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第37話 清二さんがきた
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清二が僕の元を訪れなくなり、一か月が経過していた。その事に、不安を感じる日々を送りながらも、『かさぶらんか』のオーナーとして、開店準備に追われていた。
そんなある日、花屋『かさぶらんか』の真新しい看板が清二から送られた。特にメッセージのような物はなかったが、清二が僕を忘れずにいてくれた事に安堵を覚えた。
その看板は素晴らしい出来だった。僕が看板のデザインで最も力を込めた向日葵のイラストは、何故かアナルを彷彿させるとの理由で却下されてしまった。だけど、後はほぼ希望通りだ。地下風俗店の店長兼従業員の、三原も、秋山も、花屋『かさぶらんか』の看板をすごく褒めてくれた。
その看板は、既に店舗に設置されている。『かさぶらんか』の店内は花でいっぱいだ。花を発注したのは、三原だ。花を配置したのも、三原と秋山だった。僕も少しは手伝ったが、邪魔になるからと、モニタールームに追いやられてしました。三原に呼び出されたときには、既に店内は僕の理想とするお洒落な花屋に変貌していた。最高だ!何もしてないけどね!
とにかく、花屋『かさぶらんか』の店長兼オーナーとして、これからが勝負だ。気合いを入れ直す。
「なあ、速水。こんな早朝から店開いても、客は来ないんじゃないか?」
「ご苦労様、三原。この時間に空けるように、清二さんから指示があったから従うしかないだろ?」
「まじか。青山組の組長の指示じゃ、一秒たりとも遅れるわけにはいかないな」
「そう気負う事もないよ。それより、地下の風俗店の方は問題ない?」
「速水希望の身元綺麗な『性奴隷』ってのは中々集まらないな。人間って何かしら問題は抱えてるものだろ?ただし、借金ナシは全員クリア。年増の『性奴隷』で部屋は十室埋まってる。客は二人。二号室は、大人の玩具収納庫にしたけど、いいだろ?今は、秋山がモニタールームにいるから、俺が花屋の手伝いに来た。よし、そろそろ時間だな。一緒にシャッター開けるか、速水?」
「うん、一緒に開けたい。いよいよ、開店か!!最初のお客は誰かな??」
「・・・竜一さんか、竜二さんのどちらかだろ?」
「じゃあ、僕は『三番目の男』に一票」
「『三番目の男』って誰だよ?」
「秘密ーー!」
僕は、三原と共に店のシャッターを開けた。と言っても、ボタンを押すだけで自動で開くのだけれども。次第に開いていくシャッターから朝日が入り込み、店内の花々を美しく輝かせる。
シャッターが上がりきったところで、外扉を開き店舗の外に飛び出した。朝日が眩しくて、お客様の顔が見えないが、何と三十人は並んでいるみたい!!奇跡か!!
「よし、店が開いた。早急に店の花をすべて買い占めろ!!竜一と竜二に花を一輪も奪われるな!!」
「いらっしゃいませーーーーええぇえ!?」
「できる限り、丁寧に扱え!!俺の愛人の大切な花だ。へし折った奴は、鼻の骨をへし折るから覚悟しろ。よし、花をトラックに載せたら、マンションの最上階に運べ!!寝室には、香りの強いものは置くなよ。その辺は配慮しろ」
男が指示を出すと、背広を着てはいるがその筋の者とわかる三十人程の人間が、一気に動き出した。怖いんですけど!
「あの、清二さん・・これは・・」
「おう、速水。久しぶりだな。少し痩せてないか?きっと開店準備で疲れが出たんだな。よし、店は閉店しろ」
「いや・・えーー??」
「今日は、抱くぞ。思いっきり抱くぞ、速水」
突然、清二に抱き上げられるとそのまま、車に押し込まれた。といっても、行き先は、徒歩五分のマンション最上階だった。部屋に入ると清二は僕を強引に寝室に誘う。それにしても部屋が花だらけだ。寝室に至っては、可愛いお花が咲き乱れる花畑状態になっている。
「速水。ようやく、『かさぶらんか』の開店がかなったな。嬉しいか?」
「うん、嬉しい・・ところで、清二さん、物凄く勃起してるけど。僕に何か怒ってる?」
「そんなわけないだろ?愛人が夢を叶えた事を、共に祝いたいだけだ。」
「でも、清二さんの勃起は怒りがきっかけのはず。隠し事しないで、怒っている理由を教えて」
「速水、この勃起は訓練のたまものだ!喜べ、速水。尻に突っ込みまくって尻に慣れた結果、お前は男の前に尻と認識されて、常時勃起する体制に入れる様になった!」
「う、嬉しくないーー!!尻と認識されて勃起されるとか嬉しくない!!しかも、清二さん、約束破って若い男と寝たんだね!!この花束は、お別れの花束ってことだね。やっぱり年増の『性奴隷』は若い子には勝てなかったー!」
僕は、清二にベッドに押し倒されていた。清二は僕の服を脱がせながら言い訳を始める。
「速水、違う。約束は守った。俺が掘った尻は、女の尻だ!!二人の愛人の潮吹き後を狙って、尻に突っ込みまくった。おかげで、愛人二人に別れを切り出されたがな。もう、愛人とは別れた。今は『愛人』は、速水一人だ・・まあ、すぐに女の愛人は作るが、構わないだろ?」
「それはいいけど。えー、女の尻??・・あの・・えっと、愛人さんと、そんな妙な別れ方して良かったの?」
「金は十分に渡した。俺はな、内縁の妻が死んだときに・・女に情を移すのは少しだけと決めた。深くなりそうなら、適当に理由を付けて別れる。勿論、金は十分に渡すけどな。俺は、清一なんかより・・ずっと卑怯な男なんだ。誰かに執着すれば、それを失った悲しみは深すぎる。それを、もう一度経験するのはごめんだ」
「清二さん・・」
「速水、俺もお前には僅かな情しか移さないつもりだ。その代わり、援助は惜しまない。お前は、俺の愛人として自由に生きろ。ただし、竜一と竜二と関係を持た場合は、殺す。それは、変わらない。なあ、速水は俺の『愛人』でいてくれるか?」
「うん、清二さん・・」
清二に深く唇を奪われて、言いたかった言葉まで奪われた。『清二さんが与えてくれる僅かな愛情の囲いは心地の良い空間だ』ってそういいたかったのに。
性急な清二は『愛人』の僕を裸にすると、自身も裸になって覆いかぶさってきた。彼の猛ったペニスが少し怖くて震えると、清二は僕の額を優しく撫でた。僕は清二の胸に顔を埋めていた。
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