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第4話 監房のピエロ人形
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◆◆◆◆◆
車椅子が廊下の真ん中を進む中、俺は五つの監房をさり気なく観察する。
一号監房はノコギリで足を削られた男が収容されている。
二号監房は‥‥‥ピエロ人形が収監されていた。何故だ!?えっ??
三号監房では囚人同士でセックスしている。というか、尻を掘っていた。まじでなにこれ?
「うっ‥‥‥‥‥‥。」
思考を停止したい。だが、見てしまった光景に俺はビクリと反応してしまった。金田は俺の反応をみて車椅子を止める。
「どうしましたか、秋山君?」
「あ~、何でもない。」
「隠し事は辛いです。」
ピエロ看守が悄気げる。監禁犯とは思えぬ幼い発言に不気味さしか感じない。ヤバイ‥‥気持ち悪い。
「い、いや‥‥その隠し事ではなくて。幾つか疑問が湧いただけだ。まず、二号監房に何故ピエロ人形を収監している?それと、三号監房の‥‥あれは何だ?」
俺が思い切って尋ねると、金田は軽く笑って再び車椅子を押し始める。
「過去に僕を虐めていた四人の同級生の名前を覚えていますか?八木と玉木と梅田と葉山です。僕は彼ら四人をこの監獄に招待するつもりでした。」
「八木と玉木と梅田と葉山‥‥。」
俺は四人の名前を知っている。
でも、彼等のことは思い出したくない。強い拒絶感と共に吐き気が起ったが、なんとか抑え込んで耐える。
「そう‥‥八木と玉木と梅田と葉山。」
金田は俺の車椅子のハンドルグリップを強く握ると、四人の名を繰り返し呟いた。そして、話を再開する。
「最初は闇バイトの連中に誘拐を依頼しました。なのに、一人目の誘拐から失敗して‥‥」
「失敗?」
「闇バイトの奴が誘拐に失敗して、葉山をその場で殺してしまったんです。」
「は?」
「本当に『は?』ですよね。僕はネットニュースで知って、スマホを投げそうになりましたよ。闇バイトの連中とも連絡が取れなくなるし。」
俺は声の震えを感じつつ尋ねる。
「つまり、四人の内の一人は既に死んだってことか?」
「そうです。二号監房に入れる予定だった葉山は死にました。悔しいので今はピエロ人形を収監して懲罰を与えています。」
「‥‥‥人形に懲罰?」
「意味はないって分かってます。でも、そうしないと腹立たしくて‥‥人形の隅々まで奴の名前を書いたので、地獄で呪われろって感じです。」
依頼した闇バイトの奴らが同級生を殺したのに、罪悪感がないのか?人形を身代わりにしてさらに呪うとかおかしいだろ。
「‥‥‥‥‥。」
「秋山君?」
「何でもない。」
「‥‥僕が怖いですか?」
それを聞くのか?
こんな話を聞かせた後に‥‥。
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車椅子が廊下の真ん中を進む中、俺は五つの監房をさり気なく観察する。
一号監房はノコギリで足を削られた男が収容されている。
二号監房は‥‥‥ピエロ人形が収監されていた。何故だ!?えっ??
三号監房では囚人同士でセックスしている。というか、尻を掘っていた。まじでなにこれ?
「うっ‥‥‥‥‥‥。」
思考を停止したい。だが、見てしまった光景に俺はビクリと反応してしまった。金田は俺の反応をみて車椅子を止める。
「どうしましたか、秋山君?」
「あ~、何でもない。」
「隠し事は辛いです。」
ピエロ看守が悄気げる。監禁犯とは思えぬ幼い発言に不気味さしか感じない。ヤバイ‥‥気持ち悪い。
「い、いや‥‥その隠し事ではなくて。幾つか疑問が湧いただけだ。まず、二号監房に何故ピエロ人形を収監している?それと、三号監房の‥‥あれは何だ?」
俺が思い切って尋ねると、金田は軽く笑って再び車椅子を押し始める。
「過去に僕を虐めていた四人の同級生の名前を覚えていますか?八木と玉木と梅田と葉山です。僕は彼ら四人をこの監獄に招待するつもりでした。」
「八木と玉木と梅田と葉山‥‥。」
俺は四人の名前を知っている。
でも、彼等のことは思い出したくない。強い拒絶感と共に吐き気が起ったが、なんとか抑え込んで耐える。
「そう‥‥八木と玉木と梅田と葉山。」
金田は俺の車椅子のハンドルグリップを強く握ると、四人の名を繰り返し呟いた。そして、話を再開する。
「最初は闇バイトの連中に誘拐を依頼しました。なのに、一人目の誘拐から失敗して‥‥」
「失敗?」
「闇バイトの奴が誘拐に失敗して、葉山をその場で殺してしまったんです。」
「は?」
「本当に『は?』ですよね。僕はネットニュースで知って、スマホを投げそうになりましたよ。闇バイトの連中とも連絡が取れなくなるし。」
俺は声の震えを感じつつ尋ねる。
「つまり、四人の内の一人は既に死んだってことか?」
「そうです。二号監房に入れる予定だった葉山は死にました。悔しいので今はピエロ人形を収監して懲罰を与えています。」
「‥‥‥人形に懲罰?」
「意味はないって分かってます。でも、そうしないと腹立たしくて‥‥人形の隅々まで奴の名前を書いたので、地獄で呪われろって感じです。」
依頼した闇バイトの奴らが同級生を殺したのに、罪悪感がないのか?人形を身代わりにしてさらに呪うとかおかしいだろ。
「‥‥‥‥‥。」
「秋山君?」
「何でもない。」
「‥‥僕が怖いですか?」
それを聞くのか?
こんな話を聞かせた後に‥‥。
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