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兄上の吸血欲求

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◆◆◆◆◆


「あん、だめです~。兄上、そんなところ、ちゅうちゅうしたら、んっ~」

くちゅっ

「起きたか、アムール?」

「んっ、デッドリー兄上。おはようございま~す?んぎゃ!何をしているのですか、兄上!?」

早朝。

デッドリー兄上は僕に覆い被さっていた。僕の首筋を舐めていた兄上は、顔を上げ満足そうに微笑んだ。

その口元には僅かに血液が付着していた。それ、絶対に僕の血液だろ!?

「うぎゃあーー!デッドリー兄上!僕を吸血しましたね!同意なく吸血するなんて、マナー違反です!」

「すまない、アムール。あまりに美味しそうで・・吸血してしまった。何時もは、クリムゾン・クローバーが朝食用の人間を寝所に連れてくるのだが。今朝はやけに遅いな、クリムゾンの奴は。腹がへった・・」

兄上が物欲しそうに、僕の首筋に視線を送る。だが、無視だ!

クリムゾン・クローバーは、僕の幼馴染。幼馴染にベッドの上で兄上と裸で絡む姿など、見せられない!

「クリムゾンが寝所に来るなんて、聞いていませんよ、兄上!」

「言ってなかったからね」

僕は下着を身につけ衣服を着こんだ。だが、ズボンが見当たらない。

「ズボンがありません、兄上!」
「床に落ちてるよ、アムール」
「うぉ、本当だ!」

僕はベッドからおりて、ズボンに片足を突っ込んだ。その時、寝所の扉がノックされた。僕はギクリとして、扉を見つめる。やがて、扉の向こうから声が聞こえてきた。

「朝食をお持ちしました。寝所に入っても宜しいですか、デッドリー様?」

クリムゾン・クローバーが来てしまった!僕は急いでもう片足をズボンに突っ込んだ。

「入れ、クリムゾン」
「はい、失礼します」
「待って、入らないで!」

僕の制止の声は届くことなく、寝所の扉は開かれた。クリムゾンは拘束した男を抱えたまま室内に入る。だが、僕と目が合い立ち止まった。

「あうっ~!」

僕は慌ててズボンを腰まで一気に引き上げようとした。だが、バランスを崩して、僕は背後に転んでしまった。

「アムール!」

クリムゾンは慌てて僕に駆け寄り、抱き起こしてくれた。だが、彼が急に動いたせいで、拘束された男は床に転びずるずると引きずられている。

「怪我はないか、アムール?」

「ありがとう、クリムゾン。僕は怪我をしていないけど、君が連れてきた人間が床に転んでるよ?」

「ああ、彼なら大丈夫だ。元勇者だからな。体は頑丈にできている」

「・・俺は今も勇者だ」

男は床に転んだまま、唸るように言葉を吐いた。僕はズボンを履く事も忘れて、元勇者を見た。確かに、人間にしては立派な体格をしている。引き締まった肉体に興味をそそられた。



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