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紅茶とチョコケーキ

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第二王子に掛けられた呪いの魔方陣を砕いた俺は、ちょっと疲れていた。呪い本体に触れた為と思われるが、年齢も関係あるかもしれない。

おっさんは疲れやすい生き物だ。

なので、第二王子に『少し疲れたのでティータイムにしたいです~』と申し出てみた。すると、殿下は快く応じてくれた。第二王子に呼び出された使用人は優秀で、瞬く間にティータイムの準備は整った。

こうして、ブリギッタ殿下との茶会は始まった。聖女としての威厳を保つために、上品に紅茶を一口飲んだ。そして、大好物のチョコレートを丁寧な仕草で摘まみ、ゆっくりと口に含んだ。

ん~~!

「あぁ、ブリギッタ殿下!!」

俺の言葉に第二王子がびくりと震えた。そして、慌てて口を開く。

「どうされましたか、聖女様!?」
「このチョコレート!」
「まさか、毒が!?」
「チョコが官能的な美味しさです~」

「か、官能的美味しさですか?そ、そうですか。聖女様のお口に合い良かったです。王都で人気のチョコレート店より、取り寄せたものです。お気に召されたのなら、官能的チョ・・お店のチョコレートを取り寄せプレゼントさせてください」

「プレゼント大歓迎です~」
「セツ様、涎が垂れてます」

せっかく美味しくチョコレートを味わい、殿下からもおいしい提案を取り付けたのに・・ウルスラがうるさい。

「ウルスラ・・護衛騎士の貴方が、どうして堂々とブリギッタ殿下との茶会に参加しているのさ?しかも、殿下の隣に座ってイチャイチャしてるし!」

「誤解です、聖女様!ウルスラとイチャイチャなどしておりません!」

ウルスラの隣に座る第二王子が、慌てて言い訳をする。乳母兄弟の微笑ましいやり取りを、イチャイチャと表現したのは不味かったかも。

「ブリギッタ殿下、セツ様の言葉をいちいち真に受けていては疲れるだけですよ。そして、セツ様・・涎を拭きますね」

ウルスラが身を乗り出して、俺の口回りをハンカチで拭った。おい、ウルスラ!第二王子が目を丸くしているではないか。しかも、殿下と視線が合って目を反らされてしまったぞ。

ここは、聖女としての威厳を発揮せねば。俺は咳払いをした後、ウルスラに席に付くように指示を出した。そして、ゆっくりと言葉を紡いだ。

「ブリギッタ殿下の首筋に刻まれた呪いは、殿下の精神を犯す力を持つものでした。呪いが成熟していたなら、ブリギッタ殿下は、兄上であるパウル陛下に剣を向けていたことでしょう」

俺の言葉に、ブリギッタ殿下とウルスラが表情を険しくした。


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