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第四章
121 フリートヘルム様!
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◆◆◆◆◆◆
殿下は俺の首を左手で押さえ込んだまま、咥内に舌を侵入させる。殿下の舌が歯列をなぞり、俺の舌を絡みとる。
「ふっ・・んっ!」
唇を奪われたまま床に押し倒されて、衣服を引き裂かれていく。露になった肌に指を這わされ、俺はびくりと体を跳ねさせた。殿下の右手が下半身に移動して、下着の内部に手を差し込まれた。殿下が、俺の貧弱なペニスを強く揉み込む。
「ふっ、んっんー!」
僅かな時間が永遠に思えた。涙がポロポロ零れ落ち、俺は目を閉じて屈辱と恐怖に耐えた。
「ぐっ、」
不意に殿下が苦しげな声を漏らした。そして、殿下は力を完全に失い、俺に覆い被さる様に崩れ落ちた。
「んっ、はぁ、はぁ、アルミン、助かった。怖かった・・だ、抱きしめて、アルミン・・怖い。怖いよ・・アルミン!」
「すまない、マテウス卿」
「ん?」
「フリートヘルムだ」
「フリートヘルム様!」
恥ずかしい!アルミンが、救出に来てくれたと思い込んでた。フリートヘルムが殿下を気絶させたのか。
「殿下の首を背後から絞めて気絶させた。殿下の意識は数分で戻る筈だ。執務室の仮眠室に殿下を寝かせて・・不敬にあたるが、しばらく仮眠室に外から鍵を掛けるつもりだ。仮眠室には、衣服の予備が置いてある。その、マテウス卿に似合う衣服もあるに違いない。どのような衣服が好みだ、マテウス卿?やはり、孕み子は・・可愛い衣服を好むのだろうか?」
「えーと??」
フリートヘルムの頭が、バグを起こしているようだ。確かに、俺だって可愛い衣服が似合う孕み子になりたいとは思うよ?だが、見てわかるよね?俺には似合わないよね?だから、聞かないで欲しい。
そもそも、今は衣服のデザインなど重要ではない。だが、突っ込む事はやめよう。殿下の首を絞めて気絶させたのだ。フリートヘルムには、ショックが大き過ぎたに違いない。
「・・フリートヘルム様。王族に忠義を尽くす、ディートリッヒ家の嫡男である貴方に、辛い思いをさせてしまいました。ですが、殿下を気絶させて下さり、私は感謝しております。このような容姿でも・・私は孕み子です。あのまま、殿下が性行為を進めたなら・・私は殿下の子を孕む可能性もありました。王族に背く行為を、フリートヘルム様にさせてしまった事は、心苦しく思っております。同時に、貴方の勇敢な行いに感謝申し上げます、フリートヘルム様」
「そ、そうか。ふむ・・」
フリートヘルムが無口だ。本当に、孕み子と接点がないらしい。ディートリッヒ家の嫡男なのに、殿下の尻ばかり追っていたつけだな。
「殿下を仮眠室でゆっくりと休ませましょう。その為に、薬を盛ることを提案したいのですが、フリートヘルム様はどう思われますか?」
「そこまで必要か?」
「殿下が数分で目覚めるのならば必要です。仮眠室にて暴れられては、殿下が怪我をされる可能性があります。それに、ヴォルフラム様の件もございます。彼は私の同僚です。彼の救出には、私も協力したいのです。その為には、情報共有は重要です。後は・・静かな環境がファビアン殿下の心の治療には不可欠です。そして、何より・・ヴェルンハルト殿下に休息の時を差し上げたい。王太子殿下には、心を癒す時間が必要だと思います」
「マテウス卿は優しい方だ。貴方の提案に乗り、殿下に薬を盛ることにする。俺と貴方は、共犯関係となった・・よろしいですか、マテウス卿?」
「まあ、共犯関係とは、素敵な響きですね。ご安心下さい、フリートヘルム様。私は、貴方の行動を全面的に支持します。王族に手を出した事を罪に問われないように・・口裏を合わせる必要がありますね?」
「マテウス卿は、やはりシュナーベル家出自だと改めて実感した・・少し性悪だ」
「ひどいです、フリートヘルム様!ですが、貴方は、ディートリッヒ家の嫡男とは思えぬ柔軟さをお持ちですね?そういうところは・・私は、好きですよ?」
「うっ、あっ、そうか」
「ところで、衣装は普通のものを見つけて下さると有り難いです。可愛い衣服は、私には似合いませんから、フリートヘルム様」
「お、おう・・そうか。しかし、マテウス卿、その、先程からずっと、泣いておられるが・・大丈夫なのか?本当に、平気か?」
「私は泣いてなどおりません」
「・・分かった。殿下を担ぎ上げて、仮眠室にお連れする。その際に、マテウス卿の肌を見ないと約束する」
「ふふ、お願いします」
「それと、アルミン殿はファビアン殿下を保護済みだ。先程から、俺と交代しろと・・背後から、俺の尻を蹴り続けている。彼と交代する。くそ、尻を蹴るな、アルミン!痛い!」
「さっさと交代しろ、白豚が!」
「白豚だと、貴様!くそ、アルミン!マテウス卿の肌を、絶対見るなよ!」
「俺は幼馴染みだから、全部みていーの」
「殴る!」
フリートヘルムが、殿下を担ぎ上げた。そして、背後のアルミンを睨み付けた後に、仮眠室に向かった。
俺は横たわったまま、ファビアン殿下を抱き締めたアルミンに微笑み掛けた。ファビアン殿下は気を失っているようだ。怪我はなさそうだが、心配は尽きない。
「アルミン、ありがとう」
「マテウス・・お前は、本物の馬鹿だ!」
アルミンは、ファビアン殿下を抱き締めたまま、俺ごと抱き寄せた。涙が止まらず俺は言葉に詰まった。俺は泣きながら、アルミンに抱きついていた。
◆◆◆◆◆◆
殿下は俺の首を左手で押さえ込んだまま、咥内に舌を侵入させる。殿下の舌が歯列をなぞり、俺の舌を絡みとる。
「ふっ・・んっ!」
唇を奪われたまま床に押し倒されて、衣服を引き裂かれていく。露になった肌に指を這わされ、俺はびくりと体を跳ねさせた。殿下の右手が下半身に移動して、下着の内部に手を差し込まれた。殿下が、俺の貧弱なペニスを強く揉み込む。
「ふっ、んっんー!」
僅かな時間が永遠に思えた。涙がポロポロ零れ落ち、俺は目を閉じて屈辱と恐怖に耐えた。
「ぐっ、」
不意に殿下が苦しげな声を漏らした。そして、殿下は力を完全に失い、俺に覆い被さる様に崩れ落ちた。
「んっ、はぁ、はぁ、アルミン、助かった。怖かった・・だ、抱きしめて、アルミン・・怖い。怖いよ・・アルミン!」
「すまない、マテウス卿」
「ん?」
「フリートヘルムだ」
「フリートヘルム様!」
恥ずかしい!アルミンが、救出に来てくれたと思い込んでた。フリートヘルムが殿下を気絶させたのか。
「殿下の首を背後から絞めて気絶させた。殿下の意識は数分で戻る筈だ。執務室の仮眠室に殿下を寝かせて・・不敬にあたるが、しばらく仮眠室に外から鍵を掛けるつもりだ。仮眠室には、衣服の予備が置いてある。その、マテウス卿に似合う衣服もあるに違いない。どのような衣服が好みだ、マテウス卿?やはり、孕み子は・・可愛い衣服を好むのだろうか?」
「えーと??」
フリートヘルムの頭が、バグを起こしているようだ。確かに、俺だって可愛い衣服が似合う孕み子になりたいとは思うよ?だが、見てわかるよね?俺には似合わないよね?だから、聞かないで欲しい。
そもそも、今は衣服のデザインなど重要ではない。だが、突っ込む事はやめよう。殿下の首を絞めて気絶させたのだ。フリートヘルムには、ショックが大き過ぎたに違いない。
「・・フリートヘルム様。王族に忠義を尽くす、ディートリッヒ家の嫡男である貴方に、辛い思いをさせてしまいました。ですが、殿下を気絶させて下さり、私は感謝しております。このような容姿でも・・私は孕み子です。あのまま、殿下が性行為を進めたなら・・私は殿下の子を孕む可能性もありました。王族に背く行為を、フリートヘルム様にさせてしまった事は、心苦しく思っております。同時に、貴方の勇敢な行いに感謝申し上げます、フリートヘルム様」
「そ、そうか。ふむ・・」
フリートヘルムが無口だ。本当に、孕み子と接点がないらしい。ディートリッヒ家の嫡男なのに、殿下の尻ばかり追っていたつけだな。
「殿下を仮眠室でゆっくりと休ませましょう。その為に、薬を盛ることを提案したいのですが、フリートヘルム様はどう思われますか?」
「そこまで必要か?」
「殿下が数分で目覚めるのならば必要です。仮眠室にて暴れられては、殿下が怪我をされる可能性があります。それに、ヴォルフラム様の件もございます。彼は私の同僚です。彼の救出には、私も協力したいのです。その為には、情報共有は重要です。後は・・静かな環境がファビアン殿下の心の治療には不可欠です。そして、何より・・ヴェルンハルト殿下に休息の時を差し上げたい。王太子殿下には、心を癒す時間が必要だと思います」
「マテウス卿は優しい方だ。貴方の提案に乗り、殿下に薬を盛ることにする。俺と貴方は、共犯関係となった・・よろしいですか、マテウス卿?」
「まあ、共犯関係とは、素敵な響きですね。ご安心下さい、フリートヘルム様。私は、貴方の行動を全面的に支持します。王族に手を出した事を罪に問われないように・・口裏を合わせる必要がありますね?」
「マテウス卿は、やはりシュナーベル家出自だと改めて実感した・・少し性悪だ」
「ひどいです、フリートヘルム様!ですが、貴方は、ディートリッヒ家の嫡男とは思えぬ柔軟さをお持ちですね?そういうところは・・私は、好きですよ?」
「うっ、あっ、そうか」
「ところで、衣装は普通のものを見つけて下さると有り難いです。可愛い衣服は、私には似合いませんから、フリートヘルム様」
「お、おう・・そうか。しかし、マテウス卿、その、先程からずっと、泣いておられるが・・大丈夫なのか?本当に、平気か?」
「私は泣いてなどおりません」
「・・分かった。殿下を担ぎ上げて、仮眠室にお連れする。その際に、マテウス卿の肌を見ないと約束する」
「ふふ、お願いします」
「それと、アルミン殿はファビアン殿下を保護済みだ。先程から、俺と交代しろと・・背後から、俺の尻を蹴り続けている。彼と交代する。くそ、尻を蹴るな、アルミン!痛い!」
「さっさと交代しろ、白豚が!」
「白豚だと、貴様!くそ、アルミン!マテウス卿の肌を、絶対見るなよ!」
「俺は幼馴染みだから、全部みていーの」
「殴る!」
フリートヘルムが、殿下を担ぎ上げた。そして、背後のアルミンを睨み付けた後に、仮眠室に向かった。
俺は横たわったまま、ファビアン殿下を抱き締めたアルミンに微笑み掛けた。ファビアン殿下は気を失っているようだ。怪我はなさそうだが、心配は尽きない。
「アルミン、ありがとう」
「マテウス・・お前は、本物の馬鹿だ!」
アルミンは、ファビアン殿下を抱き締めたまま、俺ごと抱き寄せた。涙が止まらず俺は言葉に詰まった。俺は泣きながら、アルミンに抱きついていた。
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