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離婚しました
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◆◆◆◆◆
婚姻届を出した次の日に、離婚届が提出された。正樹から離婚の手続きを終えたと、スマホにメッセージが残されていた。以降は弁護士を通じての、慰謝料の取り決めに移行するみたい。
「まあ、あれだよな」
「なんだよ?」
「直人が首を噛まれる前に離婚になったのは、不幸中の幸いってやつだな」
「雄一はデリカシーに欠ける」
僕は幼馴染みの大家雄一の足を蹴った。雄一は大袈裟に痛がるふりをする。居酒屋でやけ酒。ここ連日、酒を呑んでは潰れて意識を失うを繰り返している。
「あんまり飲みすぎるなよ」
「うるしぇ、呑ませろ」
流石に家族が心配して、 幼馴染みの雄一に僕の見張り役を頼んだみたい。平凡顔のオメガでもアルファに襲われる可能性は皆無ではないとの理由で。だけど、雄一もアルファなので・・彼になら喰われろとの家族の意思を若干感じる。
「まあ確かに、首を噛まれる前に離婚できて良かったかも。正樹に首を噛まれてたら、当分の間はヒートの度に正樹を思って自慰してた筈だし。裏切り者の顔を思い浮かべて、ペニスを弄るとか嫌すぎる」
「直人、下ネタ入ってきてるぞ」
「下ネタもぶっこみたくなる。雄一も下ネタ言えば?聞いてあげるよ?」
雄一はグラスのビールを飲み干すと、不意に僕の首筋にふれた。僕がびくりと震えると、雄一が首元を覆う貞操帯を指先でつついた。
「結婚式で初めて直人の貞操帯なしの首筋を見て・・ちょっと噛りたくなった」
「それが下ネタ?」
「まあな。やっぱり、未婚になると貞操帯をつけるのか。それってなんか見た目が苦しそうなんだが、大丈夫なのか?」
「伸縮性があるから苦しくはないよ。鬱陶しいけどね。でも、強姦対策で子供の頃から着けてるから、無いと不安ではあるね」
「確かに子供の頃からしてたよな」
「幼馴染みだから、長い付き合いになるよな。あれ、そういえば最近オメガの彼女はどうしたよ?結婚話は進んだのか?」
「ああ、結婚した」
「ええーーー!?」
「彼女が別のアルファとな」
「えーーーー~~」
「なんか、最後に笑いが含まれていたような?お前が傷付いてるから黙っていたが、俺は手負いの狼だから気をつけろよ」
「手負いの狼って、その表現~。しかし、仲良しだったのに別れたとは意外だな。エッチはしてたんだよな?」
「オメガ女が浮気性だったんだよ!俺が長期出張している間に、浮気して孕んでたんだよ・・別れるしかないだろ」
僕は何となく幼馴染みの手に触れた。温もりが欲しくて。互いに温もりが欲しかったのだろうか。雄一が僕の手を撫でた。
「なぁ、酔った勢いでセックスしない?」
「酔いすぎだ、直人」
「寂しくてさぁ。互いにフリーなら、セックスフレンドでいいんじゃね?」
「お前、アルファと寝たことあるのか?」
「ないけど」
「じゃあ、駄目」
「何でだよ~」
「好きな人に開通してもらえ」
「好きな人ねえ。現れるかなぁ」
僕は居酒屋の少しべたりとしたテーブルに、顔を突っ伏した。頭に皿が当たる。
「痛い」
「馬鹿だな、直人は」
雄一が頭を撫でてくれた。少し泣けてきて、僕は顔をあげられなかった。
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婚姻届を出した次の日に、離婚届が提出された。正樹から離婚の手続きを終えたと、スマホにメッセージが残されていた。以降は弁護士を通じての、慰謝料の取り決めに移行するみたい。
「まあ、あれだよな」
「なんだよ?」
「直人が首を噛まれる前に離婚になったのは、不幸中の幸いってやつだな」
「雄一はデリカシーに欠ける」
僕は幼馴染みの大家雄一の足を蹴った。雄一は大袈裟に痛がるふりをする。居酒屋でやけ酒。ここ連日、酒を呑んでは潰れて意識を失うを繰り返している。
「あんまり飲みすぎるなよ」
「うるしぇ、呑ませろ」
流石に家族が心配して、 幼馴染みの雄一に僕の見張り役を頼んだみたい。平凡顔のオメガでもアルファに襲われる可能性は皆無ではないとの理由で。だけど、雄一もアルファなので・・彼になら喰われろとの家族の意思を若干感じる。
「まあ確かに、首を噛まれる前に離婚できて良かったかも。正樹に首を噛まれてたら、当分の間はヒートの度に正樹を思って自慰してた筈だし。裏切り者の顔を思い浮かべて、ペニスを弄るとか嫌すぎる」
「直人、下ネタ入ってきてるぞ」
「下ネタもぶっこみたくなる。雄一も下ネタ言えば?聞いてあげるよ?」
雄一はグラスのビールを飲み干すと、不意に僕の首筋にふれた。僕がびくりと震えると、雄一が首元を覆う貞操帯を指先でつついた。
「結婚式で初めて直人の貞操帯なしの首筋を見て・・ちょっと噛りたくなった」
「それが下ネタ?」
「まあな。やっぱり、未婚になると貞操帯をつけるのか。それってなんか見た目が苦しそうなんだが、大丈夫なのか?」
「伸縮性があるから苦しくはないよ。鬱陶しいけどね。でも、強姦対策で子供の頃から着けてるから、無いと不安ではあるね」
「確かに子供の頃からしてたよな」
「幼馴染みだから、長い付き合いになるよな。あれ、そういえば最近オメガの彼女はどうしたよ?結婚話は進んだのか?」
「ああ、結婚した」
「ええーーー!?」
「彼女が別のアルファとな」
「えーーーー~~」
「なんか、最後に笑いが含まれていたような?お前が傷付いてるから黙っていたが、俺は手負いの狼だから気をつけろよ」
「手負いの狼って、その表現~。しかし、仲良しだったのに別れたとは意外だな。エッチはしてたんだよな?」
「オメガ女が浮気性だったんだよ!俺が長期出張している間に、浮気して孕んでたんだよ・・別れるしかないだろ」
僕は何となく幼馴染みの手に触れた。温もりが欲しくて。互いに温もりが欲しかったのだろうか。雄一が僕の手を撫でた。
「なぁ、酔った勢いでセックスしない?」
「酔いすぎだ、直人」
「寂しくてさぁ。互いにフリーなら、セックスフレンドでいいんじゃね?」
「お前、アルファと寝たことあるのか?」
「ないけど」
「じゃあ、駄目」
「何でだよ~」
「好きな人に開通してもらえ」
「好きな人ねえ。現れるかなぁ」
僕は居酒屋の少しべたりとしたテーブルに、顔を突っ伏した。頭に皿が当たる。
「痛い」
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雄一が頭を撫でてくれた。少し泣けてきて、僕は顔をあげられなかった。
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