元悪役令嬢で腐女子の私は、旦那様に美味しく食べられております!!

にのまえ

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 旦那様の噂が落ち着いた、学園の午後。
 私は偶然にもヒロイン、リリアンさんの読んでいる本のタイトルを覗き見てしまった。
 それは発売中止になった、旦那様とアーゴス様のBL本。

 まさかと思い『リリアンさんはBLお好きなの?』と、私は彼女に問いかけてみた。
 彼女は目を開き、こくりと頷いた。

 次に『転生者なの?』と問いかけてにも、リリアンさんは頷いた。

(BLを読んでいるということは! まさかの同士⁉︎)

 うそ、ほんと⁉︎ 嬉しいのだけど!
 こら私は興奮しない、落ち着け……ほら深呼吸して。

『リ、リリアンさんはもしかして腐女子だったりする? その内容が濃い、BL本を読んでも平気なの?』

 彼女を質問攻めをした、しかし彼女は嫌がるところか笑ってくれた。

『キャラとしてなら平気ですけど……この本を読むのは読みやすくて、出てくる描写が懐かしいんです』

『キャラとして? それは私と同じ。描写が懐かしい? それに懐かしい?』

 自分は1ページで終わっていたから。本の内容は知らない。

 彼女にそのページを読ませてもらうと。
 今世の王子と側近の話ではなくブレザーとか学校? スマホなど、知っている単語がちらほら書かれていた。
 
 この本の絡みは濃いのだけど、王子と側近の名前を借りただけの学生恋愛ものだった。これを貴族が読んでも面白い? と疑問に思ったけど……

『なんだか書き方がライトノベルっぽい? ……もしかして、これを描いた方も転生者?』

『シルビア様もそう思いますか?』

『えぇ』

 二人、手を取り合い頷いた。
 意見のあった私達は著者を探して、公爵夫人マリア様を見つけた。

 公爵夫人に話を聞くと彼女曰く。ひょんなことで前世の記憶を思い出したそうだ。
 普段は会社勤めで、休みの日には小説を趣味で書いていた。

 前世は独身だったけど、今世では夫も子供もいる幸せな日常を送っている。

 公爵夫人で何不自由ない生活。
 しかし、周りに趣味を話せる者はいない。
 この世界に私と同じ境遇の人はいないの?
 彼女は賭けに出た、この世界で自分と同じ転生者を探したかったと言った。

『あの様なことは二度とするなと旦那様に怒られちゃったげど、ここで同じ趣味の二人に出会えて幸せ!』

『私もマリア様とリリアンさんに出会えて嬉しいわ』

『私も嬉しい』

 私達は手を取り合い喜んだのだった。
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