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異世界転生詰んだ

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◆◆◆◆◆

前世の俺は、ものすごーく真面目だった。

誰よりも勤勉であれ。誰よりも誠実であれ。道から外れるな。邪な考えは妄想であろうとも許してはならない。ただひたすらに己を律せよ。

で、気がついたら過労死してた。この先があるのかはわからないが、とにかく俺は祈った。

『次の人生は、不真面目に生きたい』

欲望のままに生きて、大満足で死にたい。男性好きな事を隠してきたが、それもオープンにしたい。まあ、とにかく楽チンにお気楽になにも考えずに、好きなように生きたい。

そしたら、神様が叶えてくれた。

俺は異世界でサド伯爵に転生していた。

天井から吊るされた美少年のぺニスを鎌で切り落とす途中で、俺は前世を思い出した。そして、吐いた。

「いや、待って。違うから。神様、違うから。こういう方向にいきたかった訳じゃなくて、うぐ・・気持ち悪いっ」

「助けてぇ、殺さないで、ううっ」

天井から吊られた少年がもがいていた。鎌で僅かに皮を切られて、ぺニスから血が滴り落ちている。そして、床には滴る血をためる受け皿があり、鎖に繋がれた美少年たちがペロペロと血を舐めていた。

再び吐いた。

「ヤバイ。なにこれ?なにこれ?」

「サド様、どうされましたか?」
「サドって呼ぶな!」
「ひっ、お許しを!」

男が土下座した。

「いや、待て。土下座までは要求してはいない。そうだった。俺の名は、サド・グルボコフスキーだったな。長い名前だな」

土下座する男は、サド伯爵・・つまり俺が雇った元拷問官だ。名前は忘れた。俺は人間の名前に興味がないらしい。

「しかし、ヤバイな」

前世の記憶のサド伯爵とは名前が違うから別人だろうが、こんな行為をしていたらいつか捕まるだろ。サド伯爵はバカなのか?

「おい、元拷問官!」
「はい!」

「俺は今までに人殺しをした事があるか?迅速に答えよ!」

「いえ、今回の少年が初めてとお聞きしております。拉致監禁も初めての事と伺い、伯爵に甘美な快楽をお楽しみ頂くために極上の品々を用意いたしました」

極上の品々とは、少年のことか。だが、俺はショタに興味はない。大人な男性に抱かれたい方だ。前世ではカミングアウト出来なかったが。

「確かにそうだ!俺は今回初めて欲望を実行することにしたのだった!父上が亡くなり爵位を継いで、ヤりたい放題だと喜んでいた記憶がある。恐ろしすぎる!」

「何事も初めが肝要です。その点、私を選んで下さったサド伯爵は才能に満ち溢れておられます。さあ、初めての殺人に手を染めましょう。まずは、少年のぺニスを切り取り、じわじわと生き血を絞ります。苦しみを与えつつ、アナルをじっくり可愛がりながら殺しましょう」

「ずいぶん手慣れているようだが、お前は罪人として衛兵や騎士に追われる身ではないのか?お前を信用して大丈夫なのか?」

元拷問官はにやにやと笑いだした。気持ち悪い。吐きそうだ。

「確かに手配書は出回っております。私は罪人として追われる身です。賞金首でもあります。ですが、顔の半分を焼き、姿を変えました。簡単には見つかりはしません。ご心配には及びません」

「そうか。しかし、これだけの少年を集めるのだから、仲間がいるのだろうな?」

「いえ、仲間などおりません。奴隷商人とやり取りをするときも、顔を伏せて行います。私は一人が好きなのです。人は信用いたしません。伯爵もお一人がお好きなのではないですか?同じ香りがいたします」

「そうか・・では、お前を殺しても困る奴はいないな?喜ぶ奴の方が多いな?いいよな?賞金首らしいし?」

「はい?」

俺は手に持った鎌で、男の首を刈り取った。いや、刈り取りは出来なかったが、首に鎌が刺さり血が吹き出た。



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