召喚聖女が十歳だったので、古株の男聖女はまだ陛下の閨に呼ばれるようです

月歌(ツキウタ)

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首筋をハムハム

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「首筋をハムハム・・それは物理的に無理です、セツ様。実は、新しい聖女様は神殿の部屋に籠りきりなのです。そして、お気に入りの神官のみに、入室を許している状態です。いずれは神殿を出て、聖女として活動していただかねばならないのですが・・」

ブリギッタ殿下は、心底困ったというようにため息を漏らした。第二王子が聖女の扱いに難儀しているのは確かなようだ。だけど、俺に相談されてもなぁ。正直、困る。

「ブリギッタ殿下の困り事は把握しました。神官は聖女の想いを感覚的に受け止める力があります。その為、聖女にとては、神殿での暮らしは心が休まるのです。聖女がこの地の言葉を覚えるには、結構時間が掛かります。色々と大変なんですよ、殿下」

「そうでしたか。しかし、セツ様は神殿に籠ることはなかったのでは?」

第二王子の言葉に、俺は思わず苦笑いを浮かべた。そして、返事をする。

「私は召喚されて、すぐに陛下に召されました。そして、そのまま王城暮らしとなりましたので・・色々と思い悩むこともありました。ですから、大切に扱われている女聖女様が羨ましいです。男聖女の愚痴を聞かせてしまい申し訳ないです、殿下」

俺が愚痴を口にすると、第二王子もウルスラも戸惑いの表情をみせる。

「聖女さまは陛下と相思相愛の間柄ですから、その様なご苦労があるとは思っていませんでした。セツ様は召喚されたその日から、幸せな日々を送っておいでだと思っていました」

「えー、相思相愛に見えます?まあ、陛下の事は今は横に置いておいて・・それでは、殿下の呪いの魔方陣を砕きます。熟男聖女がハムハムするのは不快でしょうが、許して下さいね」

「不快だなんてとんでもない!俺は幼い聖女より、熟男聖女にハムハムされたいです。うっ、あっ・・」

「殿下、お気遣いなく」

第二王子がとんでもなく恥ずかしい発言をした。俺に気を使っての台詞だろう。それにしても、第二王子なのに腰が低いな。低すぎる気もする。

「私と殿下では身長差がありますので、殿下はソファーに座って下さいますか?私は背後から右首筋を噛みますね。ウルスラは濡れタオルを用意して。唾液で殿下の首筋を濡らしたままでは申し訳ないので」

「承知しました、セツ様。ブリギッタ殿下はソファーに座ってください」

「分かった、ウルスラ」

ブリギッタ殿下は頷くと、ソファーに深く座った。俺は殿下の背後にまわりこみ、呪いの魔方陣の形状を観察する。その間に、殿下が衣服の首もとをゆるめる。俺はそっと殿下の首筋に唇を近づけた。

「では、噛みますね」
「はい、セツ様」

俺はブリギッタ殿下の首筋に噛みついた。


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