介護の詩

月歌(ツキウタ)

文字の大きさ
上 下
4 / 4

祖父と母

しおりを挟む
◆◆◆◆◆


#140字小説 #介護

祖父が好きだった。すぐ怒鳴る人。でも、懐いてた。一緒に時代劇を見て笑った。なのに、家族関係が終わるのは一瞬。祖父が夜中に家を出ようとして、父に止められる。「殺される!殺される!」そう叫んだ祖父に戦慄した。その言葉は祖父の言葉じゃない。そんな怯えた祖父は知らない。


◇◇◇

#140字小説 #介護

母は自宅で祖父の介護をした。大変だった。学校から帰ると祖父が庭で下半身裸で立っていて。驚いて家に押し込む。そう、押し込む。私は恥ずかしかった。庭木が祖父の放尿で枯れていく。あれほどしっかりした祖父がなぜ?思春期の私は老いたくないと怯えた。祖父と父の言い争い。嫌。

◇◇◇

#140字小説 #介護

施設のお祭り。父から代わりに行ってくれと直前で電話。子供に留守番を頼んで慌てて施設に向かう。地元の学生さんの吹奏楽部が音楽を奏でる。青空で気持ちいい。母はいつも通り私がわからない。それでも、なんとなくウキウキ。お祭りは楽しい。感染症前の一時。交流の時間を楽しむ。


◇◇◇

#140字小説 #介護

「胃ろうをしないの?」「ん、しない」「そう」父との会話。分かってる。それが母にとって良い選択だと。元に戻る見込みもなく、話しかけても会話はない。でも手を握れば、握り返してくれるような気がして。胸がモヤモヤ。何が正しいの?簡易の呼吸でも苦しげで。見ているのが辛い。



◆◆◆◆◆
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

BL書籍の印税で娘の振り袖買うつもりが無理だった話【取らぬ狸の皮算用】

月歌(ツキウタ)
エッセイ・ノンフィクション
【取らぬ狸の皮算用】 書籍化したら印税で娘の成人式の準備をしようと考えていましたが‥‥無理でした。 取らぬ狸の皮算用とはこのこと。 ☆書籍化作家の金銭的には夢のないお話です。でも、暗い話じゃないよ☺子育ての楽しさと創作の楽しさを満喫している貧弱書籍化作家のつぶやきです。あー、重版したいw ☆月歌ってどんな人?こんな人↓↓☆ 『嫌われ悪役令息は王子のベッドで前世を思い出す』が、アルファポリスの第9回BL小説大賞にて奨励賞を受賞(#^.^#) その後、幸運な事に書籍化の話が進み、2023年3月13日に無事に刊行される運びとなりました。49歳で商業BL作家としてデビューさせていただく機会を得ました。 ☆表紙絵、挿絵は全てAIイラスです

『TwitterX時事系ニュース速報』

月歌(ツキウタ)
エッセイ・ノンフィクション
TwitterXで見かける様々なポスト。気になるポストにリポストして、私の意見ハズレてる?を調査中。主に時事系を扱っています。 ☆月歌ってどんな人?こんな人↓↓☆ 『嫌われ悪役令息は王子のベッドで前世を思い出す』が、アルファポリスの第9回BL小説大賞にて奨励賞を受賞(#^.^#) その後、幸運な事に書籍化の話が進み、2023年3月13日に無事に刊行される運びとなりました。49歳で商業BL作家としてデビューさせていただく機会を得ました。 ☆表紙絵、挿絵は全てAIイラスです

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

ポケっこの独り言

ポケっこ
エッセイ・ノンフィクション
ポケっこです。 ここでは日常の不満とかを書くだけのものです。しょーもないですね。 俺の思ってることをそのまま書いたものです。 気まぐれ更新ですが、是非どうぞ。

【カク〇ム】での『公開停止』ってどうだろう?

無責任
エッセイ・ノンフィクション
【カクヨム種別日間・週間1位・月間3位】全ての作者様へ。公開停止について細かく検証する カク〇ムでの公開停止処分について細かく検証する作品を作りたいと思います。 あくまで、細かく検証する事が目的であり、それにより、誰かを貶める目的はありません。 最後にじんわりするかと・・・。

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...