど・・どういう訳かライカへの気持ちが消えんかった。あいつは『メス化』したにも関わらす、卒業後にお前に伴侶契約を申し込むと言って聞かへん。あいつは『アルファ』の身分やから、『ベータ』のお前は伴侶契約を迫られたら断られへんやろ?だから、その気持ちが消えるまで・・サンソン牢獄に堕としてる」
僕は一気に頭に血が上った。サンソン牢獄に堕とされれば、若い男は壊れるまで輪姦される事ぐらい誰だって知っている。一体いつから、コックさんはそこに入れられていた?
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