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第1章:エルフの国編
第12話 図書館へ行ってみた
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大和は模擬戦が終わり、演習場を出ようとすると1人の女性が話しかけてきた。
「大和、さっきの戦い、凄かったね」
「え?あ、リンさん?ありがとう。君の戦いも凄かったよ」
「ははっ!あんなの君や隊長に比べたらまだまだだよ」
「それで、リンさんは何故ここに?」
「リンでいいよ。ヴォルド隊長が会議で君のところに居れないから代わりに私が君といるように、と言われたの。だからよろしくね」
「ああ、そういう事ね。よろしくな、リン」
「大和はこれからどこか行きたい場所あるの?」
大和はそう聞かれると、今日元々しようとしてたことを思い出す。
「図書館に行きたくてさ。元の世界に帰る方法や魔法について調べたいからね」
「なるほどね。じゃあ案内するよ」
こうして大和はリンに連れられる形で図書館へ向かうのだった。
□□□□□
大和は図書館に着くと、もしかしたらこの図書館から元の世界に帰れるのでは、という微かな希望と共に中に入る。
大和がいた世界と対して図書館の見た目は変わらないが、置いてある本は魔法に関するものが多い。
いや、多いというより魔法に関する本しかないと言った方が正しいだろう。
「なあリン、何で魔法の本ばっかなんだ?」
「ここは国立アーロン・シャーリス図書館。国内で1番大きい図書館で、魔法に関する本しか扱ってないのよ」
「そうなんだ。魔法の本だけでこんなにあるなんてすげぇな・・・」
「異世界に関する本はここね」
大和はリンに指をさされた本棚を見ると、他の種類の本棚に比べて圧倒的に小さいのがわかる。
「何で異世界に関する本は少ないんだ?」
大和は気になったのでリンに問う。
「異世界に関する情報はそもそも少ないのよ。この世界で異世界人が発生した実例は異世界の存在が認められた1300年前から数えて、公式に公表されている中でたった7件しかないのよ。まあもしあなたを公式に公表するならこれで8件目だけどね。ちなみにここだけの話、公式でも非公式でもシャーリス王国ではあなたが初めてよ」
「元の世界に帰還した事例は?」
「ゼロよ。記録によると、この世界で家庭を築いたり、戦士になったりと色々上手く生活してたらしいわよ」
「そうか・・・」
残念そうな大和を見て、リンは一つ提案をしてみる。
「もし、帰還する方法を探すなら手っ取り早い方法を思いついたんだけど、どうかしら?」
「なんだ?」
「大和、あなた、王室特殊兵団に入る気はない?」
「えっ!?俺が?」
リンのそこそこの爆弾発言に大和は驚くが、リンは平然と話を続ける。
「そうよ。あなたの実力は私が見たところ強さだけ見れば戦士階級AAA級くらいね。まあ簡単に言うと、11段階中上から5番目の評価ね。王室特殊兵団への入団条件の戦士階級は最低A級からだから強さとセンスは問題ないわ」
「えっちょっ待っ!」
リンは大和に話す間を与えず、延々と話し続ける。
「そして強さに見合った知性と知識も必要よ。まあ知性は問題なさそうだけど知識はこれから勉強が必要ね」
「ちょっと待て!俺が入るのと何が関係あるんだ?」
大和の当然の問いにリンは答える。
「王室特殊兵団のデータベースと情報収集能力はこの国で1、2を争うくらい優秀よ。だからそれを利用するのは悪い話ではないと思ってね」
「なるほど・・・」
大和がそう言うと、2人の間に沈黙が流れる。
どうやら答えを待っているようだ。
正直、悪い話ではないし、合理的に考えればそれが一番いいのは明白である。
大和としては、こっちの世界に来ている間に落とす単位は多そうなのと、自分の周りに迷惑をかけているのはマズイ。
5年前に両親が離婚した後、父に引き取られたが、3年前に病死したので自分を心配してくれる親は居ない。
ただ、数少ない、自分を気にかけてくれる大切な友人が大和にはいるのだ。
そいつらの為にも早く帰らないと、と大和は思った。
そして、大和は結論を出す。
「わかった。是非とも入団させて頂きたい」
「あら、決まったのね。わかったわ。王室特殊兵団としても優秀な人材は欲しいから歓迎よ。明日、ヴォルド隊長に相談してみるわ。それまではここの図書館の本を読み漁るとしましょう。」
「そうだな。そうするよ」
「ちなみに言い忘れてたけど入団には厳しい試験があるわ」
「へっ!?」
「ただし例外はあるわ。王室特殊兵団団長と隊長格の方々には優秀な者を団員として推薦する権限があるの。そして王室特殊兵団の団長と隊長達の会議で過半数の賛成が必要よ」
「いや、リンがスカウトしてくれたんじゃなかったのかよ・・・」
「違うわよ?でももしもヴォルド隊長に相談してみて却下されたり、会議で推薦が通らなかったら試験を受けてもらうしかないけどね」
「そういう大事なことは早く言ってくれよ・・・」
大和は呆れながら言うが、リンは全く気にしていない。
「ごめんごめん、さ、切り替えて万が一試験を受けなきゃいけなくなった時のためにここの本を読み漁りましょ」
そう言って大和はリンと共に異世界関係の本を全て読み始めた。
読み終えた後は、魔法の本を全部とはいかないが、読み漁った。
そして2人が気がつくと、図書館の閉館時間になっていた。
2人は本を片付けると、図書館を出る。
そとはすっかり暗くなっていた。
「じゃあ私は帰るね。宿までの道はわかる?」
「ああ、みちを覚えるのは得意だからね」
「そう、なら良かった。じゃあまた今度ね」
「おう、ありがとな」
大和とリンは、別々の方向へと帰っていった。
「大和、さっきの戦い、凄かったね」
「え?あ、リンさん?ありがとう。君の戦いも凄かったよ」
「ははっ!あんなの君や隊長に比べたらまだまだだよ」
「それで、リンさんは何故ここに?」
「リンでいいよ。ヴォルド隊長が会議で君のところに居れないから代わりに私が君といるように、と言われたの。だからよろしくね」
「ああ、そういう事ね。よろしくな、リン」
「大和はこれからどこか行きたい場所あるの?」
大和はそう聞かれると、今日元々しようとしてたことを思い出す。
「図書館に行きたくてさ。元の世界に帰る方法や魔法について調べたいからね」
「なるほどね。じゃあ案内するよ」
こうして大和はリンに連れられる形で図書館へ向かうのだった。
□□□□□
大和は図書館に着くと、もしかしたらこの図書館から元の世界に帰れるのでは、という微かな希望と共に中に入る。
大和がいた世界と対して図書館の見た目は変わらないが、置いてある本は魔法に関するものが多い。
いや、多いというより魔法に関する本しかないと言った方が正しいだろう。
「なあリン、何で魔法の本ばっかなんだ?」
「ここは国立アーロン・シャーリス図書館。国内で1番大きい図書館で、魔法に関する本しか扱ってないのよ」
「そうなんだ。魔法の本だけでこんなにあるなんてすげぇな・・・」
「異世界に関する本はここね」
大和はリンに指をさされた本棚を見ると、他の種類の本棚に比べて圧倒的に小さいのがわかる。
「何で異世界に関する本は少ないんだ?」
大和は気になったのでリンに問う。
「異世界に関する情報はそもそも少ないのよ。この世界で異世界人が発生した実例は異世界の存在が認められた1300年前から数えて、公式に公表されている中でたった7件しかないのよ。まあもしあなたを公式に公表するならこれで8件目だけどね。ちなみにここだけの話、公式でも非公式でもシャーリス王国ではあなたが初めてよ」
「元の世界に帰還した事例は?」
「ゼロよ。記録によると、この世界で家庭を築いたり、戦士になったりと色々上手く生活してたらしいわよ」
「そうか・・・」
残念そうな大和を見て、リンは一つ提案をしてみる。
「もし、帰還する方法を探すなら手っ取り早い方法を思いついたんだけど、どうかしら?」
「なんだ?」
「大和、あなた、王室特殊兵団に入る気はない?」
「えっ!?俺が?」
リンのそこそこの爆弾発言に大和は驚くが、リンは平然と話を続ける。
「そうよ。あなたの実力は私が見たところ強さだけ見れば戦士階級AAA級くらいね。まあ簡単に言うと、11段階中上から5番目の評価ね。王室特殊兵団への入団条件の戦士階級は最低A級からだから強さとセンスは問題ないわ」
「えっちょっ待っ!」
リンは大和に話す間を与えず、延々と話し続ける。
「そして強さに見合った知性と知識も必要よ。まあ知性は問題なさそうだけど知識はこれから勉強が必要ね」
「ちょっと待て!俺が入るのと何が関係あるんだ?」
大和の当然の問いにリンは答える。
「王室特殊兵団のデータベースと情報収集能力はこの国で1、2を争うくらい優秀よ。だからそれを利用するのは悪い話ではないと思ってね」
「なるほど・・・」
大和がそう言うと、2人の間に沈黙が流れる。
どうやら答えを待っているようだ。
正直、悪い話ではないし、合理的に考えればそれが一番いいのは明白である。
大和としては、こっちの世界に来ている間に落とす単位は多そうなのと、自分の周りに迷惑をかけているのはマズイ。
5年前に両親が離婚した後、父に引き取られたが、3年前に病死したので自分を心配してくれる親は居ない。
ただ、数少ない、自分を気にかけてくれる大切な友人が大和にはいるのだ。
そいつらの為にも早く帰らないと、と大和は思った。
そして、大和は結論を出す。
「わかった。是非とも入団させて頂きたい」
「あら、決まったのね。わかったわ。王室特殊兵団としても優秀な人材は欲しいから歓迎よ。明日、ヴォルド隊長に相談してみるわ。それまではここの図書館の本を読み漁るとしましょう。」
「そうだな。そうするよ」
「ちなみに言い忘れてたけど入団には厳しい試験があるわ」
「へっ!?」
「ただし例外はあるわ。王室特殊兵団団長と隊長格の方々には優秀な者を団員として推薦する権限があるの。そして王室特殊兵団の団長と隊長達の会議で過半数の賛成が必要よ」
「いや、リンがスカウトしてくれたんじゃなかったのかよ・・・」
「違うわよ?でももしもヴォルド隊長に相談してみて却下されたり、会議で推薦が通らなかったら試験を受けてもらうしかないけどね」
「そういう大事なことは早く言ってくれよ・・・」
大和は呆れながら言うが、リンは全く気にしていない。
「ごめんごめん、さ、切り替えて万が一試験を受けなきゃいけなくなった時のためにここの本を読み漁りましょ」
そう言って大和はリンと共に異世界関係の本を全て読み始めた。
読み終えた後は、魔法の本を全部とはいかないが、読み漁った。
そして2人が気がつくと、図書館の閉館時間になっていた。
2人は本を片付けると、図書館を出る。
そとはすっかり暗くなっていた。
「じゃあ私は帰るね。宿までの道はわかる?」
「ああ、みちを覚えるのは得意だからね」
「そう、なら良かった。じゃあまた今度ね」
「おう、ありがとな」
大和とリンは、別々の方向へと帰っていった。
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