[離婚宣告]平凡オメガは結婚式当日にアルファから離婚されたのに反撃できません

月歌(ツキウタ)

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孕みました

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◆◆◆◆◆

マジックミラーで元伴侶の生セックスを見ながら、幼馴染と交わった結果・・。

「孕みました、雄一」
「え!?」

違法風俗店であんあんしまくって、翌日僕と雄一は正気に戻り店を後にした。正樹の事が気になり逢いたかったが、雄一が『絶対に駄目!』と言うので諦めた。

そして、後日妊娠が発覚した。

まじで、びびった。正樹とのハネムーンベイビーを期待して、妊娠検査薬を購入していたが・・まさか、雄一の子を孕んだかを調べる事になるとは。

ひょっとして、僕は性にだらしない人間なのだろうか?とにかく、どうしたらいいのか分からずに、しばらく家にこもっていた。その間も、雄一が幾度も僕の家に足を運んでくれた。まあ、近所なんだけどね。でも、雄一との連絡は断ち逢うことも拒んだ。

親に相談することも考えた。でも、離婚したばかりで心配を掛けまくったのに、今度は妊娠しましたとか言えなくて。色々悩んだ末に、雄一に会って告白するしかないと思ったわけだ。

「俺の子を孕んだのか?」

「雄一以外とやってないのに、そんな言い方はないだろ?そりゃ、自分でもはしたないと思ってるよ・・一回で孕むとか」

雄一に孕んだ事を伝えるために、夜景が美しい高級ホテルのレストランを予約した。もちろん、夜に訪れている。夜景がキラキラ美しい。雰囲気はこの上なく良い。

ことの次第によっては、部屋も必要になるかもしれないので、僕はすでに予約を入れている。僕は雄一を本気でおとすことにした。何故なら、すでに既成事実があるからだ。がっついているのは分かっている。

「雄一は嬉しくないの?」
「そ、そんなわけないだろ!」
「だって、顔が強ばってるから・・」

「突然だからだよ。ずっと連絡を無視されて、俺は嫌われたと思ってた。それが、いきなり高級レストランに呼び出されて、戸惑うだろ普通」

「一つ聞いてもいい、雄一?」
「なんだ、直人?」
「運命の番が現れそうな気配はない?」
「はぁ?」
「もう運命の番に奪われるのは嫌だから」
「だったら、この場で首を噛ませろ」
「はい?」
「俺はお前が運命の番だと信じている」

「いやいや、あり得ないでしょ。悪いけど、僕は雄一を運命の番だと感じたことはないよ?」

「ぐっ、はっきりいう奴。でも、ものは試しだろ?首を噛ませて、直人」

雄一が立ち上がり僕の背後に回った。そして首筋にふれる。首には貞操帯があるから牙は入らない。ちなみに、今日はちょっとおしゃれ貞操帯をつけてきた。キラキラスワロフスキーがアクセントだ。ふふ。いや、それよりもこの場で首を噛むつもりなのか?

「本気なの、雄一?」
「外せよ」
「うっ」

アルファ性をまとった雄一はどこか強引で、でも甘くもある。僕は促されるままに、貞操帯の留め具に触れた。外部からはまったく見えない留め具。それに触れるだけで貞操帯は外れる。

パチ

剥き出しの首筋に外気を浴びてぞくりとした。そして、いきなり噛まれた。

「あっ、くっ・・雄一」
「んっ」

食い込む牙に目の前がくらくらした。体が火照り視界がゆらいだ。やがてゆっくりと牙が抜かれる。僕はあわてて首筋を押さえていた。噛み痕を他人に見せたくない。僕は貞操帯で再び首筋を隠した。雄一はゆっくりと座席に戻り口を開いた。

「運命の番ではないようだ」
「だろー?」

僕は撃沈した気分だった。もしも奇跡が起こったなら、踊り出すとことだった。

「結婚式はどうする?」
「え?」

「体調が大丈夫なら、結婚式を挙げたい。指輪の交換とかしたい・・ん、げっ!」

「なに?」

「お前、まだ正樹の指輪をつけてるのか?外せ。今すぐに外してくれ!」

雄一が僕の左手を取る。

「だから、太って指輪が外れないっていってるだろ?ん、あれ?」

「お前、しばらく家にこもっている内に痩せたな。これなら、指輪はとれる。外してもいいか、直人?」

「あっ・・」

様々な想い出が胸に迫り、僕は涙ぐんでいた。僕は雄一を見つめながら、話しかけていた。

「幸せになりたいよ、雄一」

「そう望んでくれて嬉しい。指輪は正樹に突き返そう。借金返済に使うならそれでもいいと思う。奴には奴の人生がある。直人には直人の人生がある。で、俺は直人と人生を共にしたい」

「雄一~」

指輪は僕の指からするりと抜けて、雄一がジャケットのポケットに入れる。

「雄一、指輪を返して。正樹に突き返して、『ざまぁ』って言うつもりだから。『鏡の国』に行った時に、正樹に会って渡してくる」

僕の言葉に雄一が目を丸くした。

「はぁーー?嘘だろ、直人?あんな目にあったのに、違法風俗店に行くつもりなのか?やめろ、ヤバいから。あの店は完全にヤバいから!」

「でも、オーナーが花木の悪質な行為を認めて、辞めさせてくれたよ。花木の顔を見なくていいから、すっきり~。お詫びに、一生無料チケットもくれたし。オーナーが何時でもどうぞって言ってくれたもの」

「あのオーナー、ヤバいから。二度と行くな、直人。マジヤバイから!」

「でも、正樹の裸が・・」

「おまっ、お前は俺の裸では満足出来ないのか?分かった!ジムに通って頑張るから、俺を見てくれ!直人!」

僕は手を伸ばして雄一の頬に触れた。指先に温もりが宿る。

「雄一、大好き」
「お、おう」
「幸せにしてね」
「当たり前だ」
「ありがとう、雄一」
「こちらこそ、直人」

僕たちは互いの頬に指を添えて笑いあった。幸せはこんなに近くにあったんだね。



End

◆◆◆◆◆

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感想 8

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みんなの感想(8件)

にいな
2022.10.23 にいな

完結✨おめでとうございます㊗️🎉🎊
毎回更新を楽しみにしていたお気に入りの物語でした✨明日から直人君達に会えないのは寂しいです。
ちょっぴり抜けてる直人君が可愛くて目が離せませんでした🥰 きっと雄一君なら幸せにしてくれますね🍀
ステキな作品✨ありがとうございました😭✨

月歌(ツキウタ)
2022.10.23 月歌(ツキウタ)

感想コメントありがとうございます。直人には幸せになって欲しくて、ちょっと完結を急いだ感じはあります(*´∀`)♪できちゃった婚で、雄一に幸せにしてもらいます~
コメントありがとうございました。
(* ̄∇ ̄*)

解除
nico
2022.10.23 nico

完結お疲れ様でした。
雄一とあっさり…でしたね(笑)
その後の正樹の転落人生が気になります(笑)
いや、受けに目覚め売れっ子NO1人生か!
めでたしめでたし💗

月歌(ツキウタ)
2022.10.23 月歌(ツキウタ)

感想コメントありがとうございます。正樹、ナンバー1になったかも(*´∀`)♪
雄一と幸せになる道を直人は選びました。幸せになって欲しいです。ありがとうございました。(* ̄∇ ̄*)

解除
nico
2022.10.22 nico

正樹!バックバージンの危機!
いや、もう開発済みか…
元夫のそんな姿見たくない〜〜😱😱😱
主人公かぶりつきっすか(笑)

月歌(ツキウタ)
2022.10.22 月歌(ツキウタ)

感想コメントありがとうございます。正樹はやる方がメインなので、ほぼバージン?コメントありがとうございました。
(* ̄∇ ̄*)

解除

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