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第52話 アナルとぺニス?
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速水から俺宛に、メッセージカード入りの花束が届いた。慎ましくも愛らしい花束は俺好みだ。速水がその繊細な手でこの花束を整えたと思うと、年甲斐もなく唇を寄せたくなる。まあ・・しないが。
「さて、メッセージカードには何が書かれて・・・・!?」
俺はメッセージカードを握ったまま手を震わせてしまった。これは、速水からの誘いなのか?そういう事なのか?繊細な花束に大胆過ぎるメッセージカード。このイラストは、『アナルとぺニス』だよな?つまり、そういう事なのか。速水、そうなのか?いいのか?俺はお前に会いに行ってもいいのか?抱いていいのか?
「いや待て、落ち着け・・」
速水に会いたい。会いたいが、問題がある。あいつは、竜二とのセックスを経験したという点だ。俺の愛人になる前は、速水は兄貴の囲われものだった。兄貴より俺の方が、愛を込めて速水を抱いている自信はある。
だが、速水はセックスドラックを盛られ、竜二と抱き合った。その興奮と快感は尋常ではなかったはず。
「そのセックスと比べられるとは、耐え難い」
今でも、その辺りの中年男性よりは均整の取れた体つきをしているとは思う。顔も、まあ・・そう悪くは無いだろう。だが、若い男のあそこに勝るかと問われると否定せざるおえないだろう。若い頃の自分を思い出せば、良く分かる。一晩中だろうとも、腰が振れると信じ込んで獣の様に女と交わった。だが、今はそんな無茶はできない。
それでなくとも、速水への情の偏りを解消するために愛人を増やしている。俺のあそこは、かなりの疲労感を訴えている。しかし、このメッセージカード。速水は、俺が訪れない事で悲しみのあまり、このような卑猥なイラストまで描くほどに精神が追い詰められている。あいつを救う為には、俺のプライドなど捨てるしかない。
「竜二とのセックスと比べられたとしても問題ない。速水は俺の『愛人』だ。例え、そのセックスがお粗末であろうとも、あいつが俺に求めているのは、武器と盾を得る事だ。問題ない。例え失望の眼差しで速水に見つめられようとも」
まてよ、速水にラッシュを嗅がせるくらいなら、許されるのではないか?MDMAは論外にしても、ラッシュに関しては、国がMDMAと同様に危険ドラッグに指定したことに対して規制がきつすぎると、署名活動が行われていると聞く。ラッシュなら良いのでは?いや、だめだ!!速水に薬を盛るくらいなら、俺が薬を使用するべきだ。若者に負けぬ勃起力を得なくては。
「薬か・・伍代に相談するか?」
俺が伍代に連絡を入れると、珍しく伍代がすぐに電話に出た。電話嫌いの伍代が苦手を克服し、即座に電話に出るとは喜ばしい。伍代の成長を感じ俺は父親のような気持に浸っていると、興奮状態の伍代に罵倒された。
『組長、あんた馬鹿ですか、くそ馬鹿ですね、へなちょこペニス野郎が!!組長が速水を『愛人』から外すつもりならお好きにどうぞ。俺には関係ない事ですからね。それでも、速水には、事前に伝えるべきでしょうが!護衛の俺にも知らせるべきです。「速水が組長に捨てられた」って噂が急激に出回ってます。それを信じた馬鹿が、実際に速水を拉致する計画を立てていました。もし、俺まで拉致に巻き込まれてたら、どうしてくれるんですか!速水と俺が鎖に繋がれて交互に尻掘られたら、倒錯酔いして穴イキ確実じゃないですか!俺の『尻』を守る気はないんですか、組長!』
結論がおかしいだろ、伍代。何故、お前の『尻』を俺が守らねばならん。俺が守るべきは速水の『尻』だ!!
「伍代、正確に報告しろ。地下で・・また死体処理するか?」
『組長、ご報告いたします。現在、速水は喫茶店「ムラサキ」で所轄の後藤署長より、この街から出るように説得されています。以上です』
「全く説明になっていない。喫茶店「ムラサキ」で署長と速水が会っている経緯からして分からん。最初から、説明しろ。お前も「ムラサキ」にいるのか?」
『先日警察がガサ入れして逮捕した風俗店店長が、「速水が組長に捨てられた」との噂を耳にし、速水の拉致監禁を企てていた事をゲロしたそうです。店長から、自慢げに速水専用監禁部屋を見せられたと、口の軽い店員が証言して拉致計画が発覚したようです。その件を耳にした後藤署長は、小林刑事を伴って『かさぶらんか』に来店。お気に入りの速水さんに、「速水が組長に捨てられた」との噂が急激に広まっていますがご存じですかと聞いてきた。速水の手を握って、実際に拉致監禁の危機が迫っていた事と監禁部屋の詳細を語って・・あれは、ほぼ脅しに近かったですね。ここまではよろしいですか、組長?』
後藤署長が速水に異常に執着している事は知っている。だが、署長の立場で捜査で知り得た情報を、お気に入りの男の為に垂れ流すなど職権乱用もいいところだろ。後藤署長の行動は、本当に速水への好意からのものなのか?それとも、何か狙いでもあるのか?
「伍代、続きを話せ」
『はい、組長。『かさぶらんか』を訪れた警察署長は、速水さんの不安を上手く煽りました。彼の身に迫っていた危機を臨場感たっぷりに話し、この街から離れた方が安全だと言葉巧みに速水さんを誘導しました。更なる説得の為、速水さんの不安に付け込んだ署長は、喫茶店「ムラサキ」に彼を連れ出すことに難なく成功。現在、「ムラサキ」では、始終後藤署長が優位に話を進め、速水は大人しく話を聞いています。このままだと、この街を出ていく方向に話が傾くかもしれませんよ。俺は同席が許されず、何故か速水もそれに同意したので、離れた席で彼らの会話を盗聴しています。以上です、組長』
おい、まて。なぜ俺の速水が、この街を出る方向で話が進んでいる?
しばらく速水の元を訪れなかったのは、俺が速水と最高のセックスをする自信がなかった為だ。俺が男のつまらんプライドから、速水を避けていただけなんだ。「速水が組長に捨てられる」とは何という根も葉もない噂だ!俺の方が、速水に捨てられそうなのに。意味が分からん。
「伍代。速水は俺の『愛人』だ。捨てる気も全くない。それを、未遂とはいえ拉致監禁の計画を立てた奴がいるとは許せん。そいつは、まだ拘置所か?刑務所に入ったら、毎日、輪姦させてペニスも睾丸も潰してやれ。それに、所轄の署長が出てきて、速水にこの街を出るように説得するのも常識外れだ。あの署長は頭がおかしいらしい。今から、「ムラサキ」に向かう。盗聴は続けて、電話も繋げておけ、いいな伍代?」
あの奥ゆかしい速水が、あのような卑猥なイラストを描いてしまうほどに俺の訪れを待っていたのだ。俺は馬鹿だった。速水の愛おしいメッセージカードを上着の隠しに丁寧に差し込む。そして、俺は部下を呼び、喫茶店「ムラサキ」に向かう為に車を出すよう命じた。
『えーっと、では、組長は速水の事を「愛人」として認識していると考えてよろしいですか?』
伍代の質問に苛立ちを感じつつも平静さを装い答えた。そして、元『性奴隷』の伍代に尋ねてみた。
「当たり前だ。速水は俺の『愛人』だ。だが、速水の身がこうも簡単に脅かされるとは思わなかった。元『性奴隷』であったお前に聞きたい。速水が『性奴隷』であった過去を、この街の人間はまだ誰も忘れていないという理解でいいか?今でもあいつを『性奴隷』として扱っても構わないと、多くの奴らが思ってる。そういう事なのか、伍代?」
伍代の声が僅かに掠れる。その声に怒りが見えた。
『そうです、組長。速水は、この街に住む者にとっては、未だに清一の『性奴隷』のままです。組長の『愛人』の座が揺らぐだけで、あいつは『性奴隷』として狙われる。可愛いから・・余計に狙われる』
「・・伍代、お前は速水を狙うなよ?」
『なんですかー、その質問は?』
「いや、いい。忘れろ。それより、今までの囲いが甘かった。速水が嫌がるから、緩めの囲いしかかけなかったが、方針転換する。全ての愛人と手を切る。手元に残すのは速水だけだ。あいつには重荷だろうが・・仕方ない」
『ふーん。なるほど・・でも、組長にとってもそれは重荷ではないですか?愛人を増やしたのは、愛情の均等化の為でしょ?大丈夫ですかー?』
伍代は感じた事をすぐに口にする。上を目指すにはマイナスだ。だが、伍代が上を目指しているのかさえも分からん状態では、苦笑いで応じるしかない
「速水を守る為だ・・仕方ない。いずれは、竜一か竜二に奪われる事も分かっている。だが、今は俺のものだ」
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