30 / 30
パウル陛下の気持ち
しおりを挟む
◆◆◆◆◆
ちゅっ、ちゅっ、ちゅっちゅっ、
パウル陛下に姫抱っこされてキスの刑を受けている内に・・何故か、下半身が熱くなってきた。
くちゅ、ちゅっ、
いや、もう自分を偽るのはやめよう。俺は確実に・・陛下に躾られたのだ。童貞のまま、俺は女にされた。
がりっ
「うがぁーー、嫌すぎる~ー!」
「ぐはっ」
「パウル陛下が最悪すぎて泣けるぅ」
「セツ・・人の舌をおもいっきり噛んでおいて、俺を詰るのか?少しは俺の心配をしろ、男聖女よ」
陛下の言葉に、俺は抱かれたまま愚痴った。
「普通に話せていますから、機能に問題はありません。それよりも、どちらに向かっておられるのですか、パウル陛下?」
「セツの部屋だ」
「私の部屋ですか?」
「お前と話し合いたい」
「え、何故ですか?」
「お前は今日一日で、多くの情報を得たはずだ。その上で、俺の事をどう思っているのか聞きたい。俺の印象はお前のなかで・・地に落ちたのではないのか、セツ」
パウル陛下の発言の意図がよく分からない。俺は首を傾げて言葉を紡ぐ。
「は?えっと・・特に陛下に対する印象は何も変わっていませんので、話し合いの必要を感じませんが?」
「・・・」
パウル陛下が何故かショックを受けた様子で黙りこんだ。ついでに足まで止まってしまう。
「どうしましたか、陛下?」
「俺は聖女を武器とする為に召喚した。セツは目障りなハロンステーン公爵を排除する為の武器であり、俺の身を守る盾だった。道具としてお前を扱い続けた俺を・・セツは心から愛せるのか?」
俺はパウル陛下の唇に自らの唇を重ねた。そして、そっと唇を離すと陛下の耳元で囁いていた。
「気を許しすぎです、陛下。周囲は全て陛下の味方とは限りません。人払いもせずに廊下でこの様な話はなさいますな、パウル陛下」
城の上層階の為、見慣れる人間がいればすぐにわかる。周囲にいるのは陛下の配下の者だけ。それでも、ハロンステーン公爵の件を持ち出すのはあまりにも用心が足りない。
「鳥籠から出すのではなかった」
「パウル陛下・・情報封鎖はもう嫌です。一度吹いた風に、鳥は乗ったのです。その風を忘れるなど出来ません」
「・・わかっている」
パウル陛下が俺から目を反らす。俺は陛下の役に立ちたいのだ。再び情報を封鎖されては、陛下の真の友にはなれない。
陛下が再び歩きだす。俺は無言で陛下の首筋に顔を埋めた。だが、俺の部屋に近づいた時に、聞き慣れた声を耳にして顔を上げた。
「セツ様がお部屋にいないだと!とんだ大嘘つきだな!セツ様を常に部屋に閉じ込めているくせに!僕は神官見習いの◯△だと説明したはずだ。大神官様の命により、セツ様宛の手紙をお持ちしたのだ。直接聖女様にお渡しすべきものだ。早く聖女様に取り次いで頂きたい!」
やっぱりだ。ショタが俺の部屋を守る衛兵と揉めている。俺は陛下にしがみついたまま、身を乗り出して名を呼んだ。
「ショタ」
「神殿の命令を無視して、聖女様を王城に閉じ込めていること事態許されないのに・・ん、ショタ?」
「ショタ、こっち!」
ショタがこちらを見て目を見開いた。数度瞬きをした後に、ショタは泣きそうな顔になりながら駆け寄ってきた。
「セツ様!ご無事でしたか。いえ、ご無事ではありませんね。パウル陛下、セツ様を離してください。セツ様が嫌がっておられます。僕は神官見習いではありますが、聖女様のお気持ちは誰よりもわかります。あ、勿論・・大神官様には足元にも及びませんが」
パウル陛下がゆっくりと口を開く。
「ショタといったか?」
「ショタではありません!」
「?」
「僕は◯△と申します」
「◯△?セツはショタと呼んだが?」
「その~、私にはどうしても◯△はショタにしか聞こえないのです。ごめんね、ショタ」
「ぐっ、聖女さま・・」
「では、ショタ。大神官の手紙は俺が受け取ろう。手紙を寄越せ、ショタ」
「絶対に嫌です!」
「そうか。では、配下に任せる」
「パウル陛下!」
「部屋の扉を開けろ。ショタから手紙を奪ったら、俺の元に届けよ。その後は、人払いをする。わかったな?」
「ちょっとまってよ!」
俺は抗議の声を上げたが無視をされた。陛下は護衛がショタを押さえ込むのを見届けると、俺を抱いたまま部屋の中に入っていった。
ゆっくりと、背後で扉が閉じられた。
◆◆◆◆◆
ちゅっ、ちゅっ、ちゅっちゅっ、
パウル陛下に姫抱っこされてキスの刑を受けている内に・・何故か、下半身が熱くなってきた。
くちゅ、ちゅっ、
いや、もう自分を偽るのはやめよう。俺は確実に・・陛下に躾られたのだ。童貞のまま、俺は女にされた。
がりっ
「うがぁーー、嫌すぎる~ー!」
「ぐはっ」
「パウル陛下が最悪すぎて泣けるぅ」
「セツ・・人の舌をおもいっきり噛んでおいて、俺を詰るのか?少しは俺の心配をしろ、男聖女よ」
陛下の言葉に、俺は抱かれたまま愚痴った。
「普通に話せていますから、機能に問題はありません。それよりも、どちらに向かっておられるのですか、パウル陛下?」
「セツの部屋だ」
「私の部屋ですか?」
「お前と話し合いたい」
「え、何故ですか?」
「お前は今日一日で、多くの情報を得たはずだ。その上で、俺の事をどう思っているのか聞きたい。俺の印象はお前のなかで・・地に落ちたのではないのか、セツ」
パウル陛下の発言の意図がよく分からない。俺は首を傾げて言葉を紡ぐ。
「は?えっと・・特に陛下に対する印象は何も変わっていませんので、話し合いの必要を感じませんが?」
「・・・」
パウル陛下が何故かショックを受けた様子で黙りこんだ。ついでに足まで止まってしまう。
「どうしましたか、陛下?」
「俺は聖女を武器とする為に召喚した。セツは目障りなハロンステーン公爵を排除する為の武器であり、俺の身を守る盾だった。道具としてお前を扱い続けた俺を・・セツは心から愛せるのか?」
俺はパウル陛下の唇に自らの唇を重ねた。そして、そっと唇を離すと陛下の耳元で囁いていた。
「気を許しすぎです、陛下。周囲は全て陛下の味方とは限りません。人払いもせずに廊下でこの様な話はなさいますな、パウル陛下」
城の上層階の為、見慣れる人間がいればすぐにわかる。周囲にいるのは陛下の配下の者だけ。それでも、ハロンステーン公爵の件を持ち出すのはあまりにも用心が足りない。
「鳥籠から出すのではなかった」
「パウル陛下・・情報封鎖はもう嫌です。一度吹いた風に、鳥は乗ったのです。その風を忘れるなど出来ません」
「・・わかっている」
パウル陛下が俺から目を反らす。俺は陛下の役に立ちたいのだ。再び情報を封鎖されては、陛下の真の友にはなれない。
陛下が再び歩きだす。俺は無言で陛下の首筋に顔を埋めた。だが、俺の部屋に近づいた時に、聞き慣れた声を耳にして顔を上げた。
「セツ様がお部屋にいないだと!とんだ大嘘つきだな!セツ様を常に部屋に閉じ込めているくせに!僕は神官見習いの◯△だと説明したはずだ。大神官様の命により、セツ様宛の手紙をお持ちしたのだ。直接聖女様にお渡しすべきものだ。早く聖女様に取り次いで頂きたい!」
やっぱりだ。ショタが俺の部屋を守る衛兵と揉めている。俺は陛下にしがみついたまま、身を乗り出して名を呼んだ。
「ショタ」
「神殿の命令を無視して、聖女様を王城に閉じ込めていること事態許されないのに・・ん、ショタ?」
「ショタ、こっち!」
ショタがこちらを見て目を見開いた。数度瞬きをした後に、ショタは泣きそうな顔になりながら駆け寄ってきた。
「セツ様!ご無事でしたか。いえ、ご無事ではありませんね。パウル陛下、セツ様を離してください。セツ様が嫌がっておられます。僕は神官見習いではありますが、聖女様のお気持ちは誰よりもわかります。あ、勿論・・大神官様には足元にも及びませんが」
パウル陛下がゆっくりと口を開く。
「ショタといったか?」
「ショタではありません!」
「?」
「僕は◯△と申します」
「◯△?セツはショタと呼んだが?」
「その~、私にはどうしても◯△はショタにしか聞こえないのです。ごめんね、ショタ」
「ぐっ、聖女さま・・」
「では、ショタ。大神官の手紙は俺が受け取ろう。手紙を寄越せ、ショタ」
「絶対に嫌です!」
「そうか。では、配下に任せる」
「パウル陛下!」
「部屋の扉を開けろ。ショタから手紙を奪ったら、俺の元に届けよ。その後は、人払いをする。わかったな?」
「ちょっとまってよ!」
俺は抗議の声を上げたが無視をされた。陛下は護衛がショタを押さえ込むのを見届けると、俺を抱いたまま部屋の中に入っていった。
ゆっくりと、背後で扉が閉じられた。
◆◆◆◆◆
18
お気に入りに追加
1,238
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
普通の男の子がヤンデレや変態に愛されるだけの短編集、はじめました。
山田ハメ太郎
BL
タイトル通りです。
お話ごとに章分けしており、ひとつの章が大体1万文字以下のショート詰め合わせです。
サクッと読めますので、お好きなお話からどうぞ。
悪役令嬢のペットは殿下に囲われ溺愛される
白霧雪。
BL
旧題:悪役令嬢のポチは第一王子に囲われて溺愛されてます!?
愛される喜びを知ってしまった――
公爵令嬢ベアトリーチェの幼馴染兼従者として生まれ育ったヴィンセント。ベアトリーチェの婚約者が他の女に現を抜かすため、彼女が不幸な結婚をする前に何とか婚約を解消できないかと考えていると、彼女の婚約者の兄であり第一王子であるエドワードが現れる。「自分がベアトリーチェの婚約について、『ベアトリーチェにとって不幸な結末』にならないよう取り計らう」「その代わり、ヴィンセントが欲しい」と取引を持ち掛けられ、不審に思いつつも受け入れることに。警戒を解かないヴィンセントに対し、エドワードは甘く溺愛してきて……
❁❀花籠の泥人形編 更新中✿ 残4話予定✾
❀小話を番外編にまとめました❀
✿背後注意話✿
✾Twitter → @yuki_cat8 (作業過程や裏話など)
❀書籍化記念IFSSを番外編に追加しました!(23.1.11)❀
転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!
めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。
ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。
兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。
義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!?
このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。
※タイトル変更(2024/11/27)
美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
突然異世界転移させられたと思ったら騎士に拾われて執事にされて愛されています
ブラフ
BL
学校からの帰宅中、突然マンホールが光って知らない場所にいた神田伊織は森の中を彷徨っていた
魔獣に襲われ通りかかった騎士に助けてもらったところ、なぜだか騎士にいたく気に入られて屋敷に連れて帰られて執事となった。
そこまではよかったがなぜだか騎士に別の意味で気に入られていたのだった。
だがその騎士にも秘密があった―――。
その秘密を知り、伊織はどう決断していくのか。
地味顔陰キャな俺。異世界で公爵サマに拾われ、でろでろに甘やかされる
冷凍湖
BL
人生だめだめな陰キャくんがありがちな展開で異世界にトリップしてしまい、公爵サマに拾われてめちゃくちゃ甘やかされるウルトラハッピーエンド
アルファポリスさんに登録させてもらって、異世界がめっちゃ流行ってることを知り、びっくりしつつも書きたくなったので、勢いのまま書いてみることにしました。
他の話と違って書き溜めてないので更新頻度が自分でも読めませんが、とにかくハッピーエンドになります。します!
6/3
ふわっふわな話の流れしか考えずに書き始めたので、サイレント修正する場合があります。
公爵サマ要素全然出てこなくて自分でも、んん?って感じです(笑)。でもちゃんと公爵ですので、公爵っぽさが出てくるまでは、「あー、公爵なんだなあー」と広い心で見ていただけると嬉しいです、すみません……!
次男は愛される
那野ユーリ
BL
ゴージャス美形の長男×自称平凡な次男
佐奈が小学三年の時に父親の再婚で出来た二人の兄弟。美しすぎる兄弟に挟まれながらも、佐奈は家族に愛され育つ。そんな佐奈が禁断の恋に悩む。
素敵すぎる表紙は〝fum☆様〟から頂きました♡
無断転載は厳禁です。
【タイトル横の※印は性描写が入ります。18歳未満の方の閲覧はご遠慮下さい。】
12月末にこちらの作品は非公開といたします。ご了承くださいませ。
近況ボードをご覧下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる