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第8話 僕は何もされていません
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◆◆◆◆◆◆
「ライカーーーーーー!!」
「ライカ=ベラドンナ、どこにいる!!」
◇◇◇◇
声が聞こえて、僕はびくりと身を震わせた。二人の人物の声が聞こえた。
一人は、攻略対象者のアルフレッド・ノーマン。前世の親友の声にそっくりな人物。当然だ。親友がアフレコしていたのだから。
もう一人は、ゲーム世界の僕の幼馴染のハッシュ・アルカロイドだ。BLゲームのお助けキャラでもある。
その声は、僕とコックさんがいる空き教室にどんどん近づいている。まずい。まずいぞ。僕は慌ててズボンを履くと、コックさんに話しかけた。
「アイリスを襲った罪で、コックさんはアルフレッド・ノーマンから制裁を受ける事になると思う。でも、僕との関係の事は絶対に話さないで。おねがい、コックさん」
「それはできない、俺はお前に酷い扱いをした。その制裁は受けなければならない」
「それは違う。あれは、同意の上での事だから。僕の初めてを貴方にあげたのに・・それを罪にするの?」
「そんなつもりは無いが、しかし、あれは同意の上でのセックスとは言えない」
まずいな。僕がコックさんと関係を持ったことがばれた場合、アルフレッド・ノーマンにどのような影響を与えるか分からない。どれだけ僕が同意の上だと言っても、彼は納得はしないだろう。助けに戻ると約束して教室を出ていっただけに、モブに対しても責任を感じる可能性がある。
そうなると、主人公とのラブメーターに何かしらの影響を与えるかもしれない。もしそれが原因で、彼らのトゥルーエンドを見られなかったらどうする。重要な局面だ、僕的には。仕方ない・・別の方面からコックを攻め立てよう。
「コックさん、僕は幼馴染のハッシュに男と関係を持ったことを知られたくないんだ!!彼は、男同士のそれを毛嫌いしている。勿論、僕はそんな偏見は持ってはいないよ。でも、幼馴染に偏見の目で見られるのは耐え難いんだ。お願い・・コックさん。どんなに制裁を受けても、僕との関係は秘密にして」
コックさんは、僕の話を聞き少し苦い顔をした。そして、真剣な表情で語りかけてきた。
「お前は、その幼馴染が好きなのか?」
「え?」
「だが、相手が男同士の恋愛を毛嫌いしている為に、告白も出来ずに・・挙句に俺の様な人間に初めてを与えてしまったのか?もしそうなら、自暴自棄にも程があるぞ、ライカ」
「そ、そうなのかも・・でも、貴方に初めてをあげたことは、後悔していないよ?」
「・・分かった。コック・リングはお前に誓う。どのような制裁を受けようとも、お前の事は口にしない」
「ありがとう、コックさん。じゃあ、コックさんは自首してきてください。僕はこっそり寮に戻るので」
不意に、コックさんが話しかけてきた。
「『俺は不細工な奴を前にして萎えてしまった。だから、ライカなんて不細工野郎には何もしていない。あんな奴にペニスを突っ込んだら、俺のものが腐って落ちるに違いない。俺が抱きたかったのはアイリスただ一人だ!おい、あんな奴とやったなんて噂を流すなよ。俺の名誉にかかわる』・・こんな感じでいいか?」
「コックさん、心を削られた!でも、そんな感じでよろしく」
僕は爽やかに返事をして、窓に向かった。窓から外に脱出して寮に戻ることにしたのだ。良い案だ!
でも、コックさんの言葉に心を削られ、注意散漫になっていたらしい。窓から飛び降りてから、初めてここが二階だと気が付いた。
「ライカ!!」
「ひぁあああぁあああーーーーー!!」
僕は二階の窓から転落してしまった。
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「ライカーーーーーー!!」
「ライカ=ベラドンナ、どこにいる!!」
◇◇◇◇
声が聞こえて、僕はびくりと身を震わせた。二人の人物の声が聞こえた。
一人は、攻略対象者のアルフレッド・ノーマン。前世の親友の声にそっくりな人物。当然だ。親友がアフレコしていたのだから。
もう一人は、ゲーム世界の僕の幼馴染のハッシュ・アルカロイドだ。BLゲームのお助けキャラでもある。
その声は、僕とコックさんがいる空き教室にどんどん近づいている。まずい。まずいぞ。僕は慌ててズボンを履くと、コックさんに話しかけた。
「アイリスを襲った罪で、コックさんはアルフレッド・ノーマンから制裁を受ける事になると思う。でも、僕との関係の事は絶対に話さないで。おねがい、コックさん」
「それはできない、俺はお前に酷い扱いをした。その制裁は受けなければならない」
「それは違う。あれは、同意の上での事だから。僕の初めてを貴方にあげたのに・・それを罪にするの?」
「そんなつもりは無いが、しかし、あれは同意の上でのセックスとは言えない」
まずいな。僕がコックさんと関係を持ったことがばれた場合、アルフレッド・ノーマンにどのような影響を与えるか分からない。どれだけ僕が同意の上だと言っても、彼は納得はしないだろう。助けに戻ると約束して教室を出ていっただけに、モブに対しても責任を感じる可能性がある。
そうなると、主人公とのラブメーターに何かしらの影響を与えるかもしれない。もしそれが原因で、彼らのトゥルーエンドを見られなかったらどうする。重要な局面だ、僕的には。仕方ない・・別の方面からコックを攻め立てよう。
「コックさん、僕は幼馴染のハッシュに男と関係を持ったことを知られたくないんだ!!彼は、男同士のそれを毛嫌いしている。勿論、僕はそんな偏見は持ってはいないよ。でも、幼馴染に偏見の目で見られるのは耐え難いんだ。お願い・・コックさん。どんなに制裁を受けても、僕との関係は秘密にして」
コックさんは、僕の話を聞き少し苦い顔をした。そして、真剣な表情で語りかけてきた。
「お前は、その幼馴染が好きなのか?」
「え?」
「だが、相手が男同士の恋愛を毛嫌いしている為に、告白も出来ずに・・挙句に俺の様な人間に初めてを与えてしまったのか?もしそうなら、自暴自棄にも程があるぞ、ライカ」
「そ、そうなのかも・・でも、貴方に初めてをあげたことは、後悔していないよ?」
「・・分かった。コック・リングはお前に誓う。どのような制裁を受けようとも、お前の事は口にしない」
「ありがとう、コックさん。じゃあ、コックさんは自首してきてください。僕はこっそり寮に戻るので」
不意に、コックさんが話しかけてきた。
「『俺は不細工な奴を前にして萎えてしまった。だから、ライカなんて不細工野郎には何もしていない。あんな奴にペニスを突っ込んだら、俺のものが腐って落ちるに違いない。俺が抱きたかったのはアイリスただ一人だ!おい、あんな奴とやったなんて噂を流すなよ。俺の名誉にかかわる』・・こんな感じでいいか?」
「コックさん、心を削られた!でも、そんな感じでよろしく」
僕は爽やかに返事をして、窓に向かった。窓から外に脱出して寮に戻ることにしたのだ。良い案だ!
でも、コックさんの言葉に心を削られ、注意散漫になっていたらしい。窓から飛び降りてから、初めてここが二階だと気が付いた。
「ライカ!!」
「ひぁあああぁあああーーーーー!!」
僕は二階の窓から転落してしまった。
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