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魔王 デッドリー・ナイトシェイド
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◆◆◆◆◆
クリムゾンは魔王の許可を得て寝所に入った。だが、部屋に入った途端に魔方陣が作動して体を動かせなくなる。
「クリムゾン・・遅い」
動けずにいるクリムゾンの元に魔王は近づくと、迷いなく配下の首をその手で締め上げた。
「ぐっ、がっ・・あっ!?」
「アムールの体液を吐き出せ。不愉快だ、クリムゾン!」
魔王はクリムゾンの喉を絞めたまま、彼の脇腹を殴った。クリムゾンは激しく咳き込むと、そのまま床に崩れ落ちる。そして、クリムゾンは咥内からだらだらと体液を吐き出した。
「立て、クリムゾン」
魔王はクリムゾンにそう命じると、ソファーに座った。クリムゾンはふらつきながら立ち上がると、魔王に一礼し口を開く。
「・・申し訳ございません、デッドリー様。アムール様の体液は、全て体外に排出されました」
「クリムゾンを支配するとは、アムールのサキュバスの能力も侮れないな。或いは・・クリムゾン自身が、アムールに支配されたいと望んでのことか?どうなんだ、クリムゾン?」
「その様な考えは断じてございません。アムール様のサキュバスの魔力が予想を上回り、不覚にも操られてしまいました。申し訳ございません、デッドリー様」
魔王はソファーに座ったまま、頭を垂れるクリムゾンを眺める。やがて、ベッドで気絶する勇者に視線を向ける。
「お前の迎えが遅れた為に、吸血しすぎた。気絶しているが、精のあるものを食べさせれば回復するだろう。だが、その前にお前に問いたい」
「はい」
「家畜部屋に何故アムールがいる?」
クリムゾンは恐れからじわりと冷や汗をかいた。だが、その口から漏れた言葉は挑発的なものだった。
「デッドリー様は、アムール様を監視しておられるようですね?ならば、全てご存知の筈です。何故、俺に問われるのですか」
魔王は目を細めると、軽く指先を鳴らした。その途端に、クリムゾンが悲鳴をあげた。彼の右腕がギリギリと捻り上げられ、奇妙な方向に向く。
「ぐぁーー、デッドリー様、お許しを。ぐぁ、ああっーーーつっ!」
「私はアムールを監視などしていない。弟が危機に陥れば発動する陣を敷いているだけだ。アムールの居場所は把握できる。だが、弟の会話に聞き耳を立てるほど・・不実ではない」
魔王が再び指先を鳴らす。ごきりと音がなりクリムゾンの腕の関節が外れたが、捻れ上げる力は霧散していた。
「勇者に近づくことをアムール自身が望んだのなら、その理由を知りたい。ソファーに座れ、クリムゾン」
「承知しました、デッドリー様」
クリムゾンは自由の利かぬ右腕を左手で押さえながら、ソファーに向かった。
◆◆◆◆◆
クリムゾンは魔王の許可を得て寝所に入った。だが、部屋に入った途端に魔方陣が作動して体を動かせなくなる。
「クリムゾン・・遅い」
動けずにいるクリムゾンの元に魔王は近づくと、迷いなく配下の首をその手で締め上げた。
「ぐっ、がっ・・あっ!?」
「アムールの体液を吐き出せ。不愉快だ、クリムゾン!」
魔王はクリムゾンの喉を絞めたまま、彼の脇腹を殴った。クリムゾンは激しく咳き込むと、そのまま床に崩れ落ちる。そして、クリムゾンは咥内からだらだらと体液を吐き出した。
「立て、クリムゾン」
魔王はクリムゾンにそう命じると、ソファーに座った。クリムゾンはふらつきながら立ち上がると、魔王に一礼し口を開く。
「・・申し訳ございません、デッドリー様。アムール様の体液は、全て体外に排出されました」
「クリムゾンを支配するとは、アムールのサキュバスの能力も侮れないな。或いは・・クリムゾン自身が、アムールに支配されたいと望んでのことか?どうなんだ、クリムゾン?」
「その様な考えは断じてございません。アムール様のサキュバスの魔力が予想を上回り、不覚にも操られてしまいました。申し訳ございません、デッドリー様」
魔王はソファーに座ったまま、頭を垂れるクリムゾンを眺める。やがて、ベッドで気絶する勇者に視線を向ける。
「お前の迎えが遅れた為に、吸血しすぎた。気絶しているが、精のあるものを食べさせれば回復するだろう。だが、その前にお前に問いたい」
「はい」
「家畜部屋に何故アムールがいる?」
クリムゾンは恐れからじわりと冷や汗をかいた。だが、その口から漏れた言葉は挑発的なものだった。
「デッドリー様は、アムール様を監視しておられるようですね?ならば、全てご存知の筈です。何故、俺に問われるのですか」
魔王は目を細めると、軽く指先を鳴らした。その途端に、クリムゾンが悲鳴をあげた。彼の右腕がギリギリと捻り上げられ、奇妙な方向に向く。
「ぐぁーー、デッドリー様、お許しを。ぐぁ、ああっーーーつっ!」
「私はアムールを監視などしていない。弟が危機に陥れば発動する陣を敷いているだけだ。アムールの居場所は把握できる。だが、弟の会話に聞き耳を立てるほど・・不実ではない」
魔王が再び指先を鳴らす。ごきりと音がなりクリムゾンの腕の関節が外れたが、捻れ上げる力は霧散していた。
「勇者に近づくことをアムール自身が望んだのなら、その理由を知りたい。ソファーに座れ、クリムゾン」
「承知しました、デッドリー様」
クリムゾンは自由の利かぬ右腕を左手で押さえながら、ソファーに向かった。
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