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婚約しない?
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◆◆◆◆◆
アナトリーが苦い表情を浮かべた。俺はアナトリーが剥いたリンゴを口に運び食べた。甘酸っぱい。
「もしもあの時、アナトリーが屋敷の前に現れなかったら・・俺は衰弱死していたと思う。ねえ、アナトリーはどうして俺を助けてくれたの?どうして、屋敷に現れたの?俺が死んだら全てを手にできたのに、なぜ救ったの?」
俺はアナトリーに質問をぶつけていた。
「従兄弟として・・心配だったからだ。お前が使用人を全て解雇して、屋敷に籠ってると両親から聞いた。だが、両親は何も手を打っていない。まるで、お前が衰弱して死ぬのを待っているような様子で・・腹が立った。とにかく、俺はサドの様子を確認したくて、お前の屋敷を訪れた」
「なるほど」
「そうしたら、ガリガリのお前が助けを求めて俺の胸に飛び込んできた。そして、厄介事を俺に託して気絶してしまった。正直、頭を抱えた。だが、元婚約者のお前を、放置して死なせるなんてできるかよ」
「・・そっか」
「そうだよ」
「アナトリーは、今は婚約者はいるの?」
「いや、いない」
「恋人は?」
「セックスフレンドならいるぞ」
アナトリーの答えに思わず目を丸くしていた。堅物に見えてヤることはヤってるらしい。
「セ、セックスフレンドですか。じゃあ、その人と婚姻予定だったりする?」
「いや、相手は男だから婚姻の予定はない。法律で同種の男とは結婚できない事は知っているだろ?真剣に愛し合っている男たちには申し訳ないが、俺はスポーツ感覚でセックスを楽しんでいるだけだ」
「おぅ、そうだった!」
この世界は、孕める男と孕めない男の二種で分類される。人口減少を避けるため、同種での結婚は禁止されていたな。因みに、俺は孕める男だ。
俺はアナトリーの瞳を覗きながら口を開いた。彼が僅かに動揺する。
「今の俺には信頼できる味方が必要で、アナトリーは信じられると確信した。だけど、君の両親に屋敷や領地の管理を全面的に任せるのは不安だ。そこで、アナトリーが俺の婚約者となって、君の両親の手綱を握ってくれると助かる。どうかな、アナトリー?」
「本気か、サド?」
「本気ですけど?」
「・・少し考えさせてくれ」
「アナトリーは意気地無しか?俺が他の男と婚姻すれば、伯爵家の財産は赤の他人に渡るんだぞ?名門グルボコフスキー家の名を持っているアナトリーだが、次男だし大半の財産は長男にいくだろ?ここは利益を優先して、俺の婚約者になるべきじゃないか?俺の顔が不細工でも我慢すべきだ!」
「まず、サドは不細工ではない。今は、ガリガリに痩せて骸骨みたいだが、太れば普通以上には可愛くなるはずだ」
「アナトリーが優しい~」
「正直に気持ちを話すが、例の事件がまだ腑に落ちていない。屋敷に囚われていた少年たちは、悪党とサドが仲間だと感じたと証言している。子供の発言とはいえ、無下にはできない。こんなもやもやした気分のまま、簡単には婚約には踏み切れない」
「確かに~」
「それに、婚約をするなら、セックスフレンドに事情を説明してきっちりと別れたい。セックスフレンドがもうすぐ、病室にくるからついでに話すよ」
「はい?」
「騎士団副団長のダミアン = レスピナスが、俺のセックスフレンドだ」
「ええーーー!?」
俺は激しく動揺して、大きな声で叫んでいた。いや、待て。俺を取り調べる副団長がアナトリーのセックスフレンドとか、ありですか。
◆◆◆◆◆
アナトリーが苦い表情を浮かべた。俺はアナトリーが剥いたリンゴを口に運び食べた。甘酸っぱい。
「もしもあの時、アナトリーが屋敷の前に現れなかったら・・俺は衰弱死していたと思う。ねえ、アナトリーはどうして俺を助けてくれたの?どうして、屋敷に現れたの?俺が死んだら全てを手にできたのに、なぜ救ったの?」
俺はアナトリーに質問をぶつけていた。
「従兄弟として・・心配だったからだ。お前が使用人を全て解雇して、屋敷に籠ってると両親から聞いた。だが、両親は何も手を打っていない。まるで、お前が衰弱して死ぬのを待っているような様子で・・腹が立った。とにかく、俺はサドの様子を確認したくて、お前の屋敷を訪れた」
「なるほど」
「そうしたら、ガリガリのお前が助けを求めて俺の胸に飛び込んできた。そして、厄介事を俺に託して気絶してしまった。正直、頭を抱えた。だが、元婚約者のお前を、放置して死なせるなんてできるかよ」
「・・そっか」
「そうだよ」
「アナトリーは、今は婚約者はいるの?」
「いや、いない」
「恋人は?」
「セックスフレンドならいるぞ」
アナトリーの答えに思わず目を丸くしていた。堅物に見えてヤることはヤってるらしい。
「セ、セックスフレンドですか。じゃあ、その人と婚姻予定だったりする?」
「いや、相手は男だから婚姻の予定はない。法律で同種の男とは結婚できない事は知っているだろ?真剣に愛し合っている男たちには申し訳ないが、俺はスポーツ感覚でセックスを楽しんでいるだけだ」
「おぅ、そうだった!」
この世界は、孕める男と孕めない男の二種で分類される。人口減少を避けるため、同種での結婚は禁止されていたな。因みに、俺は孕める男だ。
俺はアナトリーの瞳を覗きながら口を開いた。彼が僅かに動揺する。
「今の俺には信頼できる味方が必要で、アナトリーは信じられると確信した。だけど、君の両親に屋敷や領地の管理を全面的に任せるのは不安だ。そこで、アナトリーが俺の婚約者となって、君の両親の手綱を握ってくれると助かる。どうかな、アナトリー?」
「本気か、サド?」
「本気ですけど?」
「・・少し考えさせてくれ」
「アナトリーは意気地無しか?俺が他の男と婚姻すれば、伯爵家の財産は赤の他人に渡るんだぞ?名門グルボコフスキー家の名を持っているアナトリーだが、次男だし大半の財産は長男にいくだろ?ここは利益を優先して、俺の婚約者になるべきじゃないか?俺の顔が不細工でも我慢すべきだ!」
「まず、サドは不細工ではない。今は、ガリガリに痩せて骸骨みたいだが、太れば普通以上には可愛くなるはずだ」
「アナトリーが優しい~」
「正直に気持ちを話すが、例の事件がまだ腑に落ちていない。屋敷に囚われていた少年たちは、悪党とサドが仲間だと感じたと証言している。子供の発言とはいえ、無下にはできない。こんなもやもやした気分のまま、簡単には婚約には踏み切れない」
「確かに~」
「それに、婚約をするなら、セックスフレンドに事情を説明してきっちりと別れたい。セックスフレンドがもうすぐ、病室にくるからついでに話すよ」
「はい?」
「騎士団副団長のダミアン = レスピナスが、俺のセックスフレンドだ」
「ええーーー!?」
俺は激しく動揺して、大きな声で叫んでいた。いや、待て。俺を取り調べる副団長がアナトリーのセックスフレンドとか、ありですか。
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