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第二部 シノ=アングル
第3話 『元貴族のヤン』
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◆◆◆◆◆
さて、どうしたものか?
この容姿なら男娼として男に可愛がって貰えるだろう。童貞なら尻も処女だろうな。まあ、聞いてみるか?
「お前、尻は処女か?」
「はい?」
「尻は処女かって聞いてる」
「えっと??」
「ケツを男に掘られた経験は?」
「っ゙、あっ、え、掘られ‥あっ!?」
この反応なら尻は処女だな。店に出せば高値で売れる。
「あの、シノさん?」
だが、こいつを男娼にしても俺にはメリットがない。娼館の収益の大半は女が生み出す。貴族の男を男娼に貶すのは、息子を貴族に殺された親父の復讐で‥‥商売とはいえない。
「シノさん」
そんな復讐をしても死んだ息子は帰ってこないのにな。親父にとっての息子はダンテだけ‥‥。
「シノ!」
「おっ、いきなり呼び捨てか?」
「シノが反応しないからです。呼び捨てにして良いと言ったのは貴方ですよ、シノ?」
「ああ、そうだったな。」
俺は改めてヤンの顔を見つめる。ヤンが貴族だとして、亡くなった弟に雰囲気が似たこいつを親父は男娼にするかな?
こいつが男に抱かれる姿を見て、親父は平気でいられるのか?
「ヤン、正直に話せ」
「何をですか?」
ヤンが首を軽く傾げたので、俺はテーブルを指の腹でコツコツと打ちながら話を続けた。
「ヤンが貴族だとしても、俺はお前を男娼にするつもりはない。俺も弟分が欲しいと思っていたところだからな。でも、嘘つきを弟分にはしたくない。お前は貴族だな、ヤン?」
ヤンは俺の言葉に表情を強張らせるが、しばらく黙った後に頷いた。
「やはり貴族か。」
「僕の名はヤン=ビーゲルです。」
「ヤン=ビーゲル?」
ヤン=ビーゲルって‥‥今流行りの『元貴族のヤン』の事だよな?
高位貴族から追い出された不幸なヤン。そのヤンを名乗って商売をする男娼がここ最近増えている。ヤンを名乗るだけで客の食いつきが良いとか聞いたな。
「ビーゲル家は貴族ですが、色々とあって僕は家を出されました。」
呆れた‥‥。童貞で尻処女のふりをしてるが、こいつは『元貴族のヤン』を名乗る擦れた男娼ってわけか。
「お前‥‥男娼をしたいなら勿体ぶらすに早く言えよ。お前が男に慣れているなら、男娼の仕事もこなせるだろ。下働きよりは実入りがいいし、借金を抱えての身売りでないなら気楽なものだ。」
俺がそう言うとヤンは目を見開いて『男娼の仕事』と呟くと、いきなりポロポロと大粒の涙を流した。
「ちょっと待て。なんで泣くんだよ?お前は今色街で流行ってる『元貴族のヤン』を名乗る男娼の一人なんだろ?」
「なんですか、それ‥‥?」
瞳を潤ませてこちらを見てくる。初な振りして上手いやつ。女専だが‥‥仕事で男も抱くから下半身が疼く。
「俺が贔屓にしてる娼館にもヤン=ビーゲルを名乗って商売している奴がいる。別に軽蔑したりしない。でも、この店では貴族の出自以外の男娼は雇わない。だから別の店を当たってくれ。」
「名誉毀損です!」
「は?」
「僕の名を名乗って男娼をするなんて、明らかに僕の名誉を穢しています。全員を訴えて法の下で裁き‥‥。駄目だ!裁判するお金がないー!」
ヤンがテーブルに突っ伏して泣き始める。いや、何この展開‥‥。
「‥‥もしかして本物の『元貴族のヤン』なのか?」
「本物です‥‥‥。」
ヤンの返事に頭を抱えたくなる。厄介な弟分を抱えてしまった。
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さて、どうしたものか?
この容姿なら男娼として男に可愛がって貰えるだろう。童貞なら尻も処女だろうな。まあ、聞いてみるか?
「お前、尻は処女か?」
「はい?」
「尻は処女かって聞いてる」
「えっと??」
「ケツを男に掘られた経験は?」
「っ゙、あっ、え、掘られ‥あっ!?」
この反応なら尻は処女だな。店に出せば高値で売れる。
「あの、シノさん?」
だが、こいつを男娼にしても俺にはメリットがない。娼館の収益の大半は女が生み出す。貴族の男を男娼に貶すのは、息子を貴族に殺された親父の復讐で‥‥商売とはいえない。
「シノさん」
そんな復讐をしても死んだ息子は帰ってこないのにな。親父にとっての息子はダンテだけ‥‥。
「シノ!」
「おっ、いきなり呼び捨てか?」
「シノが反応しないからです。呼び捨てにして良いと言ったのは貴方ですよ、シノ?」
「ああ、そうだったな。」
俺は改めてヤンの顔を見つめる。ヤンが貴族だとして、亡くなった弟に雰囲気が似たこいつを親父は男娼にするかな?
こいつが男に抱かれる姿を見て、親父は平気でいられるのか?
「ヤン、正直に話せ」
「何をですか?」
ヤンが首を軽く傾げたので、俺はテーブルを指の腹でコツコツと打ちながら話を続けた。
「ヤンが貴族だとしても、俺はお前を男娼にするつもりはない。俺も弟分が欲しいと思っていたところだからな。でも、嘘つきを弟分にはしたくない。お前は貴族だな、ヤン?」
ヤンは俺の言葉に表情を強張らせるが、しばらく黙った後に頷いた。
「やはり貴族か。」
「僕の名はヤン=ビーゲルです。」
「ヤン=ビーゲル?」
ヤン=ビーゲルって‥‥今流行りの『元貴族のヤン』の事だよな?
高位貴族から追い出された不幸なヤン。そのヤンを名乗って商売をする男娼がここ最近増えている。ヤンを名乗るだけで客の食いつきが良いとか聞いたな。
「ビーゲル家は貴族ですが、色々とあって僕は家を出されました。」
呆れた‥‥。童貞で尻処女のふりをしてるが、こいつは『元貴族のヤン』を名乗る擦れた男娼ってわけか。
「お前‥‥男娼をしたいなら勿体ぶらすに早く言えよ。お前が男に慣れているなら、男娼の仕事もこなせるだろ。下働きよりは実入りがいいし、借金を抱えての身売りでないなら気楽なものだ。」
俺がそう言うとヤンは目を見開いて『男娼の仕事』と呟くと、いきなりポロポロと大粒の涙を流した。
「ちょっと待て。なんで泣くんだよ?お前は今色街で流行ってる『元貴族のヤン』を名乗る男娼の一人なんだろ?」
「なんですか、それ‥‥?」
瞳を潤ませてこちらを見てくる。初な振りして上手いやつ。女専だが‥‥仕事で男も抱くから下半身が疼く。
「俺が贔屓にしてる娼館にもヤン=ビーゲルを名乗って商売している奴がいる。別に軽蔑したりしない。でも、この店では貴族の出自以外の男娼は雇わない。だから別の店を当たってくれ。」
「名誉毀損です!」
「は?」
「僕の名を名乗って男娼をするなんて、明らかに僕の名誉を穢しています。全員を訴えて法の下で裁き‥‥。駄目だ!裁判するお金がないー!」
ヤンがテーブルに突っ伏して泣き始める。いや、何この展開‥‥。
「‥‥もしかして本物の『元貴族のヤン』なのか?」
「本物です‥‥‥。」
ヤンの返事に頭を抱えたくなる。厄介な弟分を抱えてしまった。
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