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序章

第0話 謎の本

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 日本の某有名大学に通う華岡大和はなおかやまとは、1週間後に提出予定のレポートを完成させるために大学の図書館に来ていた。
 この図書館は1年生の時からよく利用していたので、本棚の区分は大体把握しているつもりだ。
 今回大和はヨーロッパ史のレポートを書く予定なので、迷うことなく歴史コーナーの本棚へ向かった。
 歴史コーナーの本棚にたどり着くと、今度は歴史コーナーの中の地域別の分類からヨーロッパ史を探す。

(ヨーロッパ史は・・・ここか)

と考えながら探していると、1人の男子学生が本を戻しに来た。
 金髪の長髪で中性的な面立ちのその学生は、よく講義で教授側から見て1番前の左端に1人で座っている人だ。

(そういえばこの人が誰かと話してるの見たことないな。ていうかヨーロッパ史について調べてるのか。もしかするとレポートをやっていたのかもしれないな)

と、そう大和は考えたので、レポートをどんな感じで書いたのか聞いてみようと思った。

「あの、すいません。もしかしてレポートやってた感じですかね?」

と声をかけると、その学生は本を戻し、こちらを横目にチラッと見ると足早に去っていってしまった。

(え?俺、今無視されたの!?)

と思ったが、別にいいかと思い、特に気にしないことにした。
 大和は先程男子学生が戻した本が少し気になったので、手に取ってみた。
 しかし、タイトルを見てみたが文字が全く読めなかった。
 別に漢字が読めないとかそういう問題ではなく、全く見た事のない文字だった。
 授業の語学選択で英語とドイツ語を選択しているだけで、特別言語に詳しい訳ではないが、この文字は明らかに異質であった。
 それでも中身が気になったので本を開いてみると、やはりわけの分からない文字ばかりであった。
 このまま見ていても仕方がないので、言語学コーナーに本をもって行ってみることにした。

(言語学の所に戻して大丈夫だよな?)

と思いながら歩き出したその時、突然本が手元から離れて宙に浮き光りだした。

「何だ!?」

突然の出来事に思わず声を出してしまったが、光は大和を包み込んでいき、大和は意識を失ってしまった。
 そして目を覚ました時には、そこは薄霧が充満した全く知らない森のような場所だった。


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