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おふたりさま、お迎いでございます
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◆◆◆◆◆
「あの‥‥よろしいでしょうか?」
襖に耳を貼り付けていと、背後から女中に声を掛けられた。弥太郎はびくりと体を震わせる。
「えぅ、え、はい?」
弥太郎の不審な挙動に気を取られつつ、女中は用件を話す。
「桔梗屋の丁稚が若旦那さんをお迎えに来てますけど、どないしましょ?」
「え、桔梗屋の丁稚が?」
弥太郎が尋ね返すと、女中は頷き応じる。
「桔梗屋の大旦那様が急な用で若旦那さんをお呼びやそうで‥‥。」
「それは一大事!今すぐに若旦那様をお呼びしましょう。ここは弥太郎にお任せ下さい!」
生き生きとした表情で弥太郎が応じると、女中は厄介事をせずに済むと安堵してその場を後にした。
「さて‥‥‥」
弥太郎は廊下に座りなおすと、引手に手をかけて寝所に向かい話しかける。
「おふたりさま、お迎いでございます」
弥太郎は返事を待たずに襖を開いた。そしてその言葉を聞く。寝床で横たわる散花に若旦那は己の唇を重ねながら、確かに『菊乃』と呟いていた。
簾衝立越しにその様子を見た弥太郎は、眉を跳ね上げて左衛門を睨みつける。
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「あの‥‥よろしいでしょうか?」
襖に耳を貼り付けていと、背後から女中に声を掛けられた。弥太郎はびくりと体を震わせる。
「えぅ、え、はい?」
弥太郎の不審な挙動に気を取られつつ、女中は用件を話す。
「桔梗屋の丁稚が若旦那さんをお迎えに来てますけど、どないしましょ?」
「え、桔梗屋の丁稚が?」
弥太郎が尋ね返すと、女中は頷き応じる。
「桔梗屋の大旦那様が急な用で若旦那さんをお呼びやそうで‥‥。」
「それは一大事!今すぐに若旦那様をお呼びしましょう。ここは弥太郎にお任せ下さい!」
生き生きとした表情で弥太郎が応じると、女中は厄介事をせずに済むと安堵してその場を後にした。
「さて‥‥‥」
弥太郎は廊下に座りなおすと、引手に手をかけて寝所に向かい話しかける。
「おふたりさま、お迎いでございます」
弥太郎は返事を待たずに襖を開いた。そしてその言葉を聞く。寝床で横たわる散花に若旦那は己の唇を重ねながら、確かに『菊乃』と呟いていた。
簾衝立越しにその様子を見た弥太郎は、眉を跳ね上げて左衛門を睨みつける。
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