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第28話 アイリスは理事長に弄ばれる

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風紀委員の部室に入ると、三人の風紀委員とハッシュが机の上に突っ伏していた。よく見ると制服は乱れて、所々破れている。ま、まさか・・攻略対象者が凌辱されるルートが存在したのか!?しかも、お助けキャラのハッシュまで制服が乱れている。なんてことだ。このような貴重なルートを見逃すなんて、僕は馬鹿だ!!

僕は急いでハッシュに駆け寄って、机に突っ伏す彼を揺さぶって起こそうとした。

「ハッシュ、しっかりして!!攻略対象者が一気に三人も凌辱されるルートがあるなんて信じられないよ。どうやればこのルートに辿り着けるのか教えて!起きろ、ハッシュ・アルカロイド!!」
「うう、ライカ?」
「うん、ライカだよ。どうしたの、何があったの?ハッシュも凌辱されたの?」
「そんな訳ないだろ、ライカ。アイリスが理事長室で『アンアン』言ってたから、理事長室に突入して、カール先生と乱闘になっただけだよ」
「えええ、それでアイリスはどうなったの!」

ようやく、ハッシュは起き上がり僕の顔を見た。そして目を大きく見開いて、僕の顔を両手で包み込んだ。

「ライカ!!」
「はい?」
「頬に怪我を負ったのか!?」
「ああ、ちょっと男に殴られて頬が腫れたんだ。病院に行ったら大きな湿布を張られちゃった。目立つよね」
「誰に殴られた?」
「僕の事は良いからアイリスの事を教えてよ」
「ライカ、誰に殴られたのか教えて?アイリスの件はそれからだ」
「ハッシュ!!」

「ライカ=ベラドンナは男に襲われた」

不意に、ウォーレン・ヒルが僕とハッシュの会話に口を挟み、床に転がる男を指さしていた。その頃には、他の風紀委員も起き上がりウォーレンの話に聞き入っていた。ウォーレンはそんな彼らに説明を始めた。

「ライカを殴ったのは、床に転がっている男だ。ライカ=ベラドンナは第一教室前の廊下で頬を殴られてそのまま連れ去られた。後を追った私は保健室のベッドで男に押し倒され制服を剥ぎ取られようとしているライカを発見。男を処理した後、病院に行きライカの治療を済ませた。男は犯行を否認しているが、明らかに強姦未遂だ」

ウォーレンは僕の説明を終えると、アイリスの事について質問した。

「アイリス=スノードロップは理事長室に連れ込まれて凌辱されたのか?」

それに応じたのは、パウル・ミュラーだった。

「凌辱未遂ね。いやぁ、参ったわ・・アイリスちゃん自ら理事長室に乗り込むんやから。ライカが『監視係』に任じられたことに腹を立てて、アイリスちゃんは理事長のカール先生に直談判に行ったらしい」
「あれ?パウルさん、アイリスに理事長のカール先生はヤバい奴だって話してなかったの?」
「思いっきり忠告してったっての!カール・ヴィルヘルムは、花の名前が付いた生徒を優先的に喰らうから、二人っきりになるなって何度も言ったのに完全無視や。あかんわ、あの子」

僕は思わず頭を抱えてしまった。

アイリスの性格改善は、諦めた方がいいかもしれない。まあ、BLゲーム時代から厄介な存在だったからな。アイリスの行動の選択肢が五つも現れながら、どれも選びたくないという場面が何度もあった。一番安全そうな選択肢を選んでも、バッドエンドに繋がる鬼畜仕様。これは、もはやアイリス=スノードロップの責任ではなく、ゲーム制作サイドの問題だと思う。

やはり、このゲームはクソだ。しかも、攻略対象者とアイリスのラブメーターは駄々下がりの様子。このまま凌辱エンドを避けて無事に卒業しても、アイリスは『勝ち組』にはなれずに、不細工『アルファ』から伴侶契約を迫られて凌辱エンドを迎える事になるよ。その場合、この世界はどうなるんだ?それにしても、僕が『監視係』だとアイリスには不都合が生じるのだろうか?

「あの、アイリスはどうして僕が『監視係』であることに腹を立てたの?」

「ああ、それね。アイリスは、『ライカは『監視係』を悪用して風紀委員を誘惑しているので学園法で裁いて欲しい』って訴えにいったみたいや。でも、その訴えは退けられて、頭にきたアイリスは理事長を罵った。そしたら、何時の間にか、理事長に『アンアン』させられてたんやって」
「えーー??」
「異変に気が付いたのは、アルフレッドや。風紀委員の部室に来たアルフレッド・ノーマンが、隣の理事長室から卑猥な声や音が聞こえる事に気が付いた。即座に、仲間に声を掛けて理事長室に突入したら、アイリスが理事長にバイブレーターを突っ込まれて『アンアン』言ってる最中やった。ペニスの挿入は無かったみたいやけど、理事長に色々弄ばされたらしくって、アイリスは若干ビッチ状態になっていたから、今は病院に収容してる」

「アイリスーーーーー!!」

主人公アイリスは、キラキラ可愛いキャラだけど純真無垢な設定ではない。学園入学前には、ちゃんと複数の同性との関係を経験しているし童貞も卒業している。また、アイリスには『アンアン』ゲーム補正が掛かっている為、男に襲われた後の立ち直りがメチャクチャ早く、入院を必要とする事は滅多に無い。入院するのは、バッドエンドを食らった時ぐらいだ。そのアイリスが、入院するなんてただ事ではない。

僕は慌てて病院に向かおうととして、ウォーレンに腕を掴まれた。

「ウォーレン、アイリスが!」

「ライカ、冷静になれ。お前がアイリスを見舞っても、君は罵られるだけだ。それに、君の聴取がまだ済んでいない。もう一つ頼めるなら、ハッシュが強姦魔の急所を蹴り続けているので、奴を止めてやってくれないか?」

「ひぃ~ハッシュ、やめて!フィストのたまが潰れるーーーー!!」

ハッシュ・アルカロイドが無表情で、床に転がったフィスト・ファックのアソコを蹴りまくっていた。僕は慌ててハッシュの背中に抱きついた。



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