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第四章
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◆◆◆◆◆
「分かった。マテウスの覚悟を知った以上はもうなにも言わない。夜分に悪かったね、マテウス。ゆっくりと休んでくれ」
「はい、ヘクトール兄上」
ヘクトール兄上はそう言うと、ソファーから立ち上がった。そして、素っ気ない態度で自室の扉に向かう。その事を少し寂しく感じたが、何も言えなかった。だが、兄上は扉の前で立ち止まり黙りこむ。
「ヘクトール兄上?」
不思議な行動に声を掛けると、ヘクトール兄上は振り返った。そして、兄上は表情を強張らせたまま俺に向かい歩き出す。いったい、どうしたのだろう?そう思っていると、ヘクトール兄上に抱きしめられていた。
「マテウス、抱きたい」
「えっ!?」
「すまない、マテウス。こんな事を、口にすべきでないことはわかっている。マテウスは子を喪った。もう、子を孕むような行為は、避けたいと思っているに違いない。だが、運命の時を前にして俺は怖い。俺の計画が崩れたなら、二度とマテウスと触れ合えなくなる。怖くてたまらない、マテウス」
「だから抱きたいのですか、兄上?」
「短絡的な人間だと、自分でも思う。だが、マテウスの存在を、身近に感じたくてたまらない。肌を重ねて、共に生きていく決意を新たにしたい。俺に勇気を与えて欲しい。幸運を引き寄せる力を俺に与えてくれ、マテウス」
俺はヘクトール兄上の告白に、くすくすと笑いだしていた。兄上は少し拗ねたように俺の耳元で呟く。
「何故・・笑う?」
「だって、もう、兄上ったら!初めて、兄上の方から誘ってくれたのに!もっと単純でいいと思います。もっと素直に、単純に、私を口説いて下さい。その方が、私は嬉しいです」
ちょっと上目遣いで、ヘクトール兄上を見つめた。兄上は俺の言葉に目を見開き、それからふわりと笑った。
「マテウスが好きだ」
「はい、兄上」
「マテウスを誰にも渡したくない」
「はい、私もです」
「マテウスは可愛い」
「えーと、はい」
「マテウスの裸は更に可愛い」
「えっ!?」
「裸のマテウスの色気で死にそうになる。だが、抱き合いたい。愛している、マテウス」
「あうっ、兄上」
「つまり、ベッドに行きたい」
「え、と・・お姫様抱っこを希望します」
「合意ととらえてよいか、マテウス」
「大好き、にいさま」
ヘクトール兄上は、俺をお姫様抱っこをしてベッドに向かった。俺はもうなんだか、ふわふわした気分で兄上に抱きついていた。ベッドに横になった二人の動きは素早く、待ちきれないように衣服を脱いだ。
「前準備をしていません、兄上」
「俺がする」
「恥ずかしいです。あの、あの、ひやぁ!」
ヘクトール兄上の動きは素早かった。俺の脚を大きく開くと身を沈めた。剥き出しのアナルに、兄上の舌が絡み内部に侵入する。それだけで、体がゾクゾクと快感に震えた。
「あっ、あ、やん。かんじる」
「んっ」
舌と共に指が挿入されて、やわやわとアナルを広げていく。ビクビクと俺のペニスが、敏感に反応する。そっと自らのものに視線を向けると、はしたなくも兄上の頭上でぷらぷらしていた。あまりのはしたない動きに、俺は自分のぺニスに言葉を掛けていた。
「ひっ、エロく動いちゃ駄目!」
「え?」
だが、俺の声に兄上が反応した。ヘクトール兄上が顔をあげる動作で、俺のぺニスが兄上の髪に埋もれて刺激をもろに受けた。
「ひゃ、まだ、だめーー!」
「うわっ!」
ヘクトール兄上の頬にぺニスが当たった瞬間、頭が真っ白になった。快感に震えながら、いってしまった。頬に白濁を受けたヘクトール兄上は、ポカンとした表情をしていた。そのつぎに、くすくすと笑いだしていた。
俺はもう恥ずかしくなり、うつ伏せになりシーツに顔を埋めた。恥ずかしすぎて、涙が出てきた。
「マテウス、笑ってごめん」
「ひどいですぅ~」
「あまりにも、可愛くて。愛らしくて」
「嘘です~」
「嘘じゃないよ、マテウス。でも、うつ伏せになるなんて、俺を煽る事にしかならないよ?」
ヘクトール兄上は言葉通り、俺に覆い被さってきた。そして、かたい兄上のぺニスが太ももに当たり、俺はびくりと身を震わせた。
「興奮してしまって・・」
「ヘクトール兄上」
「一度射精するから大丈夫だよ、マテウス。無理に入れたりはしないから」
「私は、兄上のかたいのが欲しいです」
「駄目だよ、マテウス。傷付けたくない」
「傷ついたりしません、兄上」
「無理に入れられたら傷つく。俺は何度かそれを経験した。痛くて、苦しくて。だから、セックスも人と肌を合わせることも嫌いになった」
背中にヘクトール兄上の体温を感じながら、俺は兄上の言葉に耳を傾けていた。兄上の鼓動が激しくなるのを感じる。
「何故、こんな話をしているのだろうね。自分でもよく分からない。マテウスには知られたくないのに。すまない、マテウス。今の話は忘れてくれ。追求もしないで欲しい」
「はい、兄上」
全ての元凶。血脈の弊害。犠牲になった人達。それでも、俺は守られて生きてきた。
「ヘクトール兄上、私の口でやわやわとするのはどうですか?気持ちいいですよ~」
「ふふ、マテウスが娼館に勤めたらNo.1になりそうだ。そうなると、俺は仕事を放り出して、毎日指名をいれないとね」
ヘクトール兄上が笑うから、俺も笑える。
「ヘクトール兄上より指名をお受けしました。パクってしちゃいますよ!」
「よろしく頼む、マテウス」
◆◆◆◆◆
「分かった。マテウスの覚悟を知った以上はもうなにも言わない。夜分に悪かったね、マテウス。ゆっくりと休んでくれ」
「はい、ヘクトール兄上」
ヘクトール兄上はそう言うと、ソファーから立ち上がった。そして、素っ気ない態度で自室の扉に向かう。その事を少し寂しく感じたが、何も言えなかった。だが、兄上は扉の前で立ち止まり黙りこむ。
「ヘクトール兄上?」
不思議な行動に声を掛けると、ヘクトール兄上は振り返った。そして、兄上は表情を強張らせたまま俺に向かい歩き出す。いったい、どうしたのだろう?そう思っていると、ヘクトール兄上に抱きしめられていた。
「マテウス、抱きたい」
「えっ!?」
「すまない、マテウス。こんな事を、口にすべきでないことはわかっている。マテウスは子を喪った。もう、子を孕むような行為は、避けたいと思っているに違いない。だが、運命の時を前にして俺は怖い。俺の計画が崩れたなら、二度とマテウスと触れ合えなくなる。怖くてたまらない、マテウス」
「だから抱きたいのですか、兄上?」
「短絡的な人間だと、自分でも思う。だが、マテウスの存在を、身近に感じたくてたまらない。肌を重ねて、共に生きていく決意を新たにしたい。俺に勇気を与えて欲しい。幸運を引き寄せる力を俺に与えてくれ、マテウス」
俺はヘクトール兄上の告白に、くすくすと笑いだしていた。兄上は少し拗ねたように俺の耳元で呟く。
「何故・・笑う?」
「だって、もう、兄上ったら!初めて、兄上の方から誘ってくれたのに!もっと単純でいいと思います。もっと素直に、単純に、私を口説いて下さい。その方が、私は嬉しいです」
ちょっと上目遣いで、ヘクトール兄上を見つめた。兄上は俺の言葉に目を見開き、それからふわりと笑った。
「マテウスが好きだ」
「はい、兄上」
「マテウスを誰にも渡したくない」
「はい、私もです」
「マテウスは可愛い」
「えーと、はい」
「マテウスの裸は更に可愛い」
「えっ!?」
「裸のマテウスの色気で死にそうになる。だが、抱き合いたい。愛している、マテウス」
「あうっ、兄上」
「つまり、ベッドに行きたい」
「え、と・・お姫様抱っこを希望します」
「合意ととらえてよいか、マテウス」
「大好き、にいさま」
ヘクトール兄上は、俺をお姫様抱っこをしてベッドに向かった。俺はもうなんだか、ふわふわした気分で兄上に抱きついていた。ベッドに横になった二人の動きは素早く、待ちきれないように衣服を脱いだ。
「前準備をしていません、兄上」
「俺がする」
「恥ずかしいです。あの、あの、ひやぁ!」
ヘクトール兄上の動きは素早かった。俺の脚を大きく開くと身を沈めた。剥き出しのアナルに、兄上の舌が絡み内部に侵入する。それだけで、体がゾクゾクと快感に震えた。
「あっ、あ、やん。かんじる」
「んっ」
舌と共に指が挿入されて、やわやわとアナルを広げていく。ビクビクと俺のペニスが、敏感に反応する。そっと自らのものに視線を向けると、はしたなくも兄上の頭上でぷらぷらしていた。あまりのはしたない動きに、俺は自分のぺニスに言葉を掛けていた。
「ひっ、エロく動いちゃ駄目!」
「え?」
だが、俺の声に兄上が反応した。ヘクトール兄上が顔をあげる動作で、俺のぺニスが兄上の髪に埋もれて刺激をもろに受けた。
「ひゃ、まだ、だめーー!」
「うわっ!」
ヘクトール兄上の頬にぺニスが当たった瞬間、頭が真っ白になった。快感に震えながら、いってしまった。頬に白濁を受けたヘクトール兄上は、ポカンとした表情をしていた。そのつぎに、くすくすと笑いだしていた。
俺はもう恥ずかしくなり、うつ伏せになりシーツに顔を埋めた。恥ずかしすぎて、涙が出てきた。
「マテウス、笑ってごめん」
「ひどいですぅ~」
「あまりにも、可愛くて。愛らしくて」
「嘘です~」
「嘘じゃないよ、マテウス。でも、うつ伏せになるなんて、俺を煽る事にしかならないよ?」
ヘクトール兄上は言葉通り、俺に覆い被さってきた。そして、かたい兄上のぺニスが太ももに当たり、俺はびくりと身を震わせた。
「興奮してしまって・・」
「ヘクトール兄上」
「一度射精するから大丈夫だよ、マテウス。無理に入れたりはしないから」
「私は、兄上のかたいのが欲しいです」
「駄目だよ、マテウス。傷付けたくない」
「傷ついたりしません、兄上」
「無理に入れられたら傷つく。俺は何度かそれを経験した。痛くて、苦しくて。だから、セックスも人と肌を合わせることも嫌いになった」
背中にヘクトール兄上の体温を感じながら、俺は兄上の言葉に耳を傾けていた。兄上の鼓動が激しくなるのを感じる。
「何故、こんな話をしているのだろうね。自分でもよく分からない。マテウスには知られたくないのに。すまない、マテウス。今の話は忘れてくれ。追求もしないで欲しい」
「はい、兄上」
全ての元凶。血脈の弊害。犠牲になった人達。それでも、俺は守られて生きてきた。
「ヘクトール兄上、私の口でやわやわとするのはどうですか?気持ちいいですよ~」
「ふふ、マテウスが娼館に勤めたらNo.1になりそうだ。そうなると、俺は仕事を放り出して、毎日指名をいれないとね」
ヘクトール兄上が笑うから、俺も笑える。
「ヘクトール兄上より指名をお受けしました。パクってしちゃいますよ!」
「よろしく頼む、マテウス」
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