2 / 12
兄上の吸血欲求
しおりを挟む
◆◆◆◆◆
「あん、だめです~。兄上、そんなところ、ちゅうちゅうしたら、んっ~」
くちゅっ
「起きたか、アムール?」
「んっ、デッドリー兄上。おはようございま~す?んぎゃ!何をしているのですか、兄上!?」
早朝。
デッドリー兄上は僕に覆い被さっていた。僕の首筋を舐めていた兄上は、顔を上げ満足そうに微笑んだ。
その口元には僅かに血液が付着していた。それ、絶対に僕の血液だろ!?
「うぎゃあーー!デッドリー兄上!僕を吸血しましたね!同意なく吸血するなんて、マナー違反です!」
「すまない、アムール。あまりに美味しそうで・・吸血してしまった。何時もは、クリムゾン・クローバーが朝食用の人間を寝所に連れてくるのだが。今朝はやけに遅いな、クリムゾンの奴は。腹がへった・・」
兄上が物欲しそうに、僕の首筋に視線を送る。だが、無視だ!
クリムゾン・クローバーは、僕の幼馴染。幼馴染にベッドの上で兄上と裸で絡む姿など、見せられない!
「クリムゾンが寝所に来るなんて、聞いていませんよ、兄上!」
「言ってなかったからね」
僕は下着を身につけ衣服を着こんだ。だが、ズボンが見当たらない。
「ズボンがありません、兄上!」
「床に落ちてるよ、アムール」
「うぉ、本当だ!」
僕はベッドからおりて、ズボンに片足を突っ込んだ。その時、寝所の扉がノックされた。僕はギクリとして、扉を見つめる。やがて、扉の向こうから声が聞こえてきた。
「朝食をお持ちしました。寝所に入っても宜しいですか、デッドリー様?」
クリムゾン・クローバーが来てしまった!僕は急いでもう片足をズボンに突っ込んだ。
「入れ、クリムゾン」
「はい、失礼します」
「待って、入らないで!」
僕の制止の声は届くことなく、寝所の扉は開かれた。クリムゾンは拘束した男を抱えたまま室内に入る。だが、僕と目が合い立ち止まった。
「あうっ~!」
僕は慌ててズボンを腰まで一気に引き上げようとした。だが、バランスを崩して、僕は背後に転んでしまった。
「アムール!」
クリムゾンは慌てて僕に駆け寄り、抱き起こしてくれた。だが、彼が急に動いたせいで、拘束された男は床に転びずるずると引きずられている。
「怪我はないか、アムール?」
「ありがとう、クリムゾン。僕は怪我をしていないけど、君が連れてきた人間が床に転んでるよ?」
「ああ、彼なら大丈夫だ。元勇者だからな。体は頑丈にできている」
「・・俺は今も勇者だ」
男は床に転んだまま、唸るように言葉を吐いた。僕はズボンを履く事も忘れて、元勇者を見た。確かに、人間にしては立派な体格をしている。引き締まった肉体に興味をそそられた。
◆◆◆◆◆
「あん、だめです~。兄上、そんなところ、ちゅうちゅうしたら、んっ~」
くちゅっ
「起きたか、アムール?」
「んっ、デッドリー兄上。おはようございま~す?んぎゃ!何をしているのですか、兄上!?」
早朝。
デッドリー兄上は僕に覆い被さっていた。僕の首筋を舐めていた兄上は、顔を上げ満足そうに微笑んだ。
その口元には僅かに血液が付着していた。それ、絶対に僕の血液だろ!?
「うぎゃあーー!デッドリー兄上!僕を吸血しましたね!同意なく吸血するなんて、マナー違反です!」
「すまない、アムール。あまりに美味しそうで・・吸血してしまった。何時もは、クリムゾン・クローバーが朝食用の人間を寝所に連れてくるのだが。今朝はやけに遅いな、クリムゾンの奴は。腹がへった・・」
兄上が物欲しそうに、僕の首筋に視線を送る。だが、無視だ!
クリムゾン・クローバーは、僕の幼馴染。幼馴染にベッドの上で兄上と裸で絡む姿など、見せられない!
「クリムゾンが寝所に来るなんて、聞いていませんよ、兄上!」
「言ってなかったからね」
僕は下着を身につけ衣服を着こんだ。だが、ズボンが見当たらない。
「ズボンがありません、兄上!」
「床に落ちてるよ、アムール」
「うぉ、本当だ!」
僕はベッドからおりて、ズボンに片足を突っ込んだ。その時、寝所の扉がノックされた。僕はギクリとして、扉を見つめる。やがて、扉の向こうから声が聞こえてきた。
「朝食をお持ちしました。寝所に入っても宜しいですか、デッドリー様?」
クリムゾン・クローバーが来てしまった!僕は急いでもう片足をズボンに突っ込んだ。
「入れ、クリムゾン」
「はい、失礼します」
「待って、入らないで!」
僕の制止の声は届くことなく、寝所の扉は開かれた。クリムゾンは拘束した男を抱えたまま室内に入る。だが、僕と目が合い立ち止まった。
「あうっ~!」
僕は慌ててズボンを腰まで一気に引き上げようとした。だが、バランスを崩して、僕は背後に転んでしまった。
「アムール!」
クリムゾンは慌てて僕に駆け寄り、抱き起こしてくれた。だが、彼が急に動いたせいで、拘束された男は床に転びずるずると引きずられている。
「怪我はないか、アムール?」
「ありがとう、クリムゾン。僕は怪我をしていないけど、君が連れてきた人間が床に転んでるよ?」
「ああ、彼なら大丈夫だ。元勇者だからな。体は頑丈にできている」
「・・俺は今も勇者だ」
男は床に転んだまま、唸るように言葉を吐いた。僕はズボンを履く事も忘れて、元勇者を見た。確かに、人間にしては立派な体格をしている。引き締まった肉体に興味をそそられた。
◆◆◆◆◆
3
お気に入りに追加
230
あなたにおすすめの小説
真面目な近衛騎士は借金返済のために雄っぱぶ嬢になりました。
竜鳴躍
BL
オランジェ=ペコーはペコー伯爵家の次男で王太子であるダージ=リン=ティーポットの近衛騎士だ。
真面目で堅物、清廉潔白に生きてきた彼に、ある日問題が降りかかる。
父が投資に失敗し、多額の負債を負ったのだ。しかも父は逃げてしまった……。
次期当主である兄が当主になり、立て直すも資金が足りない。このままでは妹の縁談にも響いてしまう。
オランジェは悩んだ挙げ句、誰にも内緒で昼は騎士、夜は顔を隠して風俗で働くことにした。
自分に婚約者はいない。それにちょっと胸をなめられるくらいなら………。
だがそこに、自分が仕える王太子がお忍びでやってきて?!
兄に嫌われてる弟ですが誤解が解けたら十数年分溺愛されました(完)
みかん畑
BL
王位継承権の関係で嫌われていた弟が兄を庇って女体化の呪いにかかった後のお話です。
ハッピーエンド保証。ジャンルは分かりません。甘々の溺愛系です。
微エロあり、ご注意を。
9/12 恋愛⇒BLに移しておきます。TSモノのBLなので苦手な方は回避お願いします。
9/18 本編完結済みですがたまにチマチマ更新します。
愛する者の腕に抱かれ、獣は甘い声を上げる
すいかちゃん
BL
獣の血を受け継ぐ一族。人間のままでいるためには・・・。
第一章 「優しい兄達の腕に抱かれ、弟は初めての発情期を迎える」
一族の中でも獣の血が濃く残ってしまった颯真。一族から疎まれる存在でしかなかった弟を、兄の亜蘭と玖蘭は密かに連れ出し育てる。3人だけで暮らすなか、颯真は初めての発情期を迎える。亜蘭と玖蘭は、颯真が獣にならないようにその身体を抱き締め支配する。
2人のイケメン兄達が、とにかく弟を可愛がるという話です。
第二章「孤独に育った獣は、愛する男の腕に抱かれ甘く啼く」
獣の血が濃い護は、幼い頃から家族から離されて暮らしていた。世話係りをしていた柳沢が引退する事となり、代わりに彼の孫である誠司がやってくる。真面目で優しい誠司に、護は次第に心を開いていく。やがて、2人は恋人同士となったが・・・。
第三章「獣と化した幼馴染みに、青年は変わらぬ愛を注ぎ続ける」
幼馴染み同士の凛と夏陽。成長しても、ずっと一緒だった。凛に片思いしている事に気が付き、夏陽は思い切って告白。凛も同じ気持ちだと言ってくれた。
だが、成人式の数日前。夏陽は、凛から別れを告げられる。そして、凛の兄である靖から彼の中に獣の血が流れている事を知らされる。発情期を迎えた凛の元に向かえば、靖がいきなり夏陽を羽交い締めにする。
獣が攻めとなる話です。また、時代もかなり現代に近くなっています。
屈強冒険者のおっさんが自分に執着する美形名門貴族との結婚を反対してもらうために直訴する話
信号六
BL
屈強な冒険者が一夜の遊びのつもりでひっかけた美形青年に執着され追い回されます。どうしても逃げ切りたい屈強冒険者が助けを求めたのは……?
美形名門貴族青年×屈強男性受け。
以前Twitterで呟いた話の短編小説版です。
(ムーンライトノベルズ、pixivにも載せています)
美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される
愛され末っ子
西条ネア
BL
本サイトでの感想欄は感想のみでお願いします。全ての感想に返答します。
リクエストはTwitter(@NeaSaijou)にて受付中です。また、小説のストーリーに関するアンケートもTwitterにて行います。
(お知らせは本編で行います。)
********
上園琉架(うえぞの るか)四男 理斗の双子の弟 虚弱 前髪は後々左に流し始めます。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い赤みたいなのアースアイ 後々髪の毛を肩口くらいまで伸ばしてゆるく結びます。アレルギー多め。その他の設定は各話で出てきます!
上園理斗(うえぞの りと)三男 琉架の双子の兄 琉架が心配 琉架第一&大好き 前髪は後々右に流します。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い緑みたいなアースアイ 髪型はずっと短いままです。 琉架の元気もお母さんのお腹の中で取っちゃった、、、
上園静矢 (うえぞの せいや)長男 普通にサラッとイケメン。なんでもできちゃうマン。でも弟(特に琉架)絡むと残念。弟達溺愛。深い青色の瞳。髪の毛の色はご想像にお任せします。
上園竜葵(うえぞの りゅうき)次男 ツンデレみたいな、考えと行動が一致しないマン。でも弟達大好きで奮闘して玉砕する。弟達傷つけられたら、、、 深い青色の瞳。兄貴(静矢)と一個差 ケンカ強い でも勉強できる。料理は壊滅的
上園理玖斗(うえぞの りくと)父 息子達大好き 藍羅(あいら・妻)も愛してる 家族傷つけるやつ許さんマジ 琉架の身体が弱すぎて心配 深い緑の瞳。普通にイケメン
上園藍羅(うえぞの あいら) 母 子供達、夫大好き 母は強し、の具現化版 美人さん 息子達(特に琉架)傷つけるやつ許さんマジ。
てか普通に上園家の皆さんは顔面偏差値馬鹿高いです。
(特に琉架)の部分は家族の中で順列ができているわけではなく、特に琉架になる場面が多いという意味です。
琉架の従者
遼(はる)琉架の10歳上
理斗の従者
蘭(らん)理斗の10歳上
その他の従者は後々出します。
虚弱体質な末っ子・琉架が家族からの寵愛、溺愛を受ける物語です。
前半、BL要素少なめです。
この作品は作者の前作と違い毎日更新(予定)です。
できないな、と悟ったらこの文は消します。
※琉架はある一定の時期から体の成長(精神も若干)がなくなる設定です。詳しくはその時に補足します。
皆様にとって最高の作品になりますように。
※作者の近況状況欄は要チェックです!
西条ネア
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる