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第1話 ここはBLゲームか?

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有名声優となった親友から『俺を攻略してみろ』と手渡されたのは、BLゲームだった。ゲーム好きの僕は、攻略サイトなど見ずに、とことんやり込んだ。

簡単そうなキャラから、難しそうなキャラまで、あらゆる手段で主人公に攻撃させたが、全てバッドエンドとなってしまった。一人も攻略できぬままに、主人公、アイリス=スノードロップは何度も学園の様々な奴に凌辱エンドさせられてしまう。

それにしても、このゲームは凌辱エンド以外は用意されていないのか?

それは、おかしいだろ?18禁ゲームなのに、主人公のバッドエンドが凌辱エンドしかないって酷くない?シナリオライターは手抜きをしたのか?もっと病みエンドとか拷問エンドとか、牢獄エンドとかあってもいいはずだ!

どうして、凌辱バッドエンドしかないんだ。僕はそれが不満だ。ゲーム会社に抗議のメールを送ろうとしたが思いとどまった。当のBLゲームで親友が声優をしているのに、迷惑を掛けてはいけない。

だが、久々にゲームをやっていて心が折れた。友人には悪いがこのBLゲームはクソだと思う。勿論、親友の声は最高にいいよ。でもね、バッドエンドがやたら多いのに、そのすべてが凌辱エンドは駄目だと思うよ。

「くそ、またバッドエンドだ!!アイリスがペニス突っ込まれて、アンアン言ってるよ・・」


僕は携帯ゲーム機をベッド上で投げ捨てて、そのまま枕に顔を埋めて寝落ちする事にした。



◇◇◇◇


「ライカ、起きろよ。今日は入学式だ。しょっぱなから揃って遅刻はごめんだ。起きろーーー!!」
「うお??」
「ようやく起きたか?」

僕の顔を覗き込んでくるのは、BLゲームのお助けキャラのハッシュ・アルカロイドだった。僕は攻略サイトを使わないと同時に、お助けキャラも使わない主義だ。だが、このキャラはやたらと主人公に付きまとっていたので、僕はストーカーキャラと呼んでいた。なので、声も容姿もよく覚えている。

「ハッシュ・アルカロイド?」
「ライカ?」
「どうして、お前がここにいる?」
「どうしてって・・・ライカ=ベラドンナの幼馴染だからだろうな。それ以外に理由は必要か?」


どうやら、僕はBLゲームの世界に転生したらしい。しかも、名前を聞いたこともないモブとして誕生したようだ。いや、ちょっと待て・・僕の前の人生はどうした。ゲームやってバッドエンド食らって、寝た記憶しかないぞ。

「・・・僕は死んだのか?」
「お前は、寝ぼけているのか?とにかく、早く支度をしろ、ライカ!」


お助けキャラのハッシュが急かすのだから、その忠告には従うべきかもしれない。まあ、とにかくここがゲーム世界だとしても、主人公じゃないから安心だ。可哀そうに、確か主人公のアイリスには入学式から凌辱エンドがあったな。

「可哀そうに・・モブでよかった」
「お前、大丈夫か?」

ハッシュが心配そうに僕を見つめてきた。いや、心配は主人公のアイリスに向けてあげようね。


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