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現状を知りたい聖女

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真面目な発言をした後は、甘いものが欲しくなる。俺が官能的チョコを一つ口に頬張り美味しく食べる。

そんな俺に、ブリギッタ殿下が緊張した面持ちで口を開いた。

「もしも、その禍々しい呪いが完成していたなら・・俺はパウル陛下に剣を向け、殺害する為に兄上に襲いかかっていた。そうお考えなのですね?」

「その通りです、殿下」

俺が表情を改めて応じると、第二王子は慎重に言葉を選びながら質問する。

「セツ様が砕いて下さった呪いは、俺の願望を核にして大きくなるものですか?俺の心には、兄上を殺したいとの願望が存在するのでしょうか?」

「ブリギッタ!」

ウルスラがブリギッタ殿下の言葉を制しようとした。乳母兄弟として、殿下の発言に危機感を抱いたのだろう。

俺はしばらく思案した後に答えた。

「ブリギッタ殿下が陛下に対して、どのような感情を抱いていようとも・・この呪いに関しては、関係ないと思いますよ?呪いが完成すれば、好意や悪意に関係なく・・殿下は陛下を襲っていたと思います」

「・・そうですか」
「ブリギッタ、発言には注意しろ」
「分かっている、ウルスラ」

第二王子とウルスラのやりとりを聞きながら、俺は紅茶を口にした。ふむ、おいしい。紅茶とチョコレートで頭がスッキリしてきた。今度は、こちらから質問しよう。

「ブリギッタ殿下、少しお聞きしてもよろしいでしょうか?」

「はい、セツ様」

「パウル陛下の首筋にも、殿下と同じ呪いの魔方陣が刻まれていました。その事は、殿下にも話しましたよね?」

「ええ、聞きました」

「近々戦争が起こるだろうと、陛下から聞きました。陛下は自分に仕掛けられた呪いも、敵国の魔術師の仕業だと話しておられました。ですが、私にはその見解には少し違和感があります」

「違和感ですか?」

ブリギッタ殿下の言葉に、俺は頷いて更に言葉を続けた。

「首筋フェチ魔術師が仕掛けた呪いは、精神を犯すものです。精神を犯す呪いは、時間が掛かる上に確実性が低いです。敵国のトップを殺害するには、不向きな呪いだとは思いませんか、ブリギッタ殿下?」

「確かにそうかも知れませんね」

「それに、呪いの内容も気になります。同母兄弟で殺し合う様に仕向けるとは・・どこか個人的な恨みを感じさせる呪いです」

ブリギッタ殿下とウルスラが、一瞬視線を合わせる。だが、すぐに俺に視線を戻すと訪ねてきた。

「では、聖女様は・・この呪いは敵国の魔術師の仕業ではないとお考えなのですね?」

俺は第二王子の言葉に肩を竦めた。

「その質問にお答えする為には、エクストランド王国がどの国と戦争を始めるつもりなのか、知る必要があります。ブリギッタ殿下、情弱な私にこの国の詳しい情勢を教えて頂けますか?」

俺は三十歳男聖女の可愛さを限界突破させて、微笑んでみた。

自立の第一歩として、第二王子から情報を搾り取る!



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