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ローランド・エクルンド
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◆◆◆◆◆
王立第三騎士団の副団長、ローランド・エクルンド。
何故か、俺は彼の夜営テントに呼ばれていた。棒立ちの俺に、ローランドは申し訳なさそうに口を開いた。
「名前はセツだったね?」
「そうです、ローランド様」
「予備のテントに民間人を収用するつもりだったのだが、五人が限界でね。1人分をどうしても用意できなかた」
「そうでしたか。それでは、俺は自警団のテントに移ります」
俺の言葉にローランドが焦りの表情を見せた。そして、言い難そうに口を開く。
「セツの職業は・・男娼だったね?」
「はい、そうです」
「その君を自警団のテントに向かわせることはできない。彼らが性に飢えた状態であることはみてとれる。そこにセツを戻せば・・輪姦されかねない」
確かに、その可能性は高い。いくらおっさん男娼でも、尻があれば突っ込みたくなるだろ。たぶんだけど。
「恐らくそのようになると思います。ですが、気遣いは無用です。俺は長く男娼をしているので、輪姦にあった経験もあります。他の若い男娼を向かわせては気の毒ですし、俺が彼らのテントに向かいます。では、失礼します」
俺が回れ右をしようとした時、ローランドに腕を掴まれた。不審に思い振り替えると、ローランドの顔が間近に迫っていた。
美丈夫なローランドに、俺は思わず目線を奪われた。その彼の唇がゆっくりと動く。
「私はその様なことを望み、セツを呼んだわけではない。セツを魔物から救ったというのに・・男達の餌食になどさせられない」
俺は思わず目を見開いていた。
「俺を助けて下さったのは貴方でしたか。甲冑でお顔が見えず、誰が救ってくださったのか分からなくて困っておりました。その節はお助けいただき有難うございました、ローランド様」
薄々、ローランドが助けてくれたことには感づいてはいたが、今気がついたように振る舞った。特に、意味はない。
「いや、その・・突然腕を掴み申し訳ない。紳士的行いではなかった」
俺の腕を離すと、ローランドが申し訳なさそうに言う。明らかに年下のキラキラ騎士に、謝られるとおっさんでも照れる。
「とにかく、予備のテントが一杯で君は入れない。故に、セツは私のテントで過ごすように」
「はい?」
「民間人に夜営は辛いだろうが、できるだけ快適に過ごせるように配慮する。だから、ここで夜営しなさい」
「そうですか。では、おっさんですが、男娼としてローランド様に尽くさせていただきます。さて、どうしましょうか。服を脱いだ方がよいですか?それとも、着衣のままでいたしましょうか?」
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何故か、俺は彼の夜営テントに呼ばれていた。棒立ちの俺に、ローランドは申し訳なさそうに口を開いた。
「名前はセツだったね?」
「そうです、ローランド様」
「予備のテントに民間人を収用するつもりだったのだが、五人が限界でね。1人分をどうしても用意できなかた」
「そうでしたか。それでは、俺は自警団のテントに移ります」
俺の言葉にローランドが焦りの表情を見せた。そして、言い難そうに口を開く。
「セツの職業は・・男娼だったね?」
「はい、そうです」
「その君を自警団のテントに向かわせることはできない。彼らが性に飢えた状態であることはみてとれる。そこにセツを戻せば・・輪姦されかねない」
確かに、その可能性は高い。いくらおっさん男娼でも、尻があれば突っ込みたくなるだろ。たぶんだけど。
「恐らくそのようになると思います。ですが、気遣いは無用です。俺は長く男娼をしているので、輪姦にあった経験もあります。他の若い男娼を向かわせては気の毒ですし、俺が彼らのテントに向かいます。では、失礼します」
俺が回れ右をしようとした時、ローランドに腕を掴まれた。不審に思い振り替えると、ローランドの顔が間近に迫っていた。
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「私はその様なことを望み、セツを呼んだわけではない。セツを魔物から救ったというのに・・男達の餌食になどさせられない」
俺は思わず目を見開いていた。
「俺を助けて下さったのは貴方でしたか。甲冑でお顔が見えず、誰が救ってくださったのか分からなくて困っておりました。その節はお助けいただき有難うございました、ローランド様」
薄々、ローランドが助けてくれたことには感づいてはいたが、今気がついたように振る舞った。特に、意味はない。
「いや、その・・突然腕を掴み申し訳ない。紳士的行いではなかった」
俺の腕を離すと、ローランドが申し訳なさそうに言う。明らかに年下のキラキラ騎士に、謝られるとおっさんでも照れる。
「とにかく、予備のテントが一杯で君は入れない。故に、セツは私のテントで過ごすように」
「はい?」
「民間人に夜営は辛いだろうが、できるだけ快適に過ごせるように配慮する。だから、ここで夜営しなさい」
「そうですか。では、おっさんですが、男娼としてローランド様に尽くさせていただきます。さて、どうしましょうか。服を脱いだ方がよいですか?それとも、着衣のままでいたしましょうか?」
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