介護の詩

月歌(ツキウタ)

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父と母

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#140字小説 #介護

「この子誰か言ってみ?分からんのか?お前の娘やろ!しっかりせんと。〇〇も娘やって話しかけんとあかん」苛立つ父の姿に怯える母。母は私が分からない。受け入れられない事実を何度も突きつけないで。母も混乱して怯えてる。でも、父が怖くて反論できなくて、母に私の名を聞く。


◇◇◇

#140字小説 #介護

水戸黄門が始まると父と母が椅子に座りテレビを見る。その姿を後から見る。印籠が画面に映されると、母が体を動かし声を出して喜ぶ。言葉は分からない。でも喜んでる。「面白いか?面白いな」父が上機嫌に母に話しかける。夫婦の絆があり威圧的でも父は母を愛している。入れない空間。


◇◇◇


#140字小説 #介護

母は若年性アルツハイマー病。母が診断された50歳代に私はもうすぐなる。遺伝はあるのか?怖くて不安で病院を訪ねてCTを撮った。脳に異常はない。でも、不安は去らない。思い違いや物忘れ、ポカや失敗。ほんの少しの違和感が私を怯えさせる。母はこんな思いを抱えて生きていたのか。


◇◇◇

#140字小説 #介護

父は全てを自分でしないと気がすまない人。決定事項は全て事後報告。母の施設の入所も全て決めた後の報告。口を出すと不機嫌になるので黙って見守る。父は頑張っている。でも、父も高齢。父が倒れたら私は何もわからず無知を晒す。教えて欲しいと言いかけて口ごもる。私は父が怖い。


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