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兄ギースと弟ラスクの軋轢
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◆◆◆◆◆
兄ギースの執務室に入るラスクは緊張していた。兄は弟に視線を向けることなく言葉を発した。
「見ての通り今は忙しい。明日までに仕上げたい書類がある。話は後日では駄目なのか、ラスク?」
「とても大切な話なのです、兄上」
「‥話の内容は?」
「私の将来の事です」
ラスクがそう答えると、ギースはようやく視線を書類から弟の顔に移す。その瞳が鋭くラスクの心を射抜く。
「将来の話ね。まさか、男爵の息子の話ではないだろうな?」
ラスクはぎくりと体を震わせる。一呼吸おいてラスクは兄に尋ねた。
「もしや、世間の噂に‥」
「噂にはなっていない。侯爵家の次男が低位貴族の息子と親しくしていると知り調べさせた。」
「兄上、私は彼のことが‥」
「黙りなさい、ラスク」
「兄上は私の唯一の肉親です。両親を早くになくし、侯爵家を継いだ兄上が私を育てて下さいました。だからこそ、ギルバートの話をしたいのです!」
「侯爵家をスキャンダルに巻き込むな、ラスク。ギルバートとはさっさと別れなさい」
「それはできません、兄上!私はギルバートを愛しています。私達は愛し合っています、ギース兄上」
ラスクの言葉にギルバートは冷たい視線を向けた。
◇◇◇◇
最悪だ~~~~!可愛い弟がギルバートとデキている事が確定してしまった。くそ、ギルバートめ!私の可愛い弟を悪の道に誘いやがって!殺す!!まて、落ち着け。今はラスクに男と別れるよう説得せねば。
「‥愛し合っているだと?男同士で穢らわしい。早く別れて妻を娶れ。そうすれば一時の熱も覚めよう」
「ギース兄上‥私は妻を娶るつもりはありません。ギルバートと添い遂げるつもりです」
嘘だ~~~!ラスクは嫁を娶らないつもりなのか?それでは、私はラスクの子を抱けないではないか!楽しみにしてるのに。孫が生まれるくらいに心待ちにしているのに。まずいぞ。
「私は妻に先立たれ子もない。再婚も考えてはいない。侯爵位はお前の子に譲るつもりだ。これはお前にとり良い話のはずだ、ラスク」
「私は子を作る気はありません」
「‥そう頑なになることはない。妻を娶り子を作るなら、ギルバートを愛人として囲う事は許そう。高位貴族が男を囲う事はままあることだからな」
「俺はギルバートを愛人にするつもりはありません。正式にギルバートを娶ります」
「‥‥‥」
え?嘘だよね?本気で言ってないよな?そんな事宗教上許されるはず無いだろ。世間から爪弾きにされだけだ。私の可愛いラスクがギルバートのせいで馬鹿になってる~!!くそギルバートめ!愛しい弟を男色に引きずり込み、ここまで歪めるとは。
「世間は許さない」
「世間が許さない事は承知しています。でも、ギース兄上には認めてほしいのです。唯一の肉親の兄上に認められないことは何よりも辛いのです。ギルバートはよい男です‥愛しているのです」
ラスクが可愛い!泣ける!可愛い。私にだけは認めてほしいとか、嬉しい。でも、認める訳にはいかない。一時の過ちでラスクが道を踏み外すなど許せない。くそ、ギルバート死ね!
「ギルバートの事は調べたが、冴えぬ男だ。ギルバートがお前を守れるとは思えないがな‥」
「いえ、ギルバートは私が守ります。」
「‥お前が守る?」
「はい。漢として当然の事です。」
「‥‥おとこ?」
もしかして、ラスクが雄なのか?いやいや、それはない。体格的にギルバートが雄だろ。いや、その前に確認だ。
「‥肉体関係はあるのか?」
「えっ、あの‥あります」
「そうか」
頬を赤らめるラスクが尊いー!しかし、予想通り肉体関係はありか。しかし、どちらが雄なのかは聞きにくい。
もしも、ラスクが雄ならば、女も抱けるかもしれない。もしもそうなら、私はラスクの子供を抱きしめて、ナデナデできる可能性が出てきた。
「‥‥‥‥‥」
「兄上」
「私はお前の育て方を間違えたようだ。しばらく屋敷に幽閉する」
「あ、兄上!」
よし、幽閉している間に女攻めにして、女の良さを覚えさせよう。女が抱けぬなら、この兄が女の抱き方を教えてあげれば良いこと。
「侯爵家の当主としての命令だ。我が家の名誉を傷つける行為は許さない。ラスクにはこの屋敷で‥相応の処罰を下す。部屋で謹慎しなさい、ラスク」
「ギース兄上、私はただギルバートを愛しているだけなのです」
「ならば私も言葉にしよう。私はラスクを弟として愛している。その弟が茨の道を歩むのを黙って見ていられると思うのか?」
「ギース兄上!」
「もう黙りなさい。」
辛い~!ラスクが泣き出した。ギュッてしたい。可愛い。くそ、ギルバート殺す!
「‥わかりました。」
「‥‥‥」
「失礼します、ギース兄上」
ぐぉおお!感情いっぱいで何も言えない。ラスクが泣きながら部屋を出ていった。嫌だぁー!泣きたいのは兄の方だから!
◇◇◇◇
ラスクは兄の指示で屋敷に幽閉された。
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兄ギースの執務室に入るラスクは緊張していた。兄は弟に視線を向けることなく言葉を発した。
「見ての通り今は忙しい。明日までに仕上げたい書類がある。話は後日では駄目なのか、ラスク?」
「とても大切な話なのです、兄上」
「‥話の内容は?」
「私の将来の事です」
ラスクがそう答えると、ギースはようやく視線を書類から弟の顔に移す。その瞳が鋭くラスクの心を射抜く。
「将来の話ね。まさか、男爵の息子の話ではないだろうな?」
ラスクはぎくりと体を震わせる。一呼吸おいてラスクは兄に尋ねた。
「もしや、世間の噂に‥」
「噂にはなっていない。侯爵家の次男が低位貴族の息子と親しくしていると知り調べさせた。」
「兄上、私は彼のことが‥」
「黙りなさい、ラスク」
「兄上は私の唯一の肉親です。両親を早くになくし、侯爵家を継いだ兄上が私を育てて下さいました。だからこそ、ギルバートの話をしたいのです!」
「侯爵家をスキャンダルに巻き込むな、ラスク。ギルバートとはさっさと別れなさい」
「それはできません、兄上!私はギルバートを愛しています。私達は愛し合っています、ギース兄上」
ラスクの言葉にギルバートは冷たい視線を向けた。
◇◇◇◇
最悪だ~~~~!可愛い弟がギルバートとデキている事が確定してしまった。くそ、ギルバートめ!私の可愛い弟を悪の道に誘いやがって!殺す!!まて、落ち着け。今はラスクに男と別れるよう説得せねば。
「‥愛し合っているだと?男同士で穢らわしい。早く別れて妻を娶れ。そうすれば一時の熱も覚めよう」
「ギース兄上‥私は妻を娶るつもりはありません。ギルバートと添い遂げるつもりです」
嘘だ~~~!ラスクは嫁を娶らないつもりなのか?それでは、私はラスクの子を抱けないではないか!楽しみにしてるのに。孫が生まれるくらいに心待ちにしているのに。まずいぞ。
「私は妻に先立たれ子もない。再婚も考えてはいない。侯爵位はお前の子に譲るつもりだ。これはお前にとり良い話のはずだ、ラスク」
「私は子を作る気はありません」
「‥そう頑なになることはない。妻を娶り子を作るなら、ギルバートを愛人として囲う事は許そう。高位貴族が男を囲う事はままあることだからな」
「俺はギルバートを愛人にするつもりはありません。正式にギルバートを娶ります」
「‥‥‥」
え?嘘だよね?本気で言ってないよな?そんな事宗教上許されるはず無いだろ。世間から爪弾きにされだけだ。私の可愛いラスクがギルバートのせいで馬鹿になってる~!!くそギルバートめ!愛しい弟を男色に引きずり込み、ここまで歪めるとは。
「世間は許さない」
「世間が許さない事は承知しています。でも、ギース兄上には認めてほしいのです。唯一の肉親の兄上に認められないことは何よりも辛いのです。ギルバートはよい男です‥愛しているのです」
ラスクが可愛い!泣ける!可愛い。私にだけは認めてほしいとか、嬉しい。でも、認める訳にはいかない。一時の過ちでラスクが道を踏み外すなど許せない。くそ、ギルバート死ね!
「ギルバートの事は調べたが、冴えぬ男だ。ギルバートがお前を守れるとは思えないがな‥」
「いえ、ギルバートは私が守ります。」
「‥お前が守る?」
「はい。漢として当然の事です。」
「‥‥おとこ?」
もしかして、ラスクが雄なのか?いやいや、それはない。体格的にギルバートが雄だろ。いや、その前に確認だ。
「‥肉体関係はあるのか?」
「えっ、あの‥あります」
「そうか」
頬を赤らめるラスクが尊いー!しかし、予想通り肉体関係はありか。しかし、どちらが雄なのかは聞きにくい。
もしも、ラスクが雄ならば、女も抱けるかもしれない。もしもそうなら、私はラスクの子供を抱きしめて、ナデナデできる可能性が出てきた。
「‥‥‥‥‥」
「兄上」
「私はお前の育て方を間違えたようだ。しばらく屋敷に幽閉する」
「あ、兄上!」
よし、幽閉している間に女攻めにして、女の良さを覚えさせよう。女が抱けぬなら、この兄が女の抱き方を教えてあげれば良いこと。
「侯爵家の当主としての命令だ。我が家の名誉を傷つける行為は許さない。ラスクにはこの屋敷で‥相応の処罰を下す。部屋で謹慎しなさい、ラスク」
「ギース兄上、私はただギルバートを愛しているだけなのです」
「ならば私も言葉にしよう。私はラスクを弟として愛している。その弟が茨の道を歩むのを黙って見ていられると思うのか?」
「ギース兄上!」
「もう黙りなさい。」
辛い~!ラスクが泣き出した。ギュッてしたい。可愛い。くそ、ギルバート殺す!
「‥わかりました。」
「‥‥‥」
「失礼します、ギース兄上」
ぐぉおお!感情いっぱいで何も言えない。ラスクが泣きながら部屋を出ていった。嫌だぁー!泣きたいのは兄の方だから!
◇◇◇◇
ラスクは兄の指示で屋敷に幽閉された。
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全員幽閉w
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感想コメントありがとうございます☺