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第16話 前世の親友と一度だけセックスしたらしい
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◆◆◆◆◆◆
「ハッシュ、挫いた足が痛くなってきた。クスリの調合お願いできる?」
「ああ、任せろ。痛み止めだな」
ハッシュは僕を湯船から抱き上げて、浴室をでた。うーん、ハッシュは部屋が濡れても平気なのかなあ?ハッシュは急いで服を着込むと、僕に服を着せてくれた。ハッシュは、本当に過保護だ。
服を二人とも着込むと、ハッシュは特製の薬箱を取り出して、楽しそうに薬を調合し始めた。僕は黙ってその姿をずっと眺めていた。ハッシュが薬を調合する姿は、とても鮮やかで美しいと思う。でも、途中で僕は声を掛けた。
「ハッシュ、その薬剤は調合から抜いて。頭がぼうっとなるから嫌なんだ」
「おー、薬局の跡継ぎだけあって目ざといな」
「しがない薬局だけどねぇ」
「でも、この薬剤は調合を安定させる為に使いたいんだ。駄目かな?」
「うーん、ハッシュは時々変な調合をするからなあ・・若干心配だ」
「問題ないよ。それより・・今日、少し解離状態に陥ったけど大丈夫か?」
「解離状態じゃなくて、カオス状態ね。すぐに脱したから大丈夫」
ハッシュが心配顔でこちらを見たが、何も言わずに調合を始めたので気になって僕は声を掛けた。
「気になることがあるなら話して、ハッシュ」
「・・学園に入学して、ライカはまた変な事を言い始めている。ゲーム攻略とか、モブとか攻略対象者とか。子供の頃から、そういう事を口にしていただろ?その度に友達が離れていって、お前は寂しい思いをしたはずだ。何度も泣いていたし・・ここは、僕の世界じゃないって。親友に会いたいって、何度も泣いてた」
前世の事をぼんやりと憶えていた子供の頃の僕は、もう無制限にゲーム攻略の話や、モブとか、元の世界の事なんかを話していた。そのせいで、友達は去って行って、今では僕の傍にいるのは、ハッシュ・アルカロイドのみだ。幼馴染だったから、ハッシュは僕から離れられなかったともいえるけどね。
前世の記憶を鮮明に思い出してからは、自分に規制を掛けているつもりだった。だけど、やっぱり学園に入ると興奮して、つい色々なゲーム用語が出てしまう。それに時々、前世と現世が混乱して、カオス状態に陥ってしまうことがある。ハッシュは、その状態を解離状態だというが、僕的にはカオス状態が言葉的にはぴったりくる。
まあ、BLゲーム世界なんかに転生したら、誰だって時々はカオス状態になるだろう。ならない方が、変じゃない?それでもハッシュは、僕を支えて傍にいてくれる。それは、すごく頼もしい事だ。
「ハッシュ、心配してくれてありがとうね」
「ライカ、俺の前ではゲームとか攻略とかいっぱい話していいからな。どんな話だろうと何だって聞く。でも、他の奴が聞けば、お前を馬鹿にして・・変な噂を流す奴もいるかもしれない。だから気を付けて欲しい、ライカ」
「うーん、そういえば、子供の頃に『ライカは気狂い』って噂を流されたな。あれは、ちょっと傷ついたな」
「あの時、泣いただろ。泣いて、泣いて、元の世界に帰りたいって・・一か月も部屋から出てこなかった」
「まあ、そんな頃もあったな」
「一か月間部屋に閉じこもったライカは、時々解離状態になってた。前世の親友が好きだから、元の世界に帰りたいんだって何度も叫んでた」
「えっ、カオス状態の僕がそう言ってたの?」
前世の記憶は全て思い出したつもりだった。でも、完全には記憶は戻っていないのか。
「言ってた。一度だけ、酔っぱらった親友とアナルセックスをしたんだって。でも、その事実を親友はひどく後悔して、ライカに何度も謝ってきたらしい。だから、『気にするな』って言うしかなくて、そのまま親友に逆戻りしたって言ってた。なのに、そいつが『俺を攻略してみろ』ってBLゲームを渡してきたから、ちょっとだけ期待してゲームにのめり込んだんだって。攻略できたら、その親友に会いに行って、告白するつもりだったって、解離状態のライカは言ってた」
「僕はそんな事を言ったの?言った記憶が、全然無いんだけど??」
「ライカは解離状態に陥っていたから、記憶は無くて当然だと思うよ?俺は、その『親友』って奴が大嫌いだった。ライカに『親友』に会いたいって言われる度に、俺は辛くてたまらなかった。だから、お前にクスリを盛った。前世の記憶も『親友』の記憶も全てなくなればいいと思ったんだ。でも、ガキの頃の調合だから、容量を間違った。そしたら、ライカは一年間も眠り込んでしまった。完全なる、調合ミスだ。何が間違っていたのか今でも不明だ・・あの薬剤だろうか・・いや・・」
「お前、何やってんの。ハッシュは、馬鹿なの!?」
確かに、僕は一年間意識が戻らず病院に入院していた時期があった。目覚めた後に、原因はわからなかったと、僕は両親から説明を受けていた。
原因は、ハッシュか。
「確かに、俺は馬鹿だった。だから、反省もしたし、両親にもライカの親にも、めっちゃ怒られた。だから、学園でしっかり薬学を学んで正しい知識を身につける。そして、お前の前世の『親友』の記憶をライカの脳裏から消し去るつもりだ。俺は頑張るから応援してくれ、ライカ!!」
薬局を営んでいる実家は、それほど金持ちではない。ハッシュの実家は大手の薬問屋だ。モブな僕がこのキラキラ過ぎる学園に入学できたのも、ハッシュの両親が資金援助してくれたお陰だ。もしや、僕の灰色両親は・・ハッシュ薬物事件をネタに、彼の親を脅して資金援助させたんじゃないだろうな?
うーん、でもハッシュの両親も僕の事を何かと気にかけてくれるんだよな。ハッシュには、僕以外に友達がいないからなぁ。僕がハッシュを独占しているから、ハッシュには友達が出来ないのだと悩んだ時期もあった。でも、彼に友達が出来ないのは、彼の性格にも問題があるからじゃないのか?
まあ、似た者同士って事だな。
「脳裏から記憶を消し去ったら、人格崩壊に繋がらない?考え方が怖いんだけど、ハッシュ・・」
「じゃあ、俺の事を前世の『親友』よりもっと親友にしろよ、ライカ」
「いやー、既に僕たちは親友というには、ヤバい段階に入ってると思うから、ハッシュの為にもこれ以上の関係にはなれないかな・・」
ハッシュ・アルカロイドが泣いた。まあ、無視しよう。
それにしても、僕はアルフレッド・ノーマンの声優をしていた親友に、淡い恋心を抱いていた訳だな。しかも、親友は酒の勢いで一度だけ僕と過ちを犯してしまった。うわー、きっと前世の僕もモブだったから、人気声優のあいつは超絶に困っただろうな。男同士のセックスだものなぁ。それでも、親友ではいてくれたのか・・ふむ、いい奴だ。
しかし、ようやく謎が解けた!!
アルフレッド・ノーマンの声を聴くたびに腰が砕けそうになるのは、実際にあの声で突っ込まれたからだったんだ。明日、アルフレッドに逢ったら、声を聴くたびに腰がひたすら砕けそうだ。うん、楽しみ。
◇◇◇◇
「よし、痛み止めが完成した。飲め、ライカ!」
「・・痛みは治まってきたけど一応貰っておくね、ハッシュ」
「絶対に、飲め!」
「う、うん」
なんか、凄く嫌なんだけど。だって、ハッシュ。大麻草を乾燥させた物を少し混ぜてたよね?えー、飲みたくないなあ。足の痛みも減ったし、あとで滅却するか。
◆◆◆◆◆◆
「ハッシュ、挫いた足が痛くなってきた。クスリの調合お願いできる?」
「ああ、任せろ。痛み止めだな」
ハッシュは僕を湯船から抱き上げて、浴室をでた。うーん、ハッシュは部屋が濡れても平気なのかなあ?ハッシュは急いで服を着込むと、僕に服を着せてくれた。ハッシュは、本当に過保護だ。
服を二人とも着込むと、ハッシュは特製の薬箱を取り出して、楽しそうに薬を調合し始めた。僕は黙ってその姿をずっと眺めていた。ハッシュが薬を調合する姿は、とても鮮やかで美しいと思う。でも、途中で僕は声を掛けた。
「ハッシュ、その薬剤は調合から抜いて。頭がぼうっとなるから嫌なんだ」
「おー、薬局の跡継ぎだけあって目ざといな」
「しがない薬局だけどねぇ」
「でも、この薬剤は調合を安定させる為に使いたいんだ。駄目かな?」
「うーん、ハッシュは時々変な調合をするからなあ・・若干心配だ」
「問題ないよ。それより・・今日、少し解離状態に陥ったけど大丈夫か?」
「解離状態じゃなくて、カオス状態ね。すぐに脱したから大丈夫」
ハッシュが心配顔でこちらを見たが、何も言わずに調合を始めたので気になって僕は声を掛けた。
「気になることがあるなら話して、ハッシュ」
「・・学園に入学して、ライカはまた変な事を言い始めている。ゲーム攻略とか、モブとか攻略対象者とか。子供の頃から、そういう事を口にしていただろ?その度に友達が離れていって、お前は寂しい思いをしたはずだ。何度も泣いていたし・・ここは、僕の世界じゃないって。親友に会いたいって、何度も泣いてた」
前世の事をぼんやりと憶えていた子供の頃の僕は、もう無制限にゲーム攻略の話や、モブとか、元の世界の事なんかを話していた。そのせいで、友達は去って行って、今では僕の傍にいるのは、ハッシュ・アルカロイドのみだ。幼馴染だったから、ハッシュは僕から離れられなかったともいえるけどね。
前世の記憶を鮮明に思い出してからは、自分に規制を掛けているつもりだった。だけど、やっぱり学園に入ると興奮して、つい色々なゲーム用語が出てしまう。それに時々、前世と現世が混乱して、カオス状態に陥ってしまうことがある。ハッシュは、その状態を解離状態だというが、僕的にはカオス状態が言葉的にはぴったりくる。
まあ、BLゲーム世界なんかに転生したら、誰だって時々はカオス状態になるだろう。ならない方が、変じゃない?それでもハッシュは、僕を支えて傍にいてくれる。それは、すごく頼もしい事だ。
「ハッシュ、心配してくれてありがとうね」
「ライカ、俺の前ではゲームとか攻略とかいっぱい話していいからな。どんな話だろうと何だって聞く。でも、他の奴が聞けば、お前を馬鹿にして・・変な噂を流す奴もいるかもしれない。だから気を付けて欲しい、ライカ」
「うーん、そういえば、子供の頃に『ライカは気狂い』って噂を流されたな。あれは、ちょっと傷ついたな」
「あの時、泣いただろ。泣いて、泣いて、元の世界に帰りたいって・・一か月も部屋から出てこなかった」
「まあ、そんな頃もあったな」
「一か月間部屋に閉じこもったライカは、時々解離状態になってた。前世の親友が好きだから、元の世界に帰りたいんだって何度も叫んでた」
「えっ、カオス状態の僕がそう言ってたの?」
前世の記憶は全て思い出したつもりだった。でも、完全には記憶は戻っていないのか。
「言ってた。一度だけ、酔っぱらった親友とアナルセックスをしたんだって。でも、その事実を親友はひどく後悔して、ライカに何度も謝ってきたらしい。だから、『気にするな』って言うしかなくて、そのまま親友に逆戻りしたって言ってた。なのに、そいつが『俺を攻略してみろ』ってBLゲームを渡してきたから、ちょっとだけ期待してゲームにのめり込んだんだって。攻略できたら、その親友に会いに行って、告白するつもりだったって、解離状態のライカは言ってた」
「僕はそんな事を言ったの?言った記憶が、全然無いんだけど??」
「ライカは解離状態に陥っていたから、記憶は無くて当然だと思うよ?俺は、その『親友』って奴が大嫌いだった。ライカに『親友』に会いたいって言われる度に、俺は辛くてたまらなかった。だから、お前にクスリを盛った。前世の記憶も『親友』の記憶も全てなくなればいいと思ったんだ。でも、ガキの頃の調合だから、容量を間違った。そしたら、ライカは一年間も眠り込んでしまった。完全なる、調合ミスだ。何が間違っていたのか今でも不明だ・・あの薬剤だろうか・・いや・・」
「お前、何やってんの。ハッシュは、馬鹿なの!?」
確かに、僕は一年間意識が戻らず病院に入院していた時期があった。目覚めた後に、原因はわからなかったと、僕は両親から説明を受けていた。
原因は、ハッシュか。
「確かに、俺は馬鹿だった。だから、反省もしたし、両親にもライカの親にも、めっちゃ怒られた。だから、学園でしっかり薬学を学んで正しい知識を身につける。そして、お前の前世の『親友』の記憶をライカの脳裏から消し去るつもりだ。俺は頑張るから応援してくれ、ライカ!!」
薬局を営んでいる実家は、それほど金持ちではない。ハッシュの実家は大手の薬問屋だ。モブな僕がこのキラキラ過ぎる学園に入学できたのも、ハッシュの両親が資金援助してくれたお陰だ。もしや、僕の灰色両親は・・ハッシュ薬物事件をネタに、彼の親を脅して資金援助させたんじゃないだろうな?
うーん、でもハッシュの両親も僕の事を何かと気にかけてくれるんだよな。ハッシュには、僕以外に友達がいないからなぁ。僕がハッシュを独占しているから、ハッシュには友達が出来ないのだと悩んだ時期もあった。でも、彼に友達が出来ないのは、彼の性格にも問題があるからじゃないのか?
まあ、似た者同士って事だな。
「脳裏から記憶を消し去ったら、人格崩壊に繋がらない?考え方が怖いんだけど、ハッシュ・・」
「じゃあ、俺の事を前世の『親友』よりもっと親友にしろよ、ライカ」
「いやー、既に僕たちは親友というには、ヤバい段階に入ってると思うから、ハッシュの為にもこれ以上の関係にはなれないかな・・」
ハッシュ・アルカロイドが泣いた。まあ、無視しよう。
それにしても、僕はアルフレッド・ノーマンの声優をしていた親友に、淡い恋心を抱いていた訳だな。しかも、親友は酒の勢いで一度だけ僕と過ちを犯してしまった。うわー、きっと前世の僕もモブだったから、人気声優のあいつは超絶に困っただろうな。男同士のセックスだものなぁ。それでも、親友ではいてくれたのか・・ふむ、いい奴だ。
しかし、ようやく謎が解けた!!
アルフレッド・ノーマンの声を聴くたびに腰が砕けそうになるのは、実際にあの声で突っ込まれたからだったんだ。明日、アルフレッドに逢ったら、声を聴くたびに腰がひたすら砕けそうだ。うん、楽しみ。
◇◇◇◇
「よし、痛み止めが完成した。飲め、ライカ!」
「・・痛みは治まってきたけど一応貰っておくね、ハッシュ」
「絶対に、飲め!」
「う、うん」
なんか、凄く嫌なんだけど。だって、ハッシュ。大麻草を乾燥させた物を少し混ぜてたよね?えー、飲みたくないなあ。足の痛みも減ったし、あとで滅却するか。
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