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試みられる対話 その2 『第5話』

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 試みられる対話 その2 第5話

 そして、遂にゲームは始まった……始まったのである!!
「じゃ、じゃあまずお題を上げます!」
 とりあえず目の前にいる気弱そうな女子が何かお題が書かれた紙を取り出した。……ほぉん?
「ゆりなあちょっとあの子困ってそうじゃない?」
「表現の仕方に困る様なお題を引いちゃったって事でしょ」
 ゆりなあは私を見ず、一直線にあの女子を見ていた。それは良いんだけどゆりなあ、圧……圧が凄すぎるッ! これはもう半分殺意と言っても良いレベルね……。
「で……では、始めますう!」
 目の前の子はとりあえずリアクションを始める。……ん? 何それ?
 ……女子は、下から上へドリルの様に上る……っぽいそんなリアクションをしてきたのだ。うん、よくわからない。私何を見せられているの? どんなお題になったらそんなリアクションを取る事になるの?
 私はポカンと目の前の光景に呆気を取られた。その時――。
「わかったわ!」
「え?」
 隣にいるゆりなあは鬼の形相で手を上げてきた。何、何がわかったの?!
「そのリアクションは『爆速で成長していく木』!」
 しーん。一瞬、周りの空気が静まり返った。
「……あ、当たりです」
「へ、へああああ?!?!?」
 マジで当たりなの?!
「ふふっ、少なくともこんな簡単な問題私の敵ではないわ」
 無茶苦茶凄い笑みを浮かべているゆりなあ。
 ……待って、わからないと思った私はバカだと遠まわしに言われている様な気がしてきたんだけど。
「えー、それでは次の問題に行きますか」

 以降、ゆりなあは鬼の様なスピードと形相で答えまくっていった。
「『トイレに行こうとした時に驚きの物を目撃してしまった』リアクションね!」
「これは『くの字で寝てしまった結果体がくに曲がってしまった人』のリアクション!」
「間違いなく『爆弾を目の前にして目を飛ばした』リアクション!」
 シチュエーションが謎過ぎるリアクションに対しても圧倒的正解を飛ばしまくったゆりなあ。ちょっと待って私の出る幕一つもなくね? これ、もしかしてこのまま終わっちゃう奴?
 そんな私の想いと裏腹に、今回のイベントは……ゆりなあの圧勝で終わったのだった。


「いやあ楽しかったわねえ。颯子がこんな良いイベント見つけてくれるの中々無かったわよ」
「うんそうだね」
 ゆりなあは楽しそうだった……。
「……ねえ」
「何?」
「……ゆりなあってあのゲームやった事あるの?」
 私はとりあえずゆりなあに聞いた。
「ええ、もちろん。幼稚園の頃負け知らずだったゲームだったからついつい熱が入っちゃったわ」
「へ、へええぇぇぇ……」
 私は以降、ゆりなあを何かしらに誘いに行く時はもしかしたら今日みたいな事態を警戒しないといけなくなったのでは?
 とりあえず、ゆりなあの新しい一面を見た今日のイベントであった。



 なお、このイベントが学校中でひそひそと噂話が広がり、アナログゲーム部に感心を持つ人は激増。結果としてこのイベントはある意味大成功を迎えたという話らしい。
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