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第17話 風紀委員の部室に行く
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◆◆◆◆◆◆
風紀委員の部室は、学園の最上階にある。その部室の隣が理事長室という、何とも奇妙なつくりとなっている。だがそれも仕方がない。確か、BLゲームのパッケージデザインが、学園の最上階の図だったはずだ。キラキラ攻略対象者が全員集合して、主人公のアイリス=スノードロップを取り囲んでいた。
ゴージャスなパッケージデザインに涎を垂らしてしまった記憶がある。それほど、BLゲームを始める前の期待感は高かった。すぐに裏切られたけどね。
◇◇◇◇
「ゲームのキャラクターデザインは、最高の絵師さんが担当していたのに・・どうして、このBLゲームはクソ内容なんだ。凌辱バッドエンドスチルばかりを書かされた、絵師さんの気持ちにもなってみろ!!」
「ライカ・・風紀委員の部室に入ったら、ゲーム発言は控えような」
「分かってるって、ハッシュ。でもね、この最上階の風紀委員の部室の中で、攻略対象者とアイリスが『アンナン』するトゥルーエンドがあったとしたら、最高だと思わない?」
「・・ライカ、興奮しすぎ。今から、風紀委員と対面するんだよ?例の『素股気分射精』の説明を、興奮気味に話すのはやめてくれよ?」
「大丈夫、大丈夫!」
突然、風紀委員の部室の扉が開いた。まだ、部室までは数メートルは先なんだけど、話し声が大きすぎたのかもしれない。
「やあ、よう来てくれたねぇ!えーっと、凌辱疑惑のライカ=ベラドンナ君と『サポート係』のハッシュ・アルカロイド君やね。楽しそうな声が、部室にも聞こえてきたわ。さあ、風紀委員の部室に入って。ちょっと、先客がいてるけどね」
攻略対象者のパウル・ミュラーだ。金持ち商人の息子という設定の為、安直にも関西弁を使うキャラ設定にされている。このチョロそうな性格とほんわか関西弁に、僕はすっかり騙された。チョロ攻略対象者と見誤った僕は、何度もアイリスを近づけてはバッドエンドを食らった。
「んー、どうしたん?はよ、部室入り。お菓子もぎょうさん用意してるから緊張せんでええよ?」
「騙されません、パウル・ミュラー!どうせ、トゥルーエンドに見せかけてのバッドエンドコースですね」
「ライカ・・黙ろうか?」
「・・・うっ」
今、ハッシュ・アルカロイドから、注射的何かを打たれた気がする。チクってきた。いや、まさか友人に早業で注射とか打たないよね、ハッシュ?
「ライカ、大丈夫かい?すみません、パウルさん。ライカはすごく繊細な性格で、緊張すると上手く話せなくなるので、俺が代わりにライカの身に起こったことを説明しますね」
「うう、ハッシュ・・」
「大丈夫だからな、ライカ。俺が全部説明する間は、ライカの肩を抱きしめて離さないから」
いや、駄目でしょそれ。それに、ハッシュには普段から色々盛られてる気もするから、ある程度は薬剤に耐性は付いてるよ。まあ、ちょっと気分は落ち着いてきたな。ふむ。
◇◇◇◇
「部室に入る前に少し聞いてもいいかな、パウル?」
気分が落ち着いてきたので、僕は疑問に思っていた事をパウルに問いかけることにした。
「お、いきなりの呼び捨て?えっと、じゃあ俺も君をライカって呼び捨てにするよ?ハッシュもそれでいいかな?俺ら同じクラスやしな。それで、ライカの聞きたい事って何?」
「昨日の時点では、事情聴取は授業が終わった放課後となっていたはずです。それが、急に早朝に変更となった理由を教えてください。授業に参加できない事は、僕には損失ですから。いくら風紀委員でも身勝手過ぎると思います」
「あー、それね」
「それと、事情聴取はプライバシーの観点から、僕とハッシュと風紀委員の方のみで行うと聞いていました。見ず知らずの先客がいる場で、僕は卑猥な話をしたくありません。パウル・ミュラー」
パウルはほんの少し、眉を上げて僕を見た。それから急にこちらに近づくと、僕の腕を無造作に掴んだ。僕を引きずるように歩くパウルは、風紀委員の部室に向かう。彼は、僕の顔を見る事もなく話し出す。
「風紀委員の権限は、結構強いんよ。お前が授業を受けたくても、こっちの事情に合わせてもらう。それからな、俺かて学園から、風紀委員なんて面倒な仕事任されて迷惑してるわけ。お前みたいな不細工ちゃんと、ゆっくり話す時間が勿体ないの。さっさと歩け、ライカ=ベラドンナ」
強い力で引っ張られて、僕はバランスを崩しそうになる。しかも、パウルは僕の腕を爪で引っ掻いた。何故だ!まだ、制裁キャラに目覚めるには早すぎるぞ、パウル・ミュラー!!
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風紀委員の部室は、学園の最上階にある。その部室の隣が理事長室という、何とも奇妙なつくりとなっている。だがそれも仕方がない。確か、BLゲームのパッケージデザインが、学園の最上階の図だったはずだ。キラキラ攻略対象者が全員集合して、主人公のアイリス=スノードロップを取り囲んでいた。
ゴージャスなパッケージデザインに涎を垂らしてしまった記憶がある。それほど、BLゲームを始める前の期待感は高かった。すぐに裏切られたけどね。
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「ゲームのキャラクターデザインは、最高の絵師さんが担当していたのに・・どうして、このBLゲームはクソ内容なんだ。凌辱バッドエンドスチルばかりを書かされた、絵師さんの気持ちにもなってみろ!!」
「ライカ・・風紀委員の部室に入ったら、ゲーム発言は控えような」
「分かってるって、ハッシュ。でもね、この最上階の風紀委員の部室の中で、攻略対象者とアイリスが『アンナン』するトゥルーエンドがあったとしたら、最高だと思わない?」
「・・ライカ、興奮しすぎ。今から、風紀委員と対面するんだよ?例の『素股気分射精』の説明を、興奮気味に話すのはやめてくれよ?」
「大丈夫、大丈夫!」
突然、風紀委員の部室の扉が開いた。まだ、部室までは数メートルは先なんだけど、話し声が大きすぎたのかもしれない。
「やあ、よう来てくれたねぇ!えーっと、凌辱疑惑のライカ=ベラドンナ君と『サポート係』のハッシュ・アルカロイド君やね。楽しそうな声が、部室にも聞こえてきたわ。さあ、風紀委員の部室に入って。ちょっと、先客がいてるけどね」
攻略対象者のパウル・ミュラーだ。金持ち商人の息子という設定の為、安直にも関西弁を使うキャラ設定にされている。このチョロそうな性格とほんわか関西弁に、僕はすっかり騙された。チョロ攻略対象者と見誤った僕は、何度もアイリスを近づけてはバッドエンドを食らった。
「んー、どうしたん?はよ、部室入り。お菓子もぎょうさん用意してるから緊張せんでええよ?」
「騙されません、パウル・ミュラー!どうせ、トゥルーエンドに見せかけてのバッドエンドコースですね」
「ライカ・・黙ろうか?」
「・・・うっ」
今、ハッシュ・アルカロイドから、注射的何かを打たれた気がする。チクってきた。いや、まさか友人に早業で注射とか打たないよね、ハッシュ?
「ライカ、大丈夫かい?すみません、パウルさん。ライカはすごく繊細な性格で、緊張すると上手く話せなくなるので、俺が代わりにライカの身に起こったことを説明しますね」
「うう、ハッシュ・・」
「大丈夫だからな、ライカ。俺が全部説明する間は、ライカの肩を抱きしめて離さないから」
いや、駄目でしょそれ。それに、ハッシュには普段から色々盛られてる気もするから、ある程度は薬剤に耐性は付いてるよ。まあ、ちょっと気分は落ち着いてきたな。ふむ。
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「部室に入る前に少し聞いてもいいかな、パウル?」
気分が落ち着いてきたので、僕は疑問に思っていた事をパウルに問いかけることにした。
「お、いきなりの呼び捨て?えっと、じゃあ俺も君をライカって呼び捨てにするよ?ハッシュもそれでいいかな?俺ら同じクラスやしな。それで、ライカの聞きたい事って何?」
「昨日の時点では、事情聴取は授業が終わった放課後となっていたはずです。それが、急に早朝に変更となった理由を教えてください。授業に参加できない事は、僕には損失ですから。いくら風紀委員でも身勝手過ぎると思います」
「あー、それね」
「それと、事情聴取はプライバシーの観点から、僕とハッシュと風紀委員の方のみで行うと聞いていました。見ず知らずの先客がいる場で、僕は卑猥な話をしたくありません。パウル・ミュラー」
パウルはほんの少し、眉を上げて僕を見た。それから急にこちらに近づくと、僕の腕を無造作に掴んだ。僕を引きずるように歩くパウルは、風紀委員の部室に向かう。彼は、僕の顔を見る事もなく話し出す。
「風紀委員の権限は、結構強いんよ。お前が授業を受けたくても、こっちの事情に合わせてもらう。それからな、俺かて学園から、風紀委員なんて面倒な仕事任されて迷惑してるわけ。お前みたいな不細工ちゃんと、ゆっくり話す時間が勿体ないの。さっさと歩け、ライカ=ベラドンナ」
強い力で引っ張られて、僕はバランスを崩しそうになる。しかも、パウルは僕の腕を爪で引っ掻いた。何故だ!まだ、制裁キャラに目覚めるには早すぎるぞ、パウル・ミュラー!!
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