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第三章
3-27 シュナーベル家が滅びる
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◆◆◆◆◆◆
俺は息を深く吐き出して、ヴォルフラムを見つめて質問した。
「カール殺害を実行されましたか?」
ヴォルフラムは俺を見つめ返しゆっくりと応じる。
「私は人を雇いカール卿の殺害を命じました。」
「‥‥っ!」
「私の雇った実行犯はカール卿の殺害に成功したと報告し、成功報酬を要求してきました。ですが、報告内容とカール卿の遺体の損傷具合があまりに違っていた。恐らく、私の雇った実行犯は、カール卿の殺害には関わっていないと思われます。」
ヴォルフラムに雇われた輩は、カールの死を自分の手柄にして金をせしめようとしたのか‥‥。
「‥‥そうでしたか」
ヴォルフラムは不意に目を細めて俺を見つめると、静かに言葉を発した。
「‥‥これは私の想像ですが、殺害を実行したのはシュナーベル家の者だと思っています。」
俺はドキリとしてヴォルフラムを見つめ返す。逡巡した後に俺は彼に尋ねた。
「私が犯行に関わっているとお考えですか、ヴォルフラム様?」
「ヴェルンハルト殿下は、マテウス卿は犯行に関わっていないと仰っておられました。ですが、私は貴方も何らかの形で犯行に関わっておられると思っています。」
「ヴォルフラム様、それでも私にまだ恋心を抱けるものなのですか?」
「恋心とはそういうものです。少なくとも、私にとってはそうです」
俺は椅子から立ち上がり、アルミンの手を取った。そして、ヴォルフラムに言い放つ。
「カール殺害の件に、シュナーベル家は一切関わっていません。もしも、ヴォルフラム様が根も葉もない噂を流した場合には、シュナーベル家は容赦なく貴方を潰します」
ヴォルフラムはしばらく黙って俺を見つめていた。やがて、ゆっくりと言葉を紡ぐ。
「私を潰せばディートリッヒ家が黙ってはいませんよ?」
「そうでしょうね、ヴォルフラム様」
俺がそう答えると、ヴォルフラムは少し逡巡した後に口を開いた。
「マテウス卿‥‥ヴェルンハルト殿下は、カール卿の事を今も大切に想われています。殿下は王位を継がれた暁には、カール卿の遺志を継ぎ、法により血族婚や近親婚を禁じるおつもりです。」
ヴォルフラムの言葉に俺は思わず震えたが、アルミンが震える手をしっかりと握り返してくれた。アルミンに力を借りて、俺はヴォルフラムに言葉を返す。
「差別された状態で血族婚や近親婚が禁止されたら‥‥シュナーベル家は滅びてしまいます」
「ヴェルンハルト殿下は、血族婚や近親婚を禁じることがカール卿の遺志に添うものだと信じておられるようです」
俺は思わず唇を噛みしめる。殿下は今でもカールを大切に思ってくれている。それでも‥‥。
「そうですか‥‥ヴォルフラム様。大切な情報を教えて下さりありがとうございます。情報の見返りは何をお望みですか?」
俺の言葉にヴォルフラムは柔らかく微笑む。
「マテウス卿に必要な情報だと思ったので話しただけです。アルミン殿によると、私は衝動的な生き方をしているそうなので‥‥この発言も衝動的に発しただけです。」
「ヴォルフラム様」
「ですが、もしも見返りを私に下さるなら‥‥マテウス卿、明日も変わらず同僚として私に接して下さい。」
俺はヴォルフラムに微笑み返した。
「承知しました。以前と変わらず接します、ヴォルフラム様。」
「よかった。」
「‥‥少し疲れましたので、私はアルミンと共に邸に帰りますね。ファビアン殿下をお願い出来ますでしょうか、ヴォルフラム様?」
「勿論です」
「ファビアン殿下によろしくお伝えください。ああ、そうでした!側近とのセックスの回数を減らすよう、ヴェルンハルト殿下に進言していただけますか?」
俺の言葉にヴォルフラムが不意に表情を曇らせ口を開く。
「全てお任せ下さいと申し上げたいところですが‥‥。側近とのセックスの件は生殖医療に通じた専門家を呼び、その上で殿下に進言したいと考えています。その際には、マテウス卿も同席をお願いします。」
「分かりました、ヴォルフラム様。ヴェルンハルト殿下を理詰めで追い込みましょう。ふふ、楽しみ!」
俺の言葉にアルミンが反応した。ニヤニヤしながら俺の顔を望み込む。
「マテウス、性格悪い~。ヴェルンハルト殿下、可哀想~。セックスの回数制限なんて拷問だろ。せっかく側近を好みの筋肉男で固めたのに、その殿下に禁欲を強いるとは!殿下は、常に勃起しながら仕事する事にならないか?殿下、可哀想~!」
アルミンがエロくてうるさい。
「うるさいよ、アルミン!疲れたから私をおんぶしなさい。アルミンの背中に張り付くから、振り落とさないでね。」
「えー、おんぶはお前の下半身が当たるから嫌なんだよなぁ~、うお、っ痛い!」
俺はアルミンの肩を殴り、そのまま彼の背中に回り込んで抱きつく。
「姫抱っこは恥ずかしいからダメ」
アルミンは嫌そうな顔をしたが、ちゃんとおんぶしてくれた。俺の下半身が当たるぐらい我慢して貰おう。
今日も色々ありすぎて、本当に疲れてしまった。アルミンの首筋が放つ癒しの体臭を遠慮なく吸い込む。
く~、たまんない。
「ヴォルフラム様、失礼します」
「はい、マテウス卿」
ヴォルフラムは苦笑いを浮かべながら、アルミンにおんぶされた俺を見送る。
俺はアルミンのおんぶが心地良く、すぐに眠気に襲われる。
まさかとは思うけど、アルミン‥‥首筋に眠気を誘う薬草入り練り香水を付けてない?すごく眠い。
とにかく今日も疲れた。
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俺は息を深く吐き出して、ヴォルフラムを見つめて質問した。
「カール殺害を実行されましたか?」
ヴォルフラムは俺を見つめ返しゆっくりと応じる。
「私は人を雇いカール卿の殺害を命じました。」
「‥‥っ!」
「私の雇った実行犯はカール卿の殺害に成功したと報告し、成功報酬を要求してきました。ですが、報告内容とカール卿の遺体の損傷具合があまりに違っていた。恐らく、私の雇った実行犯は、カール卿の殺害には関わっていないと思われます。」
ヴォルフラムに雇われた輩は、カールの死を自分の手柄にして金をせしめようとしたのか‥‥。
「‥‥そうでしたか」
ヴォルフラムは不意に目を細めて俺を見つめると、静かに言葉を発した。
「‥‥これは私の想像ですが、殺害を実行したのはシュナーベル家の者だと思っています。」
俺はドキリとしてヴォルフラムを見つめ返す。逡巡した後に俺は彼に尋ねた。
「私が犯行に関わっているとお考えですか、ヴォルフラム様?」
「ヴェルンハルト殿下は、マテウス卿は犯行に関わっていないと仰っておられました。ですが、私は貴方も何らかの形で犯行に関わっておられると思っています。」
「ヴォルフラム様、それでも私にまだ恋心を抱けるものなのですか?」
「恋心とはそういうものです。少なくとも、私にとってはそうです」
俺は椅子から立ち上がり、アルミンの手を取った。そして、ヴォルフラムに言い放つ。
「カール殺害の件に、シュナーベル家は一切関わっていません。もしも、ヴォルフラム様が根も葉もない噂を流した場合には、シュナーベル家は容赦なく貴方を潰します」
ヴォルフラムはしばらく黙って俺を見つめていた。やがて、ゆっくりと言葉を紡ぐ。
「私を潰せばディートリッヒ家が黙ってはいませんよ?」
「そうでしょうね、ヴォルフラム様」
俺がそう答えると、ヴォルフラムは少し逡巡した後に口を開いた。
「マテウス卿‥‥ヴェルンハルト殿下は、カール卿の事を今も大切に想われています。殿下は王位を継がれた暁には、カール卿の遺志を継ぎ、法により血族婚や近親婚を禁じるおつもりです。」
ヴォルフラムの言葉に俺は思わず震えたが、アルミンが震える手をしっかりと握り返してくれた。アルミンに力を借りて、俺はヴォルフラムに言葉を返す。
「差別された状態で血族婚や近親婚が禁止されたら‥‥シュナーベル家は滅びてしまいます」
「ヴェルンハルト殿下は、血族婚や近親婚を禁じることがカール卿の遺志に添うものだと信じておられるようです」
俺は思わず唇を噛みしめる。殿下は今でもカールを大切に思ってくれている。それでも‥‥。
「そうですか‥‥ヴォルフラム様。大切な情報を教えて下さりありがとうございます。情報の見返りは何をお望みですか?」
俺の言葉にヴォルフラムは柔らかく微笑む。
「マテウス卿に必要な情報だと思ったので話しただけです。アルミン殿によると、私は衝動的な生き方をしているそうなので‥‥この発言も衝動的に発しただけです。」
「ヴォルフラム様」
「ですが、もしも見返りを私に下さるなら‥‥マテウス卿、明日も変わらず同僚として私に接して下さい。」
俺はヴォルフラムに微笑み返した。
「承知しました。以前と変わらず接します、ヴォルフラム様。」
「よかった。」
「‥‥少し疲れましたので、私はアルミンと共に邸に帰りますね。ファビアン殿下をお願い出来ますでしょうか、ヴォルフラム様?」
「勿論です」
「ファビアン殿下によろしくお伝えください。ああ、そうでした!側近とのセックスの回数を減らすよう、ヴェルンハルト殿下に進言していただけますか?」
俺の言葉にヴォルフラムが不意に表情を曇らせ口を開く。
「全てお任せ下さいと申し上げたいところですが‥‥。側近とのセックスの件は生殖医療に通じた専門家を呼び、その上で殿下に進言したいと考えています。その際には、マテウス卿も同席をお願いします。」
「分かりました、ヴォルフラム様。ヴェルンハルト殿下を理詰めで追い込みましょう。ふふ、楽しみ!」
俺の言葉にアルミンが反応した。ニヤニヤしながら俺の顔を望み込む。
「マテウス、性格悪い~。ヴェルンハルト殿下、可哀想~。セックスの回数制限なんて拷問だろ。せっかく側近を好みの筋肉男で固めたのに、その殿下に禁欲を強いるとは!殿下は、常に勃起しながら仕事する事にならないか?殿下、可哀想~!」
アルミンがエロくてうるさい。
「うるさいよ、アルミン!疲れたから私をおんぶしなさい。アルミンの背中に張り付くから、振り落とさないでね。」
「えー、おんぶはお前の下半身が当たるから嫌なんだよなぁ~、うお、っ痛い!」
俺はアルミンの肩を殴り、そのまま彼の背中に回り込んで抱きつく。
「姫抱っこは恥ずかしいからダメ」
アルミンは嫌そうな顔をしたが、ちゃんとおんぶしてくれた。俺の下半身が当たるぐらい我慢して貰おう。
今日も色々ありすぎて、本当に疲れてしまった。アルミンの首筋が放つ癒しの体臭を遠慮なく吸い込む。
く~、たまんない。
「ヴォルフラム様、失礼します」
「はい、マテウス卿」
ヴォルフラムは苦笑いを浮かべながら、アルミンにおんぶされた俺を見送る。
俺はアルミンのおんぶが心地良く、すぐに眠気に襲われる。
まさかとは思うけど、アルミン‥‥首筋に眠気を誘う薬草入り練り香水を付けてない?すごく眠い。
とにかく今日も疲れた。
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