元悪役令嬢で腐女子の私は、旦那様に美味しく食べられております!!

にのまえ

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 旦那様のことは大、大好きだけど、彼は精力に満ち溢れたお方。
 初夜のときにおもいしった。

 あれは学園卒業後の舞踏会、ダンスの後に彼はみんなの前で私を抱きしめて言ったの。


『シルビア、結婚をしよう』


 彼と婚約破棄ではなく、彼と結婚。
 驚きと、嬉しさに涙がとまらなかった。

 一週間後、無事に結婚式も終わり、旦那様と迎えた初夜。
 お互い初めでのはず。

 式の後、お母様に「シルビアはなにもしなくていいの、エンリス様にすべてお任せしなさい」と言われてた。
 私にしては頑張ったネグリジェ――それを見て、興奮した旦那様に速攻ベッドに押し倒された。

『愛しているシルビア。お前は僕のもの……どこにも行かさない』  

『エンリス様?』

 初めて見た彼の欲望に満ちた瞳、吐息、低い掠れた声。
 自分の恥ずかしい喘ぎ声――痛み、すべてが幸せに満ちていた。

 彼の腕の中で、幸せに浸りながら眠りに落ちる寸前――ちゅっ、ちゅっキスされた。

 そのキスはしだいに激しくなっていく。
 えっ? 終わったんじゃないの?

『ひゃん! ま、待って』

『待たない』

 旦那様は「まだシルビアを愛し足りない!」痛がるから挿入はせず、朝まで声が枯れるまで喘がされた。


 ……獰猛な獣。


 普段でもえっちが濃いのに、これ以上濃くなられてもこまる。

 一番は旦那様に妄想を読ませたくない。
 隠れてはいないけど、隠れBL好きでいさせてぇ。



 *



 静かなサロン。聞こえるのは紙をめくる幸せの音。

 前世でも現世でもテンプレもの好きな私はため息をあげた。

(はぁ、王道学園もの最高!)

 俺様会長、腹黒副会長、赤髪おかん……なぜBL好きなの? と聞かれても答えに困るけど、果てしなく好き。


「あの、シルビア様よろしいですか?」


 サロンで小説を読み回し中、マリア様の手が止まった。


「はい、何でしょうか?」

 まさか私の小説に不備? 誤字? 脱字? それはよくあるのだけど……しかし声をかけてきた、アリア様は私ではなく後ろを見ていた。

「背後に飛んでらっしゃる、それはなんでしょうか? サロン一緒に入ってきましたけど……」

「あ、それ。私も気になっておりましたわ」

 リリアンさんも? 何かと、振り向くと背後にふわふわ丸い光の球が飛んでいた。
 

 お二人が不思議に思う球、私はこの光の球を知っているーー犯人は旦那様だ。
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