伴侶設定(♂×♂)は無理なので別れてくれますか?

月歌(ツキウタ)

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蒼汰は伴侶がいる事を秘密にしていた

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◆◆◆◆◆

俺の目の前で、竜騎士のタイタスと蒼汰が対峙していた。なんとも不穏な空気が流れている。

「本当に二人は伴侶なのか?ソウタとは、パーティーメンバーとして、何度も行動を共にしたことがあるが・・伴侶がいるとは聞いたことがないのだか?」

竜騎士のタイタスは、蒼汰に向かって詰問するように問いただした。その問いに、蒼汰は面倒くさそうに返事する。

「タイタス~。それを伴侶の前で言う?」

「あれ?蒼汰は、伴侶がいることを秘密にして、冒険活動していたの?」

俺が単純に疑問に思い質問すると、蒼汰は少し困った顔をした。だが、正直に理由を説明してくれた。

「伴侶がいると分かると遠慮してさぁ、パーティーメンバーが娼館に行くときに、俺を誘ってくれないんだよ。で、俺だけが宿で、空しく自慰行為に耽ることになる訳。もう、スゲー寂しくてショボい気分になる」

「なるほど~」

「だが、俺はそんな冒険生活は、求めてはいない!見知らぬ土地で、珍しい鉱石を見つけて、それを眺めながら酒を豪快に煽る。そして、冒険で興奮した心と身体を鎮める為、仲間たちと土地の女か男を抱く!これこそ、冒険者のロマンなんだ、誠!」

「なるほど~」

納得だ。たしかに、冒険とはそうあるべきだ。まあ、俺は薬草を摘むくらいしか活動しないから、冒険中に興奮なんてしないけどね。

「タイタス様、蒼汰は間違いなく私の伴侶です。では、伴侶が迎えに来ましたので、蒼汰と共に帰りますね?」

「マコト・・今の彼の話を聞いても、何も思わないのかい?辛くはないのかい?」

竜騎士の心配そうな言葉に、俺は笑って軽く返事した。

「問題ありません。それに、私たちは伴侶ではありますが、初夜に体を交えて以来、セックスレスの関係です。なので、蒼汰が溜まる気持ちもわかります。私としては、蒼汰がどのようにして性欲を発散しているのかが判明して、ほっと致しました」

「それは、また・・」

竜騎士のタイタスは、俺の言葉に顔を赤らめた。いやぁー、まじで彼はウブだな。俺はからかいたくなり、彼に近付くと少ししゃがむ様に指示した。そして、素直に従うタイタスに、俺は彼の頬にキスをしていた。タイタスが驚き目を見開く。俺は笑って、タイタスに話しかけた。

「タイタス様に出逢った記念に、この服はいただきますね。では、さようなら」

「マ、マコト!」
「ん?」
「いつか機会があれば食事をしましょう」
「奢ってくれるなら、何時でも歓迎です」

俺はそう返事した後に、蒼汰の元に向かった。蒼汰は、少し不機嫌そうな表情を浮かべていた。

「伴侶の前で男にキスするとは・・浮気性め。ところで、そのナマ足姿で王都を歩くつもりか?服なら、家から持ってきたぞ?」

「私は当たりガチャの『孕み子』アバターなのだから、たまにはナマ足ルックで歩いてもいいだろ?ふふ、なつかしいなぁ。裸体で王都を歩いて、自警団に捕まった時のこと」

「誠。今は家に帰って、これからの事を相談しよう。タイタス、こいつは伴侶の俺が連れ帰る。文句はないな?」

タイタスは僅かに迷った末に頷いた。そして、飛竜の背に軽い動作で乗ると、飛竜に翔ぶように命じた。一気に上空に飛び立つ飛竜を見て、俺は呟いていた。

「本当にゲーム世界に転生したんだね」
「ああ、そうらしい」



◆◆◆◆◆


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